アビーさんの書籍「今日からはじめる情報設計」を日本出版するにあたって関わった方にインタビューしました!
今回のスピーカーであるアビーさんの書籍が日本語で出版されました。
関わったお三方にインタビューさせていただきました。
- 村田純一
- 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社の書籍編集者
『融けるデザイン』『万人のためのデザイン』『Processing』『子どものUXデザイン』『Generative Design』などを担当。
- 長谷川敦士, Ph.D.
- インフォメーションアーキテクト/コンセント 代表
IA Association Japan主宰、IA Institute会員。著書として「IA100」、監訳書として「デザイニング・ウェブナビゲーション」「一人から始めるユーザーエクスペリエンス」など。
- 安藤 幸央
- UXリサーチャー/CGプログラマー
携帯電話サイズから、大規模ドームシアターまで、様々な映像システム、ユーザーインタフェース開発を手がける。最近の興味の対象は「禅」的でミニマルなユーザーインタフェースです。
書籍を翻訳しようとした理由はなんですか?
- 【村田さん】
- 監訳を担当していただいた長谷川敦士さんから本書を紹介していただきました。過去に長谷川さんには情報アーキテクチャの本(『IA100』)を執筆していただいたのですが、当時と今では状況も大きく変わり、新しい情報アーキテクチャ/情報設計の本を出したいなとずっと考えていたということもあり、この本を翻訳出版するに至りました。
- 【長谷川さん】
- 著者のアビーとは長年の友人であり、ずっとIAのWebサイト構築以外の分野への活用の議論をしていました。そんなこともあり、著作の話を聞いたときぜひ翻訳をしたいと思い、昨年のIA Summiにて直接本人にオファーをし、今回の出版に至りました。
どのような人にこの書籍を読んでほしいですか?
- 【村田さん】
- 本書の原題は『How to Make Sense of Any Mess – Information Architecture for Everybody』ですので、基本的にはeverybodyに読んでいただけたらいいなと思っていますが、まずは情報空間の設計に携わっている方々に読んでいただけると嬉しいです。
- 【長谷川さん】
- 本書で意図しているのは、Webの領域で発展を遂げたIAのアプローチとそこから得られた知見を、Webデザイン以外の分野でも活用しようというものです。その意味では、すべてのビジネスパーソンに役立てていただけるものだと思っています。
この書籍を読むことで、どんなことができるようになるのか
- 【村田さん】
- 問題解決の根本的な部分についての視座が得られるようになると思います。種々の問題をどう対処すればいいか、どう考えればいいか、わからなくなってあたふたしてしまうことが日々たくさんありますが、本書を読むことで「考え進め方(手続きのリテラシー)」が得られるので、問題に落ち着いて立ち向かうことができるようになります。
- 【長谷川さん】
- Tipsではないので、今日から企画ができるようになる、とか設計ができるようになる、といったようなものではないのですが、どんなものであれ、直面している課題に対して、真っ向から向き合って解決していく筋道を見つけやすくなるのではないかと思います。そういった意味では、ビジネススキル一般に役立つと言えます。
もちろん、情報設計を仕事にしている人にとっては、サイト構造設計や画面設計などの情報整理についても役立ちます。
どのくらいで読んで実践ができるようになりますか?
- 【村田さん】
- 簡明な文章で綴られているので、一度通読すればすぐに実践できるようになると思います。
- 【長谷川さん】
- 基本一度通読して、必要な箇所を自分の課題に使っていただければ、すぐに実践できるようになると思います。
海外の書籍を翻訳する上で大変だったことは?
- 【村田さん】
- 原書の目指すところが「あらゆる人に向けた日常生活での情報アーキテクチャ」だったので、易しく書こうとした跡が見て取れるのですが、そういう文章の翻訳は実はかなり難しいです。翻訳者の安藤さんにベースを作っていただき、一文一文を何度も何度もブラッシュアップしました。
- 【長谷川さん】
- 彼女の言葉遣いは表現が豊かで、比喩も多く、大変わかりやすいのですが、そのニュアンスを日本語でどう表現しようかというところで悩みました。また、そのニュアンスが変わると書籍全体のストーリーも変わってくるところもあったため、翻訳者の安藤さん、編集の村田さんと何度も翻訳をしなおしながら進めました。
- 【安藤さん】
- 本書は Abby氏 が誰にでも分かるように、とても平易な言葉を選んで説明をしている本です。そのため、説明しすぎず、説明しなさすぎずに適切な日本語で表現するのがとても大変でした。
なんども何度も推敲し、編集の村田さん、監訳の長谷川さんのおかげで、 専門家でなくとも、誰もが読み易く、 理解しやすい本になったと思います。 また、IA(情報設計)の専門家の皆さんが、企業の中や、クライアント企業の関係者に IA(情報設計)の素晴らしさを分かり易く伝えるのに、とても良い本だと思います!