電車の中で、Z世代の子ども3人が集まり、何かについて楽しそうに話しているのを見かけました。彼らが何を話しているのか、皆さんは分かりますか?
直接聞いてみなければ、本当のことは分かりません。
プロダクト開発も同じで、ユーザーに直接問いかけ、彼らの声に耳を傾けることが大切です。ユーザーインタビューは、単なる情報収集以上の価値を持っています。
サービスを利用するユーザーの実際の感想や求めるものを把握するためには、直接話をし、彼らの言葉を聞くことが必要です。
しかし、インタビューにはいくつかの落とし穴があります。
インタビューで気をつけること
インタビュアーがプロダクトについて理解していない場合、インタビューイーから本音を理解するのは難しいです。
ユーザーの意見は表面的なものであったり、理想を語るものであったりすることがあります。また、ユーザーであっても、彼ら自身が本当に何を欲しているのかを常に理解しているとは限りません。
例えば、自動車のパイオニアであるヘンリー・フォードはかつて、「もし人々に何が欲しいか尋ねていたら、彼らはもっと速い馬がほしいと答えていただろう」と述べました。
これは、ユーザーが本当に必要としているものを見極める難しさを示しています。
ユーザビリティーテストでも同じで、ユーザーの意見が必ずしも正しいものではありません。インタビューアーは自分の好みや解釈に基づいて意見を述べることがあり、ユーザーが求めるものとは異なる場合があるのです。
また、その場限りの適当な回答など、不要な情報が混入し本当に必要な事を見つけにくくなってしまいます。
コンサルをした企業でもユーザーインタビューは実施していますが、時間とお金をかけてインタビューをすると、貴重な意見だからと思ってしまい、ユーザーの声を出来る限り取り入れようとしてしまう傾向があります。
あれもこれもとユーザーの意見を取り入れようとした結果、プロダクトは方向性を見失います。
全ての人に良いと思ってもらえるプロダクトはありません。
だからこそ、多くの情報の中から価値あるものを見つけ出し、それをプロダクト開発に生かすことが重要です。
金の採掘は、土の中にある僅かな金を救い出して利用します。インタビューも同じで、いろいろと無駄なものが入ってしまいますが、プロダクトにとって素晴らしい金を手に入れることができます。
金脈になるターゲットユーザーの選択方法
「デモグラフィックデータだけでは駄目な理由」の記事でも紹介していますが、単に年代や他のデモグラフィックデータに基づいてユーザーを分析するのでは不十分です。
例えば、子ども向けのサービスを開発している場合、その年代の子どもだったら誰に聞いても良いというわけではありません。
クラスに30名の子どもがいたら、陽気な子、おとなしい子、思ったことをハキハキ喋る子など色々な子がいます。好きなものも違って千差万別です。
同じ年代の中でもサービスを実際に利用する人々にインタビューを行うことで、同じ趣味や考えを持つ人々がどのような人たちかをより深く理解することができます。
ファネルの精度が高まることで、コアなユーザーにインタビューすることができ、効果的なプロダクト開発を行うことができます。
ファネルの精度を上げよう
ターゲットユーザーを上手に選定できれば、金の鉱脈を手に入れたと同じくらい簡単に金を手に入れることができます。当たりの多いくじ引きをイメージすると分かりやすいでしょう。当たりやすいくじは、より多くの人に利益をもたらします。ファネルの精度は金脈と同じなのです。
しかしながら、サービスを利用する可能性が高いユーザーの意見だけを取り入れるのは決して良いことではありません。優先度が高くなることが多いですが、ファネルから外れたユーザーの意見も無視してはなりません。
なぜなら、彼らの意見の中には、プロダクト改善に役立つ新たな視点を得られることがあるからです。例えば、プロダクトのメインターゲット(ロイヤルカスタマー)になるまでの障壁は、彼らの意見が貴重です。
ファネルの精度をあげて、優先順位を付けすると共に、こぼれ落ちている問題にも目をみはる能力が大切です。つまり、ユーザーの声を聞くインタビュースキルと合わせて、どの声を取り入れるべきか、適切な判断を下す能力も鍛えていきましょう。