スタッフの かじしまさちこ です。
突然ですが、「自分って、悲観的な性格なんだよな…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
私もずっとそう思ってきました。でも最近、それは“性格”ではなく、仕事柄身につけた思考グセかもしれないと気づいたのです。
先日、『オプティミストはなぜ成功するか』の読書会に参加しました。
エンジニアとして「最悪のケースを想定する訓練」を積んできた私にとって、これは目からウロコの時間でした。
今日はその学びを、自分自身の気づきとともにまとめてみたいと思います。
「どうせうまくいかない」は訓練の結果だった?
著書では、「思考のクセ」がメンタルと仕事の成果に直結するとされています。中でも印象的だったのは、以下の2つのキーワードです。
学習性無力感
困難な状況を繰り返し経験すると、「どうせ何をしても無駄だ」と思い込むようになる心理状態のことです。
これはうつ病にもつながり、挑戦しなくなることで、成果を上げることができなくなってしまいます。
説明スタイル
起きた出来事を自分にどう説明するか、という思考パターンのことです。
楽観的な人は、「失敗は一時的」「自分だけのせいじゃない」と柔軟に捉えるため、立ち直りが早いのです。
つまり、“悲観的な性格”ではなく、思考の慣れ方によって行動が変わってしまうということ。
これを聞いて、私自身も心当たりがありました。
不具合やバグが発生するたびに、「また私のせいか。。」「どうせダメなんでしょ」と無意識に思っていたのです。
楽観思考はただのポジティブではない
楽観主義と聞くと、「根拠のない前向きさ」「現実を直視しない態度」と思われがちです。
しかし、実際には、
- 現実を受け止めながらも、「なんとかできる」と信じる力
- ミスや困難に直面しても、行動を止めない回復力
これこそが、ビジネスパーソンにとっての“強さ”だと感じました。
以前は、一流アスリートが「絶対に勝てると思っていた」と言うのを聞いて、ただのリップサービスだろうと思っていましたが、思考のトレーニングの賜物なのだと理解できます。
無力感は“学習”されるものだった
本の中では、著者の研究室で行われたある実験が紹介されていました。
研究室にいる犬たちを以下の3つのグループに分けました。
- グループ1:ショックを受けるが、レバーを押せば回避できる
- グループ2:レバーを押してもショックを回避できない
- グループ3:ショックを受けない
結果として、グループ2の犬は「何をしても無駄だ」と学び、何の行動も取らなくなりました。しかし、その犬に「飛び越えれば回避できるよ」と繰り返し教えることで、最終的には自分の力でショックを避けるようになりました。
書籍を読んで、私自身も「またうまくいかないかも」と思いがちなことに気づきました。しかし、小さな成功を積み重ねることで、無力感は克服できるのではと希望を持てました。
思考のクセを変える「ABCDE法」
楽観的な説明スタイルを身につけるには、日常の中で思考を変える訓練が必要です。本では、「ABCDE法」が紹介されていました。
項目 | 内容 |
A(Adversity) | 困難な状況が起きたとき |
B(Belief) | そのとき自分がどう思ったか |
C(Consequence) | その思考がもたらした行動や感情 |
D(Disputation) | その思考に「本当にそう?」と反論する |
E(Energization) | 思考を修正したあと、気持ちがどう変わったか |
私自身、仕事でミスやバグに直面したとき、「自分のせいだ…」と反射的に思ってしまうことがあります。
でも、すぐに「まずは状況を正確に把握しよう」と切り替えられることもあります。これは“E”の実践だったと気づきました。
一方、“D”の反論は、まだうまくできていません。これからは、悲観的な思いが浮かんだ時に、「本当にそう?」と、自分に問い返す習慣を取り入れていきたいです。
悲観主義も、実は必要だった
もちろん、悲観主義にも価値があります。
たとえば航空機の操縦や、投資判断のような分野では、「最悪の事態」を考える慎重さが命を救います。
読書会に参加された方が「悲観主義は人間に備わった防衛本能」と言っていたのがとても印象的でした。
大切なのは、悲観・楽観のどちらか一方に偏らないこと。
- 悲観思考 → リスクを見抜くための“防衛ツール”
- 楽観思考 → 行動力を生む“エンジン”
どちらも必要で、使い分ける力こそが、仕事を前に進める鍵だと感じました。
「悲観主義=自分」じゃなくてもいい
私は長年、自分を悲観主義者だと思い込んでいましたが、読書会中に大本さんから「悲観主義というアイデンティティを作ろうとしているのでは?」と指摘されてハッとしました。
エンジニアとして不可欠なリスク管理のために必要な“思考の型”を、自分のアイデンティティだと勘違いしていたと気づきました。
悲観主義を捨てるのではなく、
それを「使いこなす道具」として持っておく。
そしてベースの自分は、柔軟に切り替えられる思考を育てていく。
これが今の私の理想のスタンスです。
最後に:未来の自分は、「今の思考習慣」でつくられる
この読書会で私が得た最大の学びは、
思考のクセは、変えられる。
ということでした。
これからは、悲観的な感情が出てきたときにこそ、一呼吸おいて反論してみる。
「それ、本当にそう?」
と自分に問い直す。
そんな小さな習慣が、未来の自分の行動や成果を変えていくのだと思います。