ちょっとした習慣で人生に差が生まれる
2022年初の読書会は、年明けに目標を掲げやすいので、目標をクリアするための”習慣”についての書籍ジェームズ・クリアー氏の「複利で伸びる1つの習慣」をテーマにしました。一見すると「UXと関係ないや。」と思われるかもしれませんが、習慣によって人は変わり、目標に向けた成長ができます。
そんな成長できる人材は、組織を作るためには必須です。また、習慣化させる仕組みや考え方は、UXやEX設計にそのままダイレクトに繋がります。
優れた能力は人並み外れた習慣と環境が備わっている
優れた人間やアスリートは人並み外れたことをしています。そんな彼らを、人は「才能があるからだ。」「自分とは違うのだ。」と考えてしまいがちです。しかし、そんな有能な方も毎日の習慣で作り上げられています。
書籍「複利で伸びる1つの習慣」には、近しい人の影響で仕事も変わると書かれています。
もちろん教育による影響もありますが、教育だけでなく、習慣による影響は大きく、習慣が変わるだけで複利で成長できると言います。
著者自身も良い習慣を身につけたことから世界的なコーチ・トレーナーとして活躍しています。そして、誰もが成長する習慣を身につけることができるので、そのコツを書籍で紹介しています。
習慣には良い・悪いがある
当然ながら習慣であれば何でも良いわけではなく、良い習慣と悪い習慣が存在します。良い習慣を続けられるコツ・悪い習慣を断ち切る方法が具体的に示されていました。
習慣化させるにはまず行動から
良い習慣を身につけるコツは、やることを具体的にして、容易に行動するための環境を整える。そして、続けられるようにやることが楽しいものにします。(ちなみに、行う内容を簡単にすることではないのでご注意を!)
良い習慣の4つのステップがありますが、”行動する(しやすくする)”ことにフォーカスされています。
数をこなすだけでは、結果が出ない
はじめは、行動しなければ習慣化することもできないので、質より量に重点を置きます。しかし、評価は、量だけで計測しては駄目です。
イギリス植民地時代のインドでは、コブラを駆除した人に懸賞金が払われましたが、お金目当てで、コブラを育てる人も出てきてしまいました。量(測定)が目標になると、結果が伴わなくなります。
「計測結果が目標になると、その計測自体が役に立たなくなる:グッドハートの法則」に陥ってしまいます。ちなみに、上記の逸話から「想定外の結果になることを:コブラ効果」と言います。
レストランでの評価方法は、味を評価するのではなく、残さず食べているかを評価すべきとも記載され、まさしく、UXの指標と同じ考え方でした。
どのような人になりたいか、目標を持つ
効果のある良い習慣を手に入れるには、その目的と目標が必要になります。いきなり目標と言われても。。。。と思うかも知れませんが、どのような人になりたいかを意識するだけでも変わってきます。
はじめに設定した目標は成長度合いによって変えれば良いので、はじめは漠然としいても、なりたい人をイメージしましょう。目標が決定したら、できるだけ具体的イメージを持つことで、何を習慣化すべきかも設計しやすくなります。
環境を整える
人は、自分をコントロールできているつもりでも、できなことがたくさんあります。例えば、ダイエットしようとしているのに、つい飲み会に行ってしまった。その場所に居たら食べてしまった。そんな経験はあると思います。
逆に、悪い習慣である爪の噛み癖を無くしたい場合に、ネイルや爪磨きをすると噛み癖をなくすことができます。このように、環境や状況で人は影響されてしまいます。
影響をうけてしまう環境を整えれば、良い習慣も手に入れることができます。方法としては、今の自分の習慣に良い習慣を追加します。例えば、トイレに行ったらスクワットを10回やる。というようなものです。著者の経験談としては自分の習慣にバーピー(筋トレ)をやったことが紹介されていました。
良い習慣の成果は壁を超えが必要
残念ことに、良い習慣はすぐに結果がでず、遅れて表れます。はじめのうちは目立った変化がなく、「ある一定の線を超えるところから変化が現れる:潜在能力のプラトー」です。ちょうど、氷が0度を超えた時から溶けてきますが、それまでは氷のままであるのと同じです。
良い習慣は潜在能力のプラトーによって、結果が見えなず途中で諦めてしまいがちです。そこで諦めない自分・精神にするためにポジティブに考えることが大切です。
ポジティブ思考の1つとして、”毎日やらなきゃ!”という思考から、「〜しても良い」と考えることで習慣化することができます。自分への言葉も大切であることを学びました。
脳科学から見る習慣化
「やる気のホルモンである:ドーパミン」は、ポジティブな褒め言葉で分泌されます。そしてドーパミンは言葉だけでなく、行動をした時にも分泌されます。
行動には4つの「きっかけ」「要求」「反応」「報酬」のループがあり、報酬を得た時に嬉しいと感じドーパミンが分泌されます。ただ、一度経験すると、報酬を得る前の期待している状態でドーパミンが分泌され、実際の報酬を得た時にはそれほど嬉しく感じません。逆に、期待していない時に思いがけずもらう報酬は凄くうれしくなり、よりドーパミンが分泌されます。
良い習慣の成果には、潜在的プラトーをクリアしなければなりませんが、それはいつかはわかりません。そのため、いつ来るかわからない報酬が得られた時の喜びは、期待していない時に思いがけずもらう報酬となり、更に多くのドーパミンが分泌されます。つまり、一定の線を超える体験をした人は、よりのめり込むことができるようになります。これをドーパミンスパイクと言います。
脳科学的には、ヘッブの法則と言い、何度も繰り返すことで、脳の構造が効果的に行動できるように変わっていくそうです。やらずには居られない状態で、神経科学者の中では「長期増強」と言われ、長期間継続できる体質になるそうです。”出来る人は何でもできる”イメージを持つとわかりやすいかも知れません。
自己成長が組織を成長させる
自己成長をさせる習慣にも、環境(コンテキスト)を含めた仕組みづくりが必要であることを学びました。そして何より、長期増強している人材が、企業・組織にいればプロダクトも成長できると言えるでしょう。
良い環境で、長期増強された人材が揃っていれば、仕事の作業時間をより質の高い効果的なものにすることができます。同時に、近しい人から学ぶ相乗効果も期待できます。企業・組織を強くするためのEX設計のためにも、この書籍を読まれることをオススメいたします。
書籍で一番刺さった言葉
最後に、習慣化させるために刺さった書籍の言葉をご紹介します。
変化(成果)が遅いせいで悪い習慣に戻ってしまいやすい 今日、不健康な食事をしたとしても、体重はそれほど変わらない。 今夜遅くまで働いて家族をほったらかしにしても、家族は許してくれるだろう。 ぐずぐずして仕事を延ばしても、たいていはあとで終わらせる時間がある。人の決断を”たいしたことない”と片付けるのは簡単だ。しかし、毎日のようにまずい決断を重ね、小さなミスを繰り返し、つまらない 言い訳をして、1%の過ちを繰り返していると、 ささやかな選択が有害な結果をもたらしていく。飛行機がほんの少し角度を変えた時の影響に似ている。 |