私が最初に「デザイン」という世界に触れたのは、グラフィックデザイナーの方から学んだときのことでした。そのとき、はっきりと言われたのを今でも覚えています。
アートと商業デザインは違うんだよ。
この言葉は、私の中に強く残りました。
その後、Webデザインに関心を持ち、インタラクションデザインにのめり込んでいく中でも、「アートとは違うものだ」という認識が、心のどこかにずっとありました。
「デザインは人のためのもの。アートは自分の表現。」
そんなふうに、切り分けて考えていたのだと思います
アートとデザインの共通点に気づきはじめたとき
「アートとは?」と検索してみると以下のようなことが紹介されています。
人間の創造性や感情を、視覚、聴覚、身体的表現などを通して表現する活動や作品のこと。
なるほど、感情や認知をベースにしたもの。たしかに、そこは共通しています。
でも、私は長い間、その「共通点」を深く結びつけて考えることができずにいました。
「デザインとは、ユーザーの考えや行動を考慮してつくるもの。
自分の感情だけを表現するアートとは違う。」そう信じていました。
デザインガイドの勉強会で変わった視点
私の考えが変わったのは、7月9日(水)のランチ時に開催された『The Guide To Design』を深く学ぶ連続勉強会です。
「デザインガイド 2 :業界概要」の勉強会のアジェンダ
02-industry-overview 業界の概要 Marika
アートとデザインの違い(The difference between art and design)
John O’Nolan (4 分)
アートとデザインは同じ?違う?、違う立場に立ってディスカッションしてみよう
担当:Sonoka
学生とデザイン業界の断絶(The disconnect between students and the design industry)Sanjana Galgalikar (9 分)
UXで学生時代に学べてたらよかったのにと思うこと
発表担当:Marika
【TED動画】堅苦しくなく、真面目なデザインこそ素晴らしい(Great design is serious, not solemn)
Paula Scher(20分)
TED動画を見た感想を語り合おう発表
発表担当:ゆーや
勉強会の中では、アートとデザインの違いを明快に説明しながら、両者の“つながり”も丁寧に言語化されていました。
同じ素材でも、形や表現によって価値が変わり、アートは感情を動かし、デザインにも力を与えることができます。
たとえば、蕎麦がトトロの形になっていたらどうでしょう?

(引用:https://x.com/redbeanjam1210/status/1680122052907507713)
ただのパンが、くまさんの形になっていたら?
それだけで人は笑顔になり、写真を撮りたくなり、「わぁ!」と声が出ます。
食べること自体が、ちょっと特別な体験になりますよね。

事実、韓国では”タリムマッ”というパン屋さんがくまさんのパンで流行っています。
それがまさに、アートが持つ「感情に働きかける力」なのだと感じました。
UXデザインにも宿る「アートの力」
UXデザインは、使いやすさやわかりやすさが重視されます。
でも、ただ便利なだけでは、心は動きません。
「うれしい」「かわいい」「たのしい」——
そんな気持ちが乗った体験こそが、人を行動させ、記憶に残ります。
アーロン・ウォルターさんの「エモーショナルデザイン」にも繋がる考え方です。
つまり、UXデザインの中にも、アートの力は生きているのです。
アートが人の気持ちを前向きにしたり、やる気にしたりするように、
デザインもまた、人の行動や感情を変える力を持っています。
私はようやくそのことを、自分の言葉で言語化できるようになりました。
おわりに
アートとデザインは、どちらも「人の感情や認知と深く関わっている」という点では、実はとても近い存在なのだと気づきました。
ただの機能では終わらない。
ただの表現でも終わらない。
その間にある、感情を動かすデザイン。
それこそが、私が目指したい領域だと思っています。
一緒デザインガイドを勉強しましょう!
これから2ヶ月くらいは、毎週水曜日のランチ時に勉強会をやっています。
誰でも参加できますので、一緒に勉強していきましょう!
もちろん、7月16日(水)もやっていまーす。
▼お申し込み
https://uxdt.connpass.com/event/355339
