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UXのワークショップは「形でなく考え方」を学ぶ

みなさんも耳に胼胝ができるくらい「UXの学びは、方法やプロセスなどの形でなく考え方を学ぶべきだ」と聞いていると思いますが、それでもなお、方法だけが先行されるケースをネット上でよくみます。

今回、UX DAYS TOKYO 2024のワークショップを受講して、UXのワークショップをより効率よく効果的に学ぶ方法としての考え方をご紹介します。

プロセスから何が変わったかにフォーカスせよ

UX DAYS TOKYO に限らず、どのワークショップでも実際に手を動かしプロセスを学びます。しかし、そのプロセス自体を勉強しても意味がありません。

UXの学びは、料理やスポーツと同じで、同じプロセスをとったとしても、ちょっとした違いで出来が異なります。例えば、同じ材料で同じように料理を作っても人によって味が変わります。同じプロセスで同じステップを踏んでいてもです。

では、何がその違いを出しているのでしょうか?料理で言えば、ちょっとしたコツがあり、それを理解して料理しているか否かが大切になります。つまり、まずはコツを知ることからはじめなくてはなりません。

コツが何かを理解する方法は?

初学者は学びのコツを理解していないことが多く、表面的なことを学ぶ人が多いです。そのため、方法や内容だけを評価して、それは知っている・知らないと判断します。

コツが何かを理解する方法は、自分が実際に料理を作る必要があります。調理したことがなければコツを理解することはできません。一度やってみて、その難しさがどこにあるかを理解しているからこそ、どこがコツかがわかります。

カレーライスを30人前を作ったことがなければ、30人前の作り方のコツをすぐに理解できないでしょう。一般的なカレーの作り方は知っていて、同じ様に見える作り方をワークショップで紹介されると、「なんだ。変わんないじゃん。」「そんなこと、知っているよ。」と、30人前を作ったこともないのに思ってしまいます。

30人前のカレーは3人分の作り方と同じのようで異なります。ただ、プロセスだけを見ると同じなので、大量のカレーを事前に作ったことがない人はその違いを見に分けることが難しくなります。UXの学びも同じことが言えます。一度でも大量のカレーを作った人はその難しさと内容を知っているため、理解が深まり、ワークショップでの学びの価値を理解することができます。しかし、やり方や方法を見てしまう人は、その難しさを一向に理解することはできません。

このように評価や感想は、その人のバックボーンによって異なるため、講座の評価として適切ではないことがおわかりいただけると思います。しかし、今でも法人研修を行うと、受講者が研修の内容の満足度評価をする仕組みをとっているところがあります。不思議ですね。。。

学びに対して真摯にならなければ成長はない

研修を満足度で評価するのはとっても不思議ですが、ユーザーリサーチにもおいてもこのような間違った慣習があるので気を付けたいところです。口コミ評価についても実際に参考になるようで正しい評価になっていないことが多いと感じています。私個人としては、アマゾンをはじめとする企業で早めに改革をしてほしいと思うところです。

話が少し逸れてしまいましたが、仮に講座の良し悪しを評価するのであれば、その人が何を学んだかを聞くことが大切になります。直接講座の内容の評価に繋がらない内容だとしても、その人の学びや考えが現れるので、その方の評価が適切と言えます。

企業側の利益としても、研修の評価よりも、受講した方のレベルがアップしていることの方が重要でしょう。ですので、もっと簡単な方法として、ワークショップ前と後を比べられるようにしたり、ワークショップ内容の簡単なテストを実施するのも良いでしょう。受講された方も自分のレベルを知ることができ、何より、評価する側から、評価される側になれば、学びに対して真摯になることができます

銀の弾丸はないのだからシンプルで言い尽くされたことから見出そう

海外のトップレベルのスピーカーから学べるとなると凄いものが学べるでのはないか?と期待が膨らむため、より新しい・聞いたこともないような凄いものを想像してしまう方もいますが、トップレベルも全く同じことをしていると考えるべきです。逆に、全く同じことをしているのに、その差が出るのは何かを考えるべきです。

知識がない人こそ、「銀の弾丸」を信じやすくなり、知識がある人こそ、単純で誰もが知っているような内容の中に、学ぶべきものがあることを知っています。

料理の場合はそのコツを知ればかなり近いものを実現することができますが、UXはよりスポーツに近く、コツが理解できたとしても、身につけるまで時間がかかります。そして、現場は千差万別なので、正しく理解していないと同じ手法を使っても間違った結果を生み出してしまうことがあります。

では、どのように学びを深めれば良いでしょうか?

それは、自分だったらどう考えるのか?と考えながら学ぶのです。私の講座でも同じことをしていますが、ヴィタリー・フレイドマンさんのワークショップ「KPIマスタークラス:実務での設計と戦略的活用」では、問題を考えてもらう時間を作って受講生に考えてもらっていました。そして、最後にヴィタリーさんの回答を解説していました。つまり、考えることに主軸をおいているのです。

ただ、ここでも注意が必要で、この回答だけを覚えてしまう人がいます。答えだけを覚えても学びになりません。自分が出した回答と、後から聞いた回答が異なっていたなら、その回答に至った思考回路を正しておかなければ、後知恵バイアスで「私もそうも思っていた。」と自分にも嘘を付いて真実を曲げてしまうことなります。結果的に、学びの機会や内容を半減させてしまいます。

つまり、自分の間違いを知り、それを正すことこそが、本当の学びになります。しかし、人は誰もが自分はできると思うバイアスを持っているため、この思考になりにくいです。

1兆ドルのコーチ、ビル・キャンベル氏も、自分の欠点を受け入れられる素直なコーチャブルな人でなければコーチングしないという様に、自分の欠点や間違いを浮き彫りにして、真摯にならなければ本当の学びや成長はありません。

プロセスを通して、自分の考え方がどのように変化したのか。それを知ることができれば、UXの学びはより深くでき、有能なUXerになることができます。

誰に教えてもらうかが重要

最後に、UX設計などの考え方を学ぶワークショップは、誰から学ぶかが重要だと私は考えています。
仮に同じ内容のワークショップでも、教えてくれる人の解説方法の説得力は人によって異なります。それは、エナジーや経験・その言葉の深さや説明の納得感が変わり、理解度も大きく変わるからです。

私がプログラムを習っていた先生から教わったのは、自分にとって勉強になった書籍の人を全部読むようにすべきということでした。それは、ワークショップでも同じことが言えます。経験が多く、優れた人から直接学べることの素晴らしさはノンプライスな経験であり、体験であり、価値あるものです。

UX DAYS TOKYO 2024で受講したワークショップは、どれも日本で受講できるものではなく、実に充実した内容ばかりでした。受講された方々のレベルも高く、1ヶ月も経たずに復習をされている人は半数以上でした。

この熱い学びを、次の誰かに教えてあげていってもらえたらと感じています。誰から学び、誰に伝えることができるか、それが業界を作る基盤になると考えています。

UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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