マーケティングの中で使用する情報にデモグラフィックデータがあります。
デモグラフィックデータは比較的入手しやすく分析もしやすいため、ほとんどの企業で日常的にマーケティング施策で扱われていますが、デモグラフィックデータでユーザーが本質的に求めるものや課題を発見することはできません。
特定の年齢層や地域に属するユーザーで絞り込んだ場合は、その特定の層に合うサービス設計はできるかもしれませんが、そこに当てはまらなかったユーザーの重要な意見や需要は見逃されてしまいます。
デモグラフィックデータだけを見るのではなく、ユーザー自体にフォーカスし、ユーザーが抱える問題や感じるニーズを直接理解することがサービス設計には不可欠です。
今、プロテインが飲みたいのだ!
数年前にあるテレビ番組で、嵐の松本潤さんがマネージャーに、ランチ時にプロテインを用意するよう頼んだところ、そのマネージャーが購入したのは粉のプロテインだったそうです。
その頃、身体を鍛える仕事をしていたこととランチ時間帯ということで、すぐに飲めるプロテインが欲しかった松本さんは、マネージャーに怒ったと話していました。
マネージャー自身もプロテインを飲む人であった場合は気づくことが出来たかもしれませんが、皆さんだったら、どうしますか?プロテイン以外に何を準備するでしょうか?
この場合は、プロテインを溶かすための水と、粉をこぼさずに入れるための漏斗の代わりになるものを準備することが出来ていたら、相手に喜んでもらえたでしょう。
なお、今ではコンビニエンスストアで飲めるようになっているプロテインはありますが、この時代にはありませんでした。これに目をつけた企業は売り上げを伸ばしていることは記事を読めばお気づきでしょう。
マネージャーでなくても、相手のことを考えられるのが本当のUXerなんですね。
脱デモグラでユーザーの課題を解決しよう
ある時、大容量のプロテインを普段飲んでいるユーザーから、「スプーンがプロテインの容器の底に埋もれており、気が付かなかった」「スプーンが粉だらけで嫌だ」といったような話を聞きました。
これは、実際にプロテインを飲んでいる人しか分からない課題です。
ユーザーのコンテキストを考慮しないと、デモグラフィックデータだけでは把握できない細かなニーズや不満点を見落としてしまいます。
開発者・制作者はユーザーではありません。ユーザーでないと分からないことはたくさんあります。
だからこそ、その商品・サービスを利用しているユーザーに直接話を聞き、ユーザーが解決したいことを発見することが非常に大切です。
ただし、商品・サービスを利用しているユーザーへの調査は非常に重要ですが、ユーザーの中には、その商品・サービスを利用していて不便だと感じていても、「仕方ないかな」「そんなもんかな?」などと問題視していない場合もあるので気を付けましょう。
カスタマーセンターに届く声はビジネスの糧がいっぱい
カスタマーセンターや問い合わせに寄せられる声は貴重で、それを通じてビジネスが向上します。
IT系の銀行やECサイトなど、問い合わせ先が分かりにくい場合は、せっかくのビジネスの糧を捨てているようなものです。
部署によって、問い合わせ数を減らす・コスト削減がミッションになっているケースもありますが、それが本当に企業にとって良い体制かを検討するべきです。
特にマジョリティを拾えないということは、企業の発展にとって制約となります。年配のユーザーにとっても便利に利用できるシステムを企業の成長と共に構築していきましょう。
今回は、デモグラフィックデータにだけ頼るのは、ビジネスの本質的な成長を妨げる可能性があることをお伝えしました。
プロダクトに関わる人は直接ユーザーとコミュニケーションをとり、ユーザーの課題や要望を把握しサービス設計に取り組んでいきましょう。