皆さんは普段、何気なくABテストを実施していませんか?
ABテストは、ランディングページや広告クリエイティブなど、デザインを2パターン用意して、どちらが良いかを検証するテストです。
当たり前のように行っているABテストですが、よく以下のような悩みを耳にします。
- ABテストで勝ちパターンを見出したいが、実施結果を見ても何を改善したら良いのかわからない。
- ABテストの数値だけを見て判断しているが、数値に差がなく、どう判断したら良いかわからない。
- そもそも、ABテストをやる意味がわからない。
また、デザイナーからはこんな諦めの声も聞いたことがあります。
『ABテストの結果だけで判断するので、デザインがぐちゃぐちゃになっちゃう。
デザインシステムとして機能させたいとも思っていたのだけど、組織の方針が右往左往するので諦めざるをえません。。。』
ABテストは仮説検証でしかありません。
テストの目的を持って臨まなければ、次にどう行動したらいいのかわからないという状態になってしまいます。
ちょっと前の自分の行動を覚えていますか?
Googleアナリティクスやヒートマップ分析などのユーザーの行動分析ツールは、軌跡の数字を追って数字化します。そして、その数値だけを見て判断するのは危険です。数値が良ければ良いものでもなく、数字に一喜一憂する必要はありません。
人は日常のほどんとをシステム1(意識することない状態)で行動をしています。
つまり、ユーザー自身が覚えていないような行動や、よくわからないけど、仕方ないからとりあえずやった行動の結果も数値に含まれています。
なのにも関わらず、私が知る多くの現場現状では「数を取る方針の組織」「定量データだけで判断する組織」ばかりです。
では、どうしたらその方針を変えていけるでしょうか?
人は、自分自身で気づきを得ないと納得はしない
定量の数字で判断する組織の場合は、ぜひ上司に『何のために実施するのか?』の問いを投げてみてください。
問うことで、問われた本人は自分で気づくきっかけを得ることができます。
自分自身で考え、気づきを得られれば、人は納得し行動が変わっていきます。
良い方向へ変わっていくためには、一人一人の気づきがとても大切です。
まずは、『方針がこうだからやっている』という場合、その当たり前に行っていることに疑問を持ちましょう。
ABテストでは拾えない、“ユーザーの声“
ABテストでは発見することができないもの、それは何でしょうか?
それは、数値化することが出来ないユーザーの生の声や表情、定性データです。
ユーザービリティテストでは、ユーザーの声や表情を確認することが出来ます。
ABテスト自体が悪いものという事ではありません。
仮説を持ってテストに臨み、出てきた数値は参考になります。
ただ、なぜ、その数値が出たのか疑問を持ちそして、定性的な部分も併せて確認しましょう。
重要なことなので繰り返し記載しますが、ユーザーは無意識化で行動をしています。
そして、ユーザーが置かれたコンテキストによっても行動は変わります。
数値だけで判断せず、ユーザーの心理や感情も汲み取った人間らしいデザイン設計をしていきましょう。
その考え方が組織に浸透すれば、数値に踊らされないユーザーに即したデザインを設計することができます。