UX DAYS TOKYOで勉強も兼ねて「習慣化アプリ」の設計をしています。そこで私が学んだUI設計に関してご紹介します!
脳科学・心理学で習慣化を助けるアプリ
習慣化には、日々の実行記録だけでなく、脳科学・心理学の知見を取り入れることで習慣化しやすくなります。
例えば、心理学には、感情のピークと最後の瞬間を経験全体として記憶するピーク・エンドの法則があります。毎日習慣が終わった直後に「やったぞ!」と自分に声がけしたり、ガッツポーズをして最後に感情のピークを作ることで良い記憶となり、次の行動の原動力になります。
このように脳科学・心理学の知識を得ながら習慣化するアプリを設計しています。
記事を読みたいユーザーをベースに設計したが…
私は「ユーザーは習慣化のために記事を読みたいはず!」と考え、公開予定の記事を鍵付き表示にして興味をそそるUIを設計しました。袋とじの中身見たさに雑誌を買ってしまう「心理的リアクタンス」を取り入れてみました。
ところが、この鍵付きのUIを見て、大本さんから「ユーザーは、本当に記事が読みたいの?習慣化させたいだけで、基本的に記事なんて読みたくないのでは?」とフィードバックがあり「ハッ」となりました。確かに、自分のユーザーとしての経験で考えると、興味があって購読したメルマガであってもほぼ読んでいませんでした。未読メールが積もり、結果的には読む気をなくしていました。
いくら内容に興味があっても、記事を積極的に読むことは少ないですし、読むべき記事がたくさんあると思うと、さらに読む気を失います。
ニーズをすり替えてしまった
私はユーザーの「習慣化したい」ニーズを「習慣の記事を読みたい」ニーズにすり替えていました。これはセオドア・レビットが、消費者はドリルが欲しいのではなく、穴が欲しいのだと警告していることと同じです。
ドリル理論はジョブ理論を学ぶ中で知ってはいましたが、知っていることと実行することの難しさを知り、常に本質的なニーズとずれない様に気を付ける重要性を学びました。
それでも足りないユーザー視点の難しさ
鍵付きUIを改修しましたが、その後のUIは記事をただ一覧にしただけで読んでもらう工夫がなく、まだユーザー視点が足りない」と指摘を受けました。
たくさん並んだ記事の中から自分の見たい記事を選ぶのは難しくなります。これはヒックの法則と呼ばれる認知心理学の現象です。大本さんから、もっと少ない選択肢で選べるように設計をするアドバイスをもらいました。
そこで、関心をひきそうなカテゴリを考えて表示するUIに改善しました。
使ってくれる前提の思考に気づいた
自分の考えたUIは、記事を読んでもらえる前提になっていました。使う時のことは考えても、そもそも使ってくれるのか?を考えてませんでした。仕事でも同じ思考で設計していたので、気づけたことはとても大きかったです。改めて、ユーザー視点で設計する難しさを思い知りました。