ダイソンのドライヤーから見るJobs To Be DoneとUI(ユーザーインターフェース)

ドライヤーのユーザーニーズ(job to be done)とUIについて、ダイソンのドライヤーを通して考えてみました。ブレスト参加は、女子3名(大本、小蕎、大矢)です。

はじめに、なぜダイソンのドライヤーを題材にしたかと言いますと、今まで使用してきた日本製のドライヤーに満足できずにいた所、ダイソンのドライヤーに出会い、やっと満足できる(低温&爆風ドライヤー)ものに出会えたという喜びを経験したことから題材にしました。

3名中2名が持っていた

私はともかく、同席した小蕎さんも所持していたのでビックリしました。3名中2名が持っているのはなかなか珍しいのかも知れないのですが、ここで持っていないマイノリティの大矢さんは、「え!!!なんであんな高いものを!」と発言していました。それもそうです、通常1000円から高くても2万円くらいのドライヤーが倍の値段ほどの¥48,600で販売されているのですから。

私の購入は既にほしいと思っていたので、購買(CV)までの道のりがないに等しいため、購入した小蕎さんになぜ購入したのかを尋ねました。購入のきっかけ自体は、以前使っていたものが壊れたからだそうですが、なぜダイソンを選んだのかを聞くことにしました。

ドライヤーを購入するにあたって考えたこと

(小蕎)髪の毛が長いのでできるだけ風量が多いものがいいと考えました。

ドライヤーの時間というのは自分の中では無駄な時間だと思っているので、できるだけ長い時間使いたくないという気持ちもあります。

値段よりも短時間で乾くというメリットが欲しい(多少値段が高くても気にしない)ことから購入しました。

価値感の違いはどこで異なるのか?

(大本)購入していない大矢さんは、「あんな高いドライヤー、購入するなんて!」というニュアンスと、「多少値段が高くても気にしない。」との差に何があるのはなぜでしょう。

それは、既に使ってそれなりの価値を得ているので、高いと思わないという差です。(この商品が悪ければこの事前で後悔しているはずです。)

ドライヤー選び

(小蕎)女性ファッション誌に、髪の長いモデルさんが各社のドライヤーを使って、乾く時間を計るという記事がありました。

その記事の中でダイソンのドライヤーが一番乾く時間が短いという結果が出ていたので購入を決めました。他のドライヤーと比べて時間は僅差ではありましたが、ドライヤーにかける時間を短くしたいという私にとっては(毎日使うものですし)その少しの時間でも大きいと感じています。

最近はイオン系などのドライヤーも出てきているので、トリートメント効果があるものを求めている人もいるという話は聞きますが私の重視したのはこの二点

  • とにかく早く乾かしたい
  • そこまで痛まない

(大本)私は海外に行くことが多く、既にダイソンと同じような低温でのドライヤーを利用したことがありました。毛量が多い私は髪の毛を乾かす間に汗が出ることや、日本のドライヤーは熱すぎて痛むイメージを持っていて、なんで日本には低温のドライヤーがないのか?と感じていました。そのため、ドライヤーが壊れた訳ではないのですが、購入して利用しています。

綺麗になるより早く乾かしたい

ダイソンが高い価格にも関わらず売れたことで、日本メーカーも早く乾かすことにフォーカスが行くようになってきましたが、基本的に、乾かすだけでサラサラヘアーときれいな髪の毛にフォーカスしているマーケティングばかりが目立ちます。

パナソニックドライヤーのキャッチコピー

Amazonページ
http://amzn.to/2vyzm9L

 ドライヤーを利用する際のJTBD

ダイソンのドライヤーはJTBDモデルにきちんとフォーカスされて開発されています。

JTBD(Jobs-To-Be-Done)とは、「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である(偉大なるマーケティング界の巨人 であるセオドア・レビット氏の名言)」という顧客ニーズを表した言葉と同じ意味合いで、ユーザーが「望んでいる行為」に対して、そのために「購入」「利用する」、というユーザーの真のニーズを引き出すモデルを指します。

ここでのJTBDは、髪の毛を早く乾かすことが望んでいる行為(ニーズ)で、そのためにドライヤーを購入する。というモデルになっています。

早く髪の毛を乾かしたいという思いを持つのは小蕎さんだけではなかったようで、ブレストの中で、大矢さんからも髪の毛を早く乾かしたいと切に願っているという発言がでました。

というのも、大矢さんは、毎日1時間くらいかけてドライヤーで髪の毛を乾かしていたからです。そんな思いから、「速く乾かスプレー」を利用していたのだけど、毎回利用するには高いので続いていないという意見をいただきました。
そして、このスプレーを購入しなくても良いのであれば価格的に安く思える心の変化がありました。

実際、夏になるとPLAZAなどで割と大々的に販売されているようで、アットコスメのレビューでも早く乾かしたいニーズがレビューにも記載されていました。

  • 暑いから、少しでも髪の毛を早く乾かしたくて、購入してみました。(以下略)
  • お風呂の後にドライヤーで、また大量の汗をかき、シャワーする…夏は髪を乾かすのが重労働。(以下略)
  • 髪の量が多くいつも髪を乾かすのが面倒でした 髪の量が多いロングです。(以下略)

早く乾かスプレー

早く乾かスプレー:¥ 2,150

本当に早く乾かしたい願望が垣間見える行動

スーパー銭湯やジムでドライヤーを2台持ちして利用している人を見たことがあります。(実際には私も利用したことがあります。)それくらい女性は早く髪の毛を乾かしたいのですね。

JTBDから見えたダイソンのデザイン戦略

ドライヤーのJTBDが「早く髪を乾かして、ドライヤーの無駄な時間とストレスを軽減したい」であると考察しました。その考察が正しいとして、ダイソンのドライヤーを見ると実に良くできたデザインであることに気づきます。ダイソンのドライヤーが価格が高くても選ばれたのには下記のようなデザイン戦略が隠されていると考えられます。

コンセプトを反映したデザイン

大きな丸い吹き出し口とそれを引き立たせる最低限の機能に絞ったシンプルなデザイン

  • デザイン自体が「大風量であること」→「早く乾かせること」→「乾燥時間とストレスが軽減されるかもという期待感」をしっかり訴求できています。
  • メーカーは沢山の機能があることがサービスと思いがちですが、ユーザーのほとんどは自分のしたいことだけできれば良い人が多いと思います。シンプルにして1番のメリットを強く訴求している大胆かつ潔の良いデザインは、念密なデザイン戦略に裏付けされたものと考えられます。

斬新なデザイン

  • 今までのドライヤーに不満を持っている人は、同じようなデザインのドライヤーを見てもあまり期待できないでしょう。
  • ダイソンの今までにない斬新なデザインは「もしかしてこのドライヤーは私の不満を解消してくれるかも」という期待感をもたせたのではないでしょうか。

ダイソンのドライヤーと一目でわかるデザイン

ブランド

  • 掃除機、空気清浄機などの分野で実績と信頼のあるダイソン。そのシンプルで美しいフォルムはドライヤーにも継承されています。このデザインを見るだけでダイソンとわかります。
  • 強気な価格設定でも選ばれたのは、ダイソンのドライヤーだからということも多いに関係していると思われます。

以上のことからJTBDと自社の強みを理解したダイソンのデザイン戦略の素晴らしさを実感しました。

ダイソンのドライヤーの優位性について

ダイソンのドライヤーが早く乾かせるといっても実際に比べてみると、時間的2〜3分で大差がないもの事実です。では、その他にも他社のドライヤーに比べて、良い点はあるのでしょうか?
なぜ今売れていて女子から支持されているのでしょうか?
いくつかのユーザー視点からの優位性を考察してみました。

1.機能がシンプルで使いやすい

(小蕎)私はあまり電化製品の説明書を見ないタイプなので、何も見なくても使えた点が良かったです。

(大本)はじめて使う時でも、どのボタンが何の役割かすぐにはわかるデザインになっています。まずは、持ちてである枝についている2つのボタンはスライドタイプと押しボタン式です。自然とスライドが電源で、ブルーになっているボタンが冷風だとわかりました。

シンプルな4つのボタン、それぞれ機能がわかるアフォーダンスになっている

筒についているボタンははじめはなんでココなんだろう?と思ったのですが、場所的にこの位置になったのかな?と思いました。ボタンを押して行くに連れて強弱になるのは色も表示もされ触っていくことで学ぶことができました。扇風機の羽のイラスト画風量で、赤いボタンは熱量というのもすぐにわかりました。

2.風量が他の製品と比べて多い

(小蕎)上で述べたように、早く乾かしたい私にとって風量は重要なポイントでした。ボタンで風量や温度が選べるのですが、最大にすると以前使っていたドライヤーとは比べ物にならないくらいの風量でした。

(大本)風量は最大だとどのドライヤーよりも強いです。低温で風量が多いのは私の購入の最大のメリットです。

3.髪がドライヤーに絡まらない

 

(小蕎)ドライヤーによっては、髪を引き込んでしまって絡まるような作りのものがあります。これはダイソンの羽なし扇風機と同じ様なデザインなので絡まる心配は全くないので安心して使うことができます。

(大本)ドライヤーの吸い込み口がドライヤーの口と反対側に付いているので、長い髪の毛の場合、下手をすると髪の毛を引き込んでしまうことがあります。また、風量が多くなればなるほど引き込むため落ちた髪の毛も当然ドライヤーに入り込み、その髪の毛がドライヤーの発熱するコイルに絡みつき、故障の原因になります。今までのドライヤーはこのような問題がデザイン上ありましたが、ダイソンの扇風機同様のデザインで髪の毛が絡まないという安心デザインになっています。

4.掃除がしやすいデザイン

(小蕎)ドライヤーを使っているとどうしてもドライヤーにホコリが着いてきたりするのですが(ホコリが溜まると発火の原因にも)、ダイソンのドライヤーの場合はドライヤーの下部にあるフィルターを外せば掃除ができるので常に綺麗な状態を保つことができます。

(大本)ドライヤーを持つ枝の一番下の部分にホコリが取れる部分があります。これを取り外してティッシュで拭くだけです。凄く楽です。購入のきっかけではないですが、この掃除の楽さはこのドライヤーをより高評価にしています。というのも、通常のドライヤーは全てパーツを外してホコリをとらないといけないからです。

開発には4年近くかかっている

ダイソンが凄いと思うのは、髪の毛が絡む問題を解決するデザインの実装と、それを実装するために長年の開発をしている点です。小さい部品で大量の風量を上手に出す方法は約4年の期間をかけて苦労したようです。

ヘアカラー持ちが良くなるのメリットも!

(大本)知人でヘアカラーメーカーにお勤めの方がいて、染色、特に白髪染は熱に弱く、熱い風が当たると落ちやすいと聞いたことがあります。美容室のヘアカラーでの来店スパンがどこまで長くなるのかまでは検証していませんが、実際に企業で高温はカラーが落ちしやすい実験を行っているので、これらも低温ドライヤーのメリットではないかと考えています。

ダイソンのドライヤーも良いところばかりではない?

温度、風量調節のボタンの位置

ダイソンのドライヤーを利用した人がすぐに思うことは温度と風量の調整ボタンの位置が風が出て来る部分の反対側についています。つまり、ボタンを変更するたびにヘッドの向きを変更させなくてはならないため風が違うところに向いてしまうという使いにくさがあります。

これは私もすぐに感じて使いづらいと思いました。実際、商品の良し悪しを評価している雑誌「MONOQLO(モノクロ)」でも、また実際に使った人のブログでもデザイン(UI)が悪いとして評価されていました。

鏡越しというUI?それでも。。ボタンの位置が。。

しかし、毎日使っていて気がついたのですが、ドライヤーをかける時は鏡を見て使う事が多く、鏡に映して利用すると外側についているのが理にかないました。が、使っていると、電源ボタンと冷風ボタンの位置が気になります。

ダイソンの公式サイトの動画でも自分でドライヤーを持つ人は親指が内側に入っています。電源ボタンや冷風は親指で行うのが通常です。と言うのも、冷風は、交互に切り替えしながら利用するからです。ボタンが外側についていると持ち方をいちいち変更しなければならないため使いづらいです。

ドライヤーに今後期待したいこと

最近、髪の毛を綺麗に保つために、イオン系のドライヤーもありますが、たくさん機能がついていても使わないことが多く、逆に操作の迷いを生むことがあります。

今回のミーティングでは「ドライヤーを使う時間がストレス」である。「何よりも早く乾かしたい」という真の声がドライヤーダイソンに入っていることがわかりました。

機能を増やすよりも、本当のニーズを見出して、使用時間(=ストレス)が短くなるドライヤーが生まれることを期待します。

手に持たないドライヤーはないのか?

最終的な理想としては、手には持たないドライヤーがいいね、という話もあがりました。

ドライヤーに費やす時間や手を上げるなどのドライヤーをかける行為自体が(ストレスを感じない人ももちろんいると思いますが)ストレスに繋がることもあるので、「髪の毛を乾かしながら何か別の作業ができるドライヤー」ができたらいいな、という声も上がってきました。

特に女性は化粧をはじめ、マッサージなど鏡の前での作業が以外と多かったりします。洗面台で固定して髪の毛を乾かしている人もいるようですし、ヘルメット型のヘアードライヤーが誕生してもおかしくないのかも知れません。

実際、ブログを見ると天井から吊り下げている方もいるくらいで、利用シーンも考慮したデザインが必要であることも感じられます。

ダイソン、ドライヤーを持っていない人へ

この記事を読んでダイソンのドライヤーがほしくなったでしょうか?
短時間(ストレスフリー)、安心デザイン、楽な掃除、カラーの持ちが良い、などメリットを考えると安く思えてくるのはビックリですね。

画像引用:http://www.imgrum.org/media/1428068135399728168_1359499

初回発売ではなかったケースが最近では付いていたりするみたいです。(ちょっとごっついのですが)
実際、置き場所なども困ったりするので、壁掛けをDIYで作っている人もいるようです。

(大矢)このブレストでダイソンのドライヤーなら、私の乾きにくい髪質にも通用するかも?試してみたい!と感じました。
でも日本の企業から、もっと画期的なものが発売されるのを待ちたい気もちょっぴりします:笑。

追記

ダイソンドライヤーについて第2弾でUIについて更に言及していこうと思います。公開は8月下旬を予定しています。

大本 あかね

この記事を書いた人:大本 あかね

UX DAYS TOKYO を運営してる Web Directions East.LLCの大本です。
カンファレンス運営していますが、毎年行われているUXDTは私自身も学びの場になっています。また、海外のUXカンファレンスにもいくつかいくようになりました。学んだ知識を実践し、勉強会やブログなどでフィードバックしています。UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう。