「ターゲットのニーズに合わせたデザインを」という話を聞くことがあります。
ターゲットやペルソナに合わせたデザインは必要ではありますが、その前に考えるべきことがあります。
ユーザーが迷わず、当たり前に使えることです。
当たり前に使えるとは?
「当たり前品質」という言葉をご存知でしょうか。
狩野モデルという手法の中にある「それが充足されれば当たり前と受け止められるが、不充足であれば顧客の不満を引き起こす要素」のことで、車であれば「ブレーキがついている」「座席が備わっている」といったような、あって当たり前のもののことです。
モノとして「あって当たり前」以外には「できて当たり前」という考え方にも繋がります。
Webサイトであれば「リンクを押すと想像している通りのリンク先へ遷移する」「迷うことなく目的を達成できる」というものです。
ユーザビリティテストの重要性
ここまで読んだ方で、「そんな簡単なこと、自分が作るものはもちろんできている」と思う方もいるかもしれません。
本当にそうでしょうか?
UX DAYS TOKYOではユーザビリティテスト検定講座を行っています。そこでのユーザビリティテストでは、サイトも規模の大小に関わらず、致命的なミスを多く発見します。
”このサイトの制作者はユーザーとして使ったことがないのでは?”とさえ考えてしまいます。しかし、プロジェクトに携わっているデザイナーやエンジニアは、制作の過程で操作に慣れてしまっているため冷静な判断ができなくなりがちです。
ユーザビリティテストの中には、ユーザーを無作為に選び、製品もしくはサービスを使ってもらう「廊下テスト(Hallway testing)」という、誰がテストしてもできるかどうかのチェックテストがあります。
誰のためというターゲットではなく、無作為にユーザーを選択することで、誰でも使えるUIするための欠陥を特定します。どのユーザーでも当たり前に使えるようにするためにユーザビリティテストは絶対に行いましょう。
好かれる前に、迷わず使えること
プロジェクトの中には、「ターゲットに合ったデザイン」、「今までになく差別化できるデザイン」…など様々な要望があると思いますがユーザーに好きになってもらうためには迷わず使えることが不可欠です。まず当たり前品質の土台を固めてから、好かれるにはどうすればいいかを考えていきたいですね。