ユーザーに寄り添うデザインを実現する「フィードバックシステム」

ウェブサイトやアプリのユーザーや利用シーンは多岐にわたるので、その時・その場所・その人 それぞれの「気持ち」を把握することははじめから困難なことです。これらの課題を解決する方法として、「フィードバックシステム」があります。
この記事では、その特徴や導入方法についてご紹介します。

フィードバックシステムとは?

フィードバックシステムは、ユーザーが制作者に不具合や問題点などの「気持ち」をレポートするシステムです。例えば、ウェブページやアプリに埋め込まれフォームから、ユーザーが自発的に報告することができます。これにより、ユーザーの「気持ち」を制作者に伝えることができ、これまで「デザイナー」から「ユーザー」へと「一方向」であった関係が、「双方向」になり、よりユーザーに寄り添ったサービスが実現します。

どんなものに向いているか?

フィードバックシステムは、以下の2つに適しています。

(1) コンテキストによる影響が大きいとき
コンテキストによる影響とは、データによってインタフェースが変化したり、ユーザーの利用シーンが多岐にわたるものです。こうした変化の予測ができない場合こそ、ユーザーからのフィードバックに頼りましょう。このとき、フィードバックシステムをウェブページやアプリに埋め込めば、「ユーザーがどこで困っているのか」というコンテキスト情報と共に、報告をしてもらうことができます。

(2) 特にサービスの利用品質を高める必要があるとき
フィードバックシステムは、どんなものにでも付ければ良い訳ではなく、場合によっては、肝心の「基本機能」が使いづらくなることがあります。例えば、モバイル向けのGoogle Mapsは、シェイクすると不具合を報告しますが、ときどき誤作動を起こしてしまいます(※)。そのため、「重要な画面」や「β版」など、特にサービスの利用品質を高めたい箇所で慎重に組み込まれることが望ましいです。

※その後、バージョンアップにより、自然な表現に改善されています。

フィードバックシステムの種類

フィードバックシステムには、様々な種類があります。
サービスの「何」を改善したいのか目的を決め、用途に合わせて選択しましょう。

  • (A) コメント型
    • 目的:利用中の個々の課題について、原因を明らかにし収集したい。
    • ウェブページやアプリの随所に埋め込みます。
  • (B) チャット型
    • 目的:利用中の個々の課題について、即時に解決したり、原因を深掘りしたい。
    • 既存のウェブページにチャットを埋め込みます。
    • 外部サービスも増えてきました。
  • (C) レート型 / アンケート型
    • 目的:利用後の全体的な評価、個々の評価について収集したい。
  • (D) フォーラム型
    • 目的:利用後の個々の課題についてユーザーを交えて解決したり深めたい。
  • (E) お問い合わせページ型
    • 目的:利用中/利用後の不具合について対応したい。
    • お問い合わせページを用意し、そこで情報収集します。

フィードバックシステムの導入手順

フィードバックシステムの導入手順について、「導入前」「導入後」のふたつに分けてそのポイントをご紹介します。

A.導入前のポイント

(1) 導入の目的をはっきりさせる
サービスの「何」を改善したいのか、目的を決めます、逆に目的がない場合、設置しないほうが良いです。そのほうが、インタフェースはシンプルとなり操作性が向上します。

(2) 改善に必要なデータをはっきりさせる
改善に必要なデータが何かはっきりさせておくことは、課題解決ができる必要条件を決めること以上に、ユーザーが必要な入力項目の十分な条件を見極めるためでもあります。ユーザーが投稿してもらってこそ、はじめて改善可能になるため、必要最低限の入力項目に精査しておくが大切です。
※ユーザーが送信するデータにプライバシーを含む場合、マスキングできる工夫をしているものもあります。
「GoogleのMeetに見るユーザーーのフィードバックを得るためのデザイン」

(3) 報告してくれるユーザーはいるか?
導入の目的や改善に必要なデータにもよりますが、改善に協力してもらうには、サービスに協力的なエンゲージメントの高いユーザーが必要です。そもそも報告をしてくれるユーザーがいない場合、折角フィードバックシステムを設置しても、使われないものとなってしまいます。

(4) システムの品質は十分か?
不具合を改善する目的ではなく、ユーザー体験を評価し向上させたい場合に有効です。不具合が多すぎると、ユーザーが評価不能であったり、不具合にばかり目がいってしまうため、ある程度サービスが作り込まれている必要があります。

B. 導入後のポイント

(5) 報告したユーザーを適切に把握する。
報告されたコメントは条件反射で解決するのではなく、報告したユーザーがどんな人かを正しく把握する必要があります。
まず「平均的なユーザーなのか?」ということを確認したうえで、マイノリティの意見も大切にしましょう。

(6) 課題に優先度がつけられているか?
課題に優先度を付けるということは、限られた開発リソースで効率よく改善するためでもありますが、課題間にはしばしば矛盾があるため、それらのなかで課題の本質を見極めるためでもあります。
このとき、どちらの課題を優先したら良いのか、そもそも改善する必要があるのか、などが明らかになります。

これからはユーザーが体験をデザインする時代へ

「ユーザーエクスペリエンスデザイン」という言葉が流行し、またその職種も増えていますが、本来、「ユーザー体験」を「デザイン」することは「ユーザー」でしかできないはずのものです。そのため、「ユーザー」のクリエイティビティをどうやって発揮し、どのようにデザインプロセスに参加させるか、がこれからのサービスで求められてくるように思えます。

現状のフィードバックシステムは、不具合を投稿することがメインとなっていますが、これからは、「良いことも報告」できるようなフィードバックシステムになると、より良いサービスに成長させることができるかもしれませんね。

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この記事を書いた人:大本 あかね

UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント

著書
ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザイン
Google Search Consoleの教科書

毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。
UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう!

スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。