TOP 思考・マインド PdMの本当の役割とは?プロジェクト思考とプロダクト思考の決定的な違い

PdMの本当の役割とは?プロジェクト思考とプロダクト思考の決定的な違い

本記事は、プロダクトマネージャーが利用する世界的に有名なツール「Prodpad」のブログで紹介されたものです。「Prodpad」共同創業者Janna Bastow氏は、 UX DAYS TOKYO 2025 ワークショップも予定しています。ぜひ予習として活用してください。

プロダクトマネージャの主な役割は、単なるタスクやスケジュールの管理ではありません。これらは「プロジェクトマネジメント」の視点に偏った捉え方に過ぎません。プロダクトマネジメントにおいては、ビジョンの策定や顧客価値の最大化、そして継続的な価値提供が重要な役割を果たします。

本記事では、「プロジェクト思考(マインドセット)」と「プロダクト思考(マインドセット)」の違いを深掘りし、なぜプロダクト志向が現代のビジネスにおいて成功に不可欠なのかを詳しく解説します。プロダクト志向への理解を深めることで、長期的な成長と競争優位性の確立が可能となるでしょう。

原文: https://www.prodpad.com/blog/from-project-to-product-mindset/

Janna Bastow(ジャナ・バストウ)

外は寒くて雨が降っているので、特大サイズのカップで温かくて元気が出る飲み物を飲みながら、より深い議論をする時間と言えます。それでは、気持ちを引き締めて、プロジェクト 思考からプロダクト思考への移行に、何が必要かという興味深い展望に飛び込んでみましょう。

今回のテーマは、「プロジェクト思考からプロダクト思考への移行に必要な要素」について掘り下げてみたいと思います。

まず、プロジェクト特化型のチームに属している状況を想像してみてください。日々、納品物を生み出しながら、終わりのないタスクリストを消化し続ける……。それはまるで目隠しをしたまま、出力だけを重視して突き進むレースに参加しているような感覚かもしれません。多くの場合、目標は売上主導の緊急性や、組織全体のタスクから派生した外部のビジネスニーズによって設定されています。

こうしたプロジェクト思考において、チームはしばしば「納品マシン」へと変貌します。合言葉は「作れ!そして急げ!」。しかし、ここで立ち止まり、問いかけてみましょう。その取り組みは「正しいものを作ること」につながっているのでしょうか? 多くの場合、この問いは深掘りされることなく、答えは宙に浮いたままになっています。

そこで、視点を変え、プロダクト思考について考えてみます。

プロダクト思考では、アプローチが根本的に異なります。ビジネス側が「何を作るべきか」を指示するのではなく、チームが探求者となり、自ら道を切り開いていくのです。この思考法では、「何を作るのが最善なのか」「なぜそれを作るべきなのか」「どのように実現するか」といった問いを探求し、学びや実験、試行錯誤を繰り返す姿勢が求められます。

プロダクト思考のもとでは、チームは単なるタスクの実行者ではありません。タスクそのものを問い直し、深く理解し、革新を生み出す役割を担います。プロジェクト思考が、外部から決められた道を進むスタイルであるのに対し、プロダクト思考では、チームが自ら目標を定め、発見や洞察に基づき行動を選択します。

プロダクト思考への移行は、単なる実行者から、プロダクトのビジョンを持つリーダーへの変革を意味します。その焦点は、あらかじめ決められたタスクリストの完了ではなく、市場のニーズやトレンドに応える価値あるものの創出に移ります。

それでは、プロジェクト思考とプロダクト思考の本質的な違い、移行を成功させるためのステップ、そしてその重要性について、さらに深く考えていきましょう。

プロジェクト思考とプロダクト思考の違いは何ですか? 

プロジェクト思考を持つチームは、通常、アウトプット中心の目標達成を重視します。このアプローチでは、具体的な納品物を期限内に外に出すことが主な焦点となります。その目標は、しばしばビジネス内の他のニーズと結びついています。

プロジェクト思考においては、ビジネス側が製品チームに対して「作るべきもの」の長いリストを次々と提示し続けることが一般的です。チームの役割は、「これらがやるべきこと」であると受け入れ、限られたリソースの中で完了までにどれくらいの時間がかかるかを見積もることに終始します。そして、このプロセスが繰り返されることで、チームは各プロジェクトが本当に『正しいこと』なのかを検証することなく、ただ納品することに注力するようになってしまいます。

物事をただ作るために作るのではない

プロダクト思考は、単に「作るために作る」ことを目的とするものではありません。プロダクト思考は、この考え方を根本から見直し、「ビジネスに最も役立つプロジェクトは何か?」を問いながら進めていくアプローチです。これは、ビジネス側が一方的に「どのプロジェクトを作るべきか」を指示する従来のやり方とは大きく異なります。

プロダクト思考においては、チームはまず発見に焦点を当てます。彼らは、「何を作るべきか」「どのように作るべきか」「どの順番で進めるべきか」を理解するために、正しい問いを立てる必要があります。そして、発見した内容を基に学び、実験を繰り返し、必要に応じて方向を調整しながら進むのです。このプロセスは反復的で、継続的な改善を伴います。

一方、プロジェクト思考では、事前に外部の要因によって決定されることが一般的です。実際にプロジェクトを実行するチームは、その内容や方向性に関してほとんど発言権がありません。ただ与えられたものを納品することが求められるのです。

これに対して、プロダクト思考では、チームがどのプロジェクトを引き受けるかについて大きなコントロールを持っています。彼らは自主的に発見プロセスを開始し、その結果をもとにどのプロジェクトを進めるべきかを決定します。このように、プロダクト思考はチームに主体性を持たせ、よりビジネスに価値のある成果を生み出す基盤を提供します。

プロジェクト思考からプロダクト思考へ移行する際には、この異なる考え方を深く理解することが重要です。

プロダクト思考マインドセット):プロダクトマネジメント用語集の定義

プロジェクト思考

  • 一時的な取り組み
    プロジェクトは一時的な活動として定義されており、特定の目標を設定された時間枠と予算内で達成することを目的とします。
  • 事前に決定された計画
    プロジェクトには明確な開始と終了があり、事前に決定された一連のステップとマイルストーンに沿って進行します。
  • 計画に従う
    計画やスケジュール、成果物を遵守することが重要視され、予定外の変更や革新はほとんどありません。
  • 完了を目指す
    プロジェクトの成功は、設定されたタスクを完了できたかどうかで測定されます。

プロダクト思考

  • 継続的なプロセス
    プロダクトは静的な成果物ではなく、進化し続ける存在として捉えられています。時間の経過とともに、環境や市場の変化に適応し、成長していくことを目指します。
  • 戦略的かつ柔軟
    長期的な視点に基づき、市場からのフィードバックや変化するユーザーのニーズを継続的に分析します。それにより、ビジネス目標に適応しながら柔軟に進化を続けます。
  • 成果に焦点を当てる
    特定のタスクや機能の完了ではなく、顧客に提供する価値や戦略的なビジネス成果を重視します。この視点により、単なる出力ではなく、長期的なインパクトを追求します。
  • 改善し続ける
  • ユーザーのフィードバックや市場動向の変化を積極的に活用し、プロダクトを定期的に更新します。この反復的なプロセスを通じて、価値の向上と競争力の強化を図ります。
プロジェクト思考プロダクト思考
・一時的な取り組み
・構造化された計画
・実行に焦点を当てる
・タスク完了志向
・継続的なプロセス
・戦略的かつ適応的
・成果に焦点を当てる
・継続的な改善

プロジェクト思考が良いケースはあるのか?

プロジェクト思考が有用な場合もあります。特に、何を構築すべきかが明確であり、最終的な解決策が成功につながると確信できる状況では、非常に適したアプローチといえます。このようなケースでは、作業をプロジェクトとして整理し、計画的に進めることが最善の選択肢となるでしょう。

まず、必要なリソースの見積もりを行い、作業の最適な順序や、各タスクに必要な時間を明確にします。その後、タスクをさらに小さな単位やサブプロジェクトに分解し、プロジェクト管理のフレームワークを活用します。この手法により、作業の効率化や進捗管理が容易になり、適切なプロジェクト管理がもたらす「魔法のような効果」を実感できます。

しかし、現実のプロダクト開発においては、最終的なプロダクトの形が明確でないことが多々あります。新規プロダクトの立ち上げや、プロダクト主導の企業を設立する際には、市場の変化や不確実性に柔軟に対応する必要があります。このような状況では、試行錯誤を繰り返しながら最適な方向性を見出すために、プロダクト思考を採用することが不可欠です。

要するに、プロジェクト思考とプロダクト思考のどちらを採用するかは、状況や目的に応じた適切な判断が必要となります。両者を柔軟に使い分けることで、より効果的な成果を生み出すことができるでしょう。

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BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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