新サービスのリリース後のユーザーのフィードバックは貴重です。皆さんはどのようにそのフィードバックを得ていますか?
先日ローンチされたGoogleの”Meet”のUIに関するフィードバックフォームが非常に使いやすいので紹介したいと思います。
Meetとは?
現在(2017/03/08)、Meetはβ版で、Googleから公式な発表があるわけではありません。
そのため、このサービスに関する情報はTechCrunchの記事くらいしか存在しません。「企業向けのHangouts」というのはこのサービスをイメージするのには一番良い表現でしょう。
Meetでのフィードバックフォームについて
MeetでのUIのフィードバックフォームは、Meetのページの左下のリンクから使用することができます。
このリンクをクリックするとモーダルが現れ、ここからユーザーはすぐにGoogleに対してUIに関するフィードバック(修正依頼など)を送ることができます。
β版だからということもあるとは思いますが、トップページの適度に控えめな位置からワンクリックでフィードバックを送信できるようにしているだけでも優れているところだとは思いますが、これ以外にも実は優れたところがあります。
この機能の優れている点
一見すると普通のフィードバック用のフォームのようですが、実はここには他では見ない(少なくとも私は見たことがない)機能が入っています。
それがスクリーンショットを撮る機能です。下の写真は「クリックして情報をハイライト表示または塗りつぶし」のところを押した時の状態です。これで即座にスクリーンショットを添付して送付することができます。
通常このようなフィードバックを返す時には別途自分でスクリーンショットを取り、それを添付して送ることになります。
つまり、通常ですと使用している最中に直してもらいたい点が見つかった気には、まずコンタクトフォームを数クリックして探しあて、そこに修正依頼事項を記載するだけではなく、必要に応じて自分でスクリーンショットを撮り、修正点がわかるように加工をして送信をする必要があります。
<参考> Slackのフィードバックフォーム
となるとユーザーはフィードバックを返すまでに自分がやっていることを場合によっては長時間中断し、全く別の作業を強いられることになります。
当然ユーザーはフィードバックを返すためにサービスを使っているのではなく、何かしら自分の目的を達成するためにそのサービスを使っているはずですので、この「中断」と「別の作業」は苦痛なものです。結果としてフィードバックを返さないことが大半なのではないでしょうか。(あとで仲間内の愚痴として出てくる程度にとどまってしまうでしょう。)
しかし、今回のフォームのように修正してほしい点に気づいたその場で、別の画面に遷移することも特別な作業を増やすこともなく、コメントもスクリーンショットも送信できるとなれば話は別です。
しかも、Meetの場合にはスクリーンショットの中で強調する箇所を範囲指定したり、(個人情報や機密情報など)消したい部分を黒塗りで潰すこともできます。
これにより自分の作業の中断を必要最低限に抑え(または中断することなく)、会議とは関係のないスクリーンショットの加工を別のアプリケーションで行うなどの作業発生させることなくフィードバックをすることができます。
この機能はこれまでの仲間内の愚痴を、Googleへの価値のあるフィードバックへ変えることに大きな貢献をしてくれるのではないでしょうか。
Meetの気になるところ
しかし、Meetの機能について気になる点はないわけではありません。
Meetの機能が不明確な状態ではありますが、現在の機能では複数の原因にまたがるフィードバックは難しいように思います。
ユーザーが「使いにくいと感じる瞬間」は「○○を押したら××が消えてしまった」「○○を押しても××がでてこない」など複数の要素に跨って発生するものも多くあるはずです。
現在の機能ではあくまでエリアを指定をすることと塗りつぶしだけなので、どれとどれが関連しているのかをうまく説明することは難しいように思います。
しかしながら、そのために多くの機能を追加することがいいとも思いません。
というのも、たとえ多くの機能を加えて細かいフィードバックができるようになったとしても、前に書いた通りユーザーはフィードバックをするためにMeetを使っているわけではなく、また多くの機能を理解することは非常に学習コストがかかることでもあるので、「簡単にフィードバックができる」という利点を損なう原因になりうるからです。
そういう意味では今のシンプルな機能だけにしておくということもある意味いい割り切りのようにも思えてくるところではあります。
まとめ
ユーザーからのフィードバックはサービスを提供している人たちにとっては非常に大切なものですが、フィードバックをするためにサービスを使っているわけではないという当たり前のことを忘れてはいけません。
Meetのフィードバックフォームのように、いかにユーザーの目的を邪魔せずにフィードバックを得るかをデザインするということは、きっとあなたのサービスをより良いものに変えてくれる強力な武器になるはずです。