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ペアデザイン

ペアデザイン: 例えによるペアデザインの説明

クーパー(Cooper)では、高品質なデザインに早く到達するために、ペアデザイン手法を積極的に採用しています。 (たとえ、ペアデザインでハックを使う必要性があったとしてもです)

Cooperは、クライアントと共同プロジェクトにおいて2名の専任インタラクションデザイナーを割り当てています。長い年月を経て、この手法から2つの役割が発展しました。
その2つの役割を、分かりやすく表す言葉を見つけることは難しいことでした。正確性と分かりやすさのどちらを優先するか難しい議論でした。

その結果、正確性よりも分かりやすさを優先し、それらの役割を「ジェネレーター」と「シンセサイザー」と呼ぶことにしました。 (この名称によって、デザイナーが機械のように思われることは承知しています。しかし、この例えを使うことで、デザインチームの性質を示すことができるため適当とも言えます)

ジェネレーター

ジェネレーター

ジェネレーターの役割は、デザインのアイデアを恐れることなく生み出すことです。

ホワイトボードや「OneNote(マイクロソフトのアプリの一つ)」のページにいくつかのデザインを表示し、「これが、私が人々にとって有用だと考えるデザインです」と言うのです。

ジェネレーターはビジュアルデザインに取り組み、デザインソリューションを視覚化します。はじめは手描きで、そしてイラストレーションソフトで視覚化します。

シンセサイザー

john-bowen-solaris-synthesizer-1

シンセサイザーの役割は、洞察力をもって試みと改善を続け、デザインをまとめ上げ、そしてデザインを完成へと導きます。
ジェネレーターが仮定したアイデアに対してシンセサイザーが質問し、それを分析、改善、反復する支援を行います。

シンセサイザーは挙動を言葉で表し、ジェネレーターの描いたデザインを合成しデザインの詳細を作ります。

2人の協力

この2人が協力をしてデザインを独自のものに発展させます。2人で協力することでシステムを利用する人々が目標を達成できる素晴らしいデザインが実現するのです。

役割分担についての余談:

  1. 2人の役割に分かれることは必ずしも正解というものではありません。時には、ジェネレーターがアイデアから離れることもあります。ジェネレーターがペンをシンセサイザーに手渡し、シンセサイザーが考えを描き、逆にジェネレーターがシンセサイザーの役割を担うこともあります。
  2. 私たちは常に手法を研究し改善しています。新しく導入された製品開発サービスがその例です。そして、すべてのプロジェクトにインタラクションデザイナーが必要なわけではありません。
  3. 私たちのチームには、他にも、ビジュアルデザイナー、インダストリアルデザイナー、エンゲージメントリード (営業担当) といった、貴重なメンバーがいます。本記事は、その中でも2人組のインタラクションデザイナーだけに焦点を当てたものです。

やや飛躍しすぎていると感じるかもしれませんが、2人組であれば、皆その可能性があります。
そのため、私たちは、この関係性をわかりやすく説明するために、譬え話を使うことがあります。
譬えとして、パッと思いついたことを言うことが多いのですが、その中でも分かりやすく印象的なものをいくつか紹介します。

スターウォーズの例です
左:ハン・ソロ(ハリソン・フォード)
右:チューバッカ

hannchewie

パイロット=ハン・ソロ

は、ジェネレーターに近いです。
なぜなら…
パイロットは船の行き先を決めるからです。

ナビゲーター=チューバッカ

は、シンセサイザーに近いです。
なぜなら…
ナビゲーターは危険を避け、軌道を保つようするからです。

この例はまったくの正解ではありません。

なぜなら、船では目的地が決定していることが普通です。
一方で、誰のためにデザインをしているのかを私たちは知っていて、どのようなシナリオを通して全体像を実現するべきなのかも知っていますが、そこでどのようなデザインが生み出されるのかは分かりません。

つまり、ジェネレーターに向いているのは、
デザインソリューションを生み出すのが好きな人であり、

シンセサイザーに向いているのは、
落とし穴に気を配り続けるのが好きな人です。

SFファンでない方には、音楽を使った例のほうがしっくりくるかもしれません。

アーティスト ジャスティン・ティンバーレイク

justin-timberlake

は、ジェネレーターに近いです。
なぜなら…
彼らは主に、現在目の前にある課題に集中しているからです。

プロデューサー ティンバーランド

timbaland-orange

は、シンセサイザーに近いです。
なぜなら…
主として彼らは全体像に目を向けているからです。

この例は完全に正しくはありません。
なぜなら…
ジェネレーターは、デザイン全体を文書化した後にシンセサイザーの意見を聞くという手法をとらないからです。
ペアデザインは、共同制作です。それぞれがお互いとの関係性の中で詳細や文脈について考え、頻繁に改善を重ねるのです。

つまり、ジェネレーターに向いているのは、
常にデザインを作っているのが好きな人であり、

シンセサイザーに向いているのは、
一歩下がり、最終的な結果について考えるのが好きな人です。

音楽業界にも詳しくない人のための例が次です。
これは、やや古い例かもしれませんが、私がCooperに加わって最初に紹介された例であり、今でも当てはまるものです。

テレビ番組の「Xファイル」のモルダーとスカリー

左;モルダー
右:スカリー
scully_mulder
http://www.Cooper.com/wp-content/uploads/journal/2011/scully_mulder.jpg

モルダーは、ジェネレーターに近いです。
なぜなら…
彼の仕事は自身の並外れた理論によって支えられているからです。

スカリーは、シンセサイザーに近いです。
なぜなら…
彼女は公平でありながら懐疑的であり、時に鋭い質問を投げかけ、馬鹿げたこととは無縁だからです。

この「例」は完全に正しくはありません。
なぜなら、
モルダーは、スカリーに対して秘密を隠し通すのが得意です。命の危険や、劇的な必要性が生じるまで、それを明かさないのです。ペアデザインにおいては、作ったものを開けっ広げにする姿勢が重要です。そうすることで、デザインの基となる理論が表面化され、デザインそのものに付随し正しく考慮されるのです。

つまり、ジェネレーターに向いているのは、
成功の可能性を秘めた並外れたアイデアを持っている人であり、

シンセサイザーに向いているのは、
鋭い質問を投げかけ、人々を考えさせ続けるのが好きな人です。

他にも、ペアデザインの例えとしていい例があります。
そもそも、このペアデザインはアジャイル開発のペアプログラミングの用語を借用したものです。

他にも聞いたところによると、『サタデー・ナイト・ライブ』(アメリカの有名なテレビ番組)のほとんどは、共同脚本によるものだそうです。マイケル・D・アイスナー氏とアーロン・R・コーヘン氏は、これについて、共同著書『Working Together: Why Great Partnerships Succeed (共同作業: なぜ偉大なパートナーシップは成功を導くのか)』の中で、CEO/COOとしての見地から詳細に説明しています。

実際、これらのクリエイティブな関係性は、極めて共通的かつ生産的なものです。

私たちは、Cooperでそれをより深められているかどうかを、常に意識しています*。
他にも、このアイデアを支持する、もしくはこれに反対する考えをご存知でしたら、お聞かせください。

原文

Pairaphors: Explaining pair design (metaphorically)

http://www.cooper.com/journal/2011/2/pairaphors

UX DAYS TOKYO (代表) 見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通い日本人としてニールセンノーマンの資格を取得。 業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。

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