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カスタマージャーニーマネジメントって何? スタート方法まで解説!

この記事はWhat is Customer Journey Management and how to get started?を翻訳したものです。著者の許諾のもと公開しています。
翻訳元記事:What is Customer Journey Management and how to get started?

カスタマージャーニーマップ(CJM)は、壁にカラフルな付箋を貼るだけのものではありません(笑)。
実際のところ、正しくCJMを使うとその威力は莫大で、デザインチームやイノベーションチーム以外にも、CJMを用いる組織が増加しています。

この記事では、カスタマージャーニー・マネジメント(組織やシステム開発でCJMを上手に使いこなすための)の基本について学べます。

カスタマージャーニー・マネジメントとは何か? なぜ、重要なのか? カスタマージャーニー・マネージャーの仕事とスキルとは? そして、カスタマージャーニー・マネジメントに不可欠なツールもご紹介します。

カスタマージャーニー・マネジメントって何?

カスタマージャーニー・マネジメントの目的は、ペインポイントを取り除き、サービス回復の可能性を理解し、サービス全体に渡って満足のいくカスタマー・エクスペリエンスを継続的に改善しつづけることです。

ジャーニーマップは、ワークショップで使用されるマップ(ワークショップマップ)から、プロジェクトで数ヶ月間使用されるマップ(プロジェクトマップ)、そしてマネジメントのための概要を示す無期限で使用されるマップ(マネジメントマップ)へと発展していきます。

カスタマージャーニー・マネジメントを、ジャーニーマップ・オペレーション(ジャーニー・オーケストレーション)と呼ぶことがあります。これらの用語は同じ考え方ですが、カスタマージャーニーマップマネジメントはより戦略的で、ジャーニーマップオペレーション(ジャーニー・オーケストレーション)はより実践的な意味合いが強くなります。

人によっては、ジャーニーマップオペレーションを、 Research Ops、Design Ops、DevOpsと繋ぐ、トリプルトラックのアジャイル管理に必要な情報システムとして捉え、活用しているかもしれません。

トリプルトラックアジャイル(TTA):プロダクトやサービスの開発フェーズを、基盤・問題発見・納品の3つのトラックに分ける方法論。変化と不確実性からなるシナリオに迅速に適応しながら、ユーザーのニーズに合ったものを開発するのに向いている。

なぜカスタマージャーニーマネジメントは重要なのか?

カスタマージャーニー・マネジメントは、あらゆる組織やプロダクトの成功に重要です。なぜなら、組織が顧客のニーズに焦点を当てることで、顧客が顧客となり、また、顧客が顧客であり続けるからです。ゆえに、組織は、意図したカスタマージャーニーを中心にプロダクト開発やサービスを構築しなければなりません。

顧客満足は、1度だけの感動で得られるものではありません。むしろ、首尾一貫した、長期的かつ縦割り組織を横断するような方法で構築されなければなりません。実現させるには、カスタマージャーニーを、顧客が体験するすべてのタイミングと場面に目を向けることが必要となります。そうすることで、持続可能な顧客満足に繋げられるのです。

A high-level journey map zooming in into three steps, from which on journey map has another zoom level.

カスタマージャーニー・マネージャー

カスタマージャーニー・マネージャーは、現状のジャーニーの調整のみならず、将来の状態のジャーニーへ発展させる役割を担っています。また、ビジネス戦略の計画をジャーニーマッピングするエバンジェリストでもあります。マッピングする中で、プロダクトやサービスの状況、ビジョン、顧客ゴールとビジネスゴールをどう合致させるのかを考えます。

カスタマージャーニー・マネージャーの仕事には、さまざまな形態や肩書き、スキルセットがあります。

カスタマージャーニーコーディネーター、カスタマーエクスペリエンスマネージャー、ジャーニーオーナーなどと記載されているのを目にしたことがあるかもしれません。

カスタマージャーニー・マネージャーが担当するタスクは多岐にわたります。

  • 将来の状態を設定したジャーニーマップに沿ったプロダクトビジョンの形成
  • 顧客ニーズを調査し、現状に即したジャーニーを構築
  • ステークホルダーの管理
  • 現在の状態のジャーニーを管理し、また将来の状態を念頭に置き、アプローチ
  • 共創型ワークショップやリサーチ、プロトタイピングなどのインタラクティブなセッションを管理、進行

箇条書きで示しましたが、カスタマージャーニー・マネージャーの仕事のスキルセットも、すべてが合理化されているわけではなく、求人サイトを見ると、一般的に次のようなスキルが記載されています。

  • ジャーニーマップやシステムシンキングなどの手法やテクニックを含む、サービスデザインへの強い理解を持っていること
  • 顧客中心であること
  • 高い分析スキルを持っていること
  • コラボレーションやプレゼンテーションに役立つソーシャルコンピテンシーが高いこと
  • 学歴や特定の学歴は、厳密な要件ではなく「あればいい」
システムシンキング:システムシンキングとは、「複雑な状況の中で、視野を広げて、様々な事象のつながりや背景にある構造・影響関係への理解を深めながら、より根本的・本質的な問題解決に向けたレバレッジ(手の打ちどころ)に働きかける思考のあり方」です。
引用:https://www.humanvalue.co.jp/keywords/systems-thinking/

カスタマージャーニーマネジメントのステージとは何か?

カスタマージャーニー・マネジメントは、1〜2日で設定できるものではなく、数週間、数ヶ月、時には数年かかるプロセスです。

規模や業界といった組織の条件だけでなく、マインドセットやスキルといったチームの条件、さらには組織内のジャーニーマッピングの成熟度や、どのような品質とフォーマットのマップがすでにいくつ存在しているかによっても大きく左右されます。

一般的に、カスタマージャーニー・マネジメントは大きく「定着と拡大」の2つのフェーズに分けられます。

Ⅰ)カスタマージャーニー・マネジメントの定着

定着のフェーズでは、顧客中心の考え方を作ります。顧客中心のツールや手法を特定のタスクやプロジェクトに適用し、チームはカスタマージャーニー・マネジメントの重要性と価値を理解し始めます。
この段階では、まだ1つか2つのチーム内でジャーニー・マネジメントは行われ、チーム、部門、組織を横断して使われているわけではありません。

Ⅱ)カスタマージャーニー・マネジメントの拡大

拡大の段階では、視点を変え、タスクやプロジェクトに焦点を当て、長期的な戦略思考へ移行します。そして、組織のサイロを取り除き、組織の官僚主義的な政治に対処します。そうすることで、ジャーニー・マネジメントは、組織全体の異なるチームをつなぐ情報システムとしての役割を果たし始めます。

カスタマージャーニーマネジメントをどうやって始めるか?

①すべてのカスタマージャーニーマップを収集する

カスタマージャーニーを以下のように監査します。

  • カスタマージャーニーで既にわかっていることは何ですか?
  • マップはいくつあり、それぞれ何に焦点を当てていますか?
  • どのようなフォーマット(PPT、EXS、PDF、Smaplyなど)ですか?
  • マップは何年前のものですか?
  • 信頼できますか、調査に基づいていますか?表示倍率は?
  • どのようなデータが含まれていますか?

②階層的にカスタマージャーニーマップを整理する

カスタマージャーニーマップの構造化は、カスタマージャーニー全体を10~20のステップで記述した俯瞰的なマップ(カスタマーライフサイクルなど)を作成します。

次に、俯瞰的なマップを把握できるマップと融合させます。特定のステップをより詳細に記述するサブジャーニーとリンクさせます。

③組織におけるジャーニーマネジメントのためのタクソノミーを定義する

俯瞰的マップからサブレベルマップをどの段階まで維持し、どの程度の詳細さで作成するのか、詳細度の段階を定義します。

例えば、顧客のペインポイント・従業員のペインポイント・プロジェクト・KPI・洞察・調査データ・機会・代替ジャーニー・シナリオ・CXビジョン・プロジェクトマップへのリンクなど、マップに表現したいデータは何でしょうか?
全てをどのように呼ぶのでしょうか?
教科書や代理店から提案された方法でなく、自分たちの組織で既に持っているものをベースに作ります。

④管理職の役割と責任を明確にする

この段階から実際の作業に移ります。
個々の(詳細な)カスタマージャーニーに、担当カスタマージャーニー・マネージャーが割り当てられます。

マネージャー達は、ジャーニーの一部や関連する代替シナリオを繰り返し改善し、潜在的なジャーニーを調整するための予算とチームを持っています。

チームは、カスタマージャーニーのデータが正確で最新に更新されているのか注意し、各レベル(俯瞰しているマップや詳細のマップ)を交えてワークセッションを実施します。

カスタマージャーニー・マネージャーは、自分たちのジャーニーを別のジャーニーに引き合わせます。

Visualization of a journey map hierarchy with dedicated journey map managers.

⑤プロジェクトに優先順位をつける

やるべきことは確実にたくさんあります。

リサーチ・ギャップ(情報が欠けている・不十分なため、リサーチクエスチョンに対する結論に到達できていない課題)から始まり、特定のペインポイントや、深刻度の高い・低いに関わらず欠点、機会についても知ることができます。

その上で、今後出てくるであろうプロジェクトのアイデアを評価し、優先順位をつけていきます。

例えば、ある体験の改善では、どれだけの労力が必要か?全体の満足度にどの程度の影響を与えるのか? 誰がどの問題や機会を担当するのか?などを決定しています。

⑥重要なKPIへの合致

自分の仕事の価値を証明には、ジャーニーごとにKPIの定義が有効です。KPIを考えるとき、大抵、人は次のようなビジネス関連の数字を思い浮かべます。

  • 費用対効果
  • 解決済みチケット数
  • 販売数・登録数・予約数
  • 継続・売上

しかし、本当にビジネスのニーズと顧客のニーズを一致させたいのなら、顧客中心主義の分析を加えるべきです。顧客はあなたのROIなど気にしておらず、他に優先することがあるのです。

  • 顧客満足スコア
  • 利用までの時間
  • 保存数
  • ブランド信頼度
  • 使いやすさフィードバック
  • エラー率

持続可能なカスタマージャーニー・マネジメントを実現には、両方が必要です

カスタマージャーニー・マネジメントのツールや手法とは?

カスタマージャーニー・マネジメントでは、幅広い種類のツールや手法が必要です。調査や可視化の分野でジャーニーマッピングを知っている人なら、知られている内容でしょう。

  • インタビュー、観察、サービスサファリなどの顧客体験調査 
  • カスタマージャーニーの可視化手法とツールは、コンテキストに応じて、少人数でも大人数でも、紙とペンでもオンラインでも実現できる可能性があります。
  • ステークホルダーマッピングやシステムマッピングなど、サービスやプロダクトが組み込まれている全体像を把握するための手法です。
  • 予算計画や、チェンジマネジメントなどCXマネジメントの内部課題に役立つリーダーシップ手法など、よりビジネス中心的な分野も含まれます。

マネジメント層にとって重要なのに見過ごされがちなのが、用語や言葉の重要性です。そこで、カスタマージャーニー・マネジメントのために組織内で用語集を作成し、利用したい用語や言葉をリストアップして定義しておくことをお勧めします。

最高のカスタマージャーニーマネジメントソフトウェアはどれか?

カスタマージャーニーマップは、紙とペンで簡単に視覚化できます。しかし、ジャーニーマップを視覚的な管理ツールとして使い始めると、分析とジャーニーの最適化を構造的にできる便利なソフトウェアが必要になります。

ただし、どの組織でもピッタリとハマる最適なカスタマージャーニー・マネジメント・ソフトウェアは存在しません。それは、お客様に適したソリューションは、さまざまな要因に左右されるからです。以下に、3つの疑問と考え方を紹介します。

  • いくつものデジタルツールを導入していますか?
    →状況によりますが、カスタマージャーニー・マネジメント・ソリューションは、ソリューションに適合させ、重複を回避しなければなりません。むしろ、重複をさせないためのものでなければなりません。
  • 何人が作業するのでしょうか?
    →多くの人が関わるほど、ツールのガイダンスを多く提供する必要があります。
  • どのくらいソフトウェアはシンプルで洗練されているべきか?
    →やりたいことが増えれば利用するツールは複雑になる傾向になります。

価値あるカスタマージャーニー・ソフトウェアの機能

カスタマージャーニーインサイトの一元化

カスタマージャーニーを管理ツールは、すべてのジャーニーマップの原点となります。自分の組織でジャーニーマップに使われている様々なフォーマットを考えてみてください。

紙、PowerPoint、Excel、PDF、InDesign、Figma、Miro、Mural、Lucidなど、数え切れないほどのフォーマットです。他の異なるフォーマットのマップを互換性がないので、異なるフォーマットの上に構築は難しいでしょう。

そして恐らく、すぐに互換性のある異なるフォーマットは見つからないでしょう。1つのソフトウェアを使うことで、すべてのマップを1つのリポジトリに、1つのフォーマットとして持つことができます。

新しいジャーニー・マップを作るたびに車輪の再発明ではなく、既存の作品を利用すれば巨人の肩の上(海外の比喩で、すぐに高い視点に立てるの意味)で仕事ができるのです。

カスタマーエクスペリエンスドキュメントの標準化

柔軟性は素晴らしいのですが、柔軟性が必ずしも洞察の発見、文書化、共有の構造化に繋がるとは限りません。

ジャーニーマップをシンプルな黒板に自由に描くと想像してみてください。特に、それぞれに焦点を当てた何十ものサブジャーニーを作成した後はどうでしょうか(統一されていないでしょう)。

ソフトウェアを標準化させることで、カスタマージャーニーマップを共通した分類ができるようになります。

そして、マップを互いにリンクさせ階層化させることで、組織のサイロを横断したカスタマー・エクスペリエンスを先導できるでしょう。

ディスカッション&コメント(論評)

カスタマージャーニーマップは、静的ではありません。常に話し合い、取り組み、最も使われているマップを定期的に更新しなければなりません。

ジャーニーマッピングソフトウェアでは、他のユーザーからマップにコメントをもらうことで、非同期的にマップの作業ができるようになります。

例えば、設計中の将来の顧客体験についてコメントするユーザーパネル、将来のトレンドやアイデアの技術的実現可能性について非同期で議論する専門家グループ、マップにコメントとして洞察やデータを追加する研究者、マップに含まれた、さまざまな機能やユーザーストーリーの開発時間を見積もる同僚、これらを取り入れることなどを考えてみてください。

プロフェッショナル・ジャーニー・マップの提案

チームや顧客の前で、ジャーニーマップを提示しなければならない場面があります。

カスタマージャーニーのプレゼンテーションは、すべての人を同じページに集め、賛同を得るのに役立ちます。ただし、プレゼンテーションの形式と内容が聴衆に適合している場合に限ります。

InDesignやFigmaのような他のソフトウェアで再現しなくても、ジャーニーマップをさまざまな方法で表示できれば、ポイントを伝えるられるようになります。

聴衆を圧倒されてしまうような量のジャーニーやデータを隠したり、同じジャーニーマップをPDF、Excel、PPT、HTMLなどの異なるフォーマットでエクスポートして、さまざまな機会に利用できるようにすることを考えてみてください。

組織の枠を超えたカスタマージャーニー・マネジメントの拡大

カスタマージャーニー・マネジメントは、常に社内のあらゆる部門、あらゆるチーム、あらゆるサイロに導入されることを目指さなければなりません。そのため、拡張性のあるソリューションに特に注意を払いましょう。

その一例として、ユーザーの役割が挙げられます。また、参Z加するステークホルダー(チームメンバー、クライアント、顧客など)が多ければ多いほど、また彼らのバックグラウンド(技術系かどうか、サービスデザイン系かどうか)が多様であればあるほど、アクセス権限や共有権限を注意をする必要があります。

データの安全性とセキュリティ

中にはメンテナンスが行き届いていないもの、時代遅れのもの、データ・セキュリティ・ポリシーが緩い国でホスティングされているものなどがあるかもしれません。その場合は調達やリスク評価で苦労することになります。

まとめ

カスタマージャーニー・マネジメントは、戦略計画や経営管理でも利用はじめています。

カスタマージャーニー・マネージャーが引き継がなければならない業務は、チームにもたらすスキルセットと同様、多岐にわたります。

カスタマージャーニー・マネジメントのツールや手法は、 Research Ops、Design Ops、DevOpsに根ざしており、バックログを流し込み、リーダーシップのためにデータにコンテキストを与え、CXマネジメントのオペレーティングシステムとして機能する情報システムとなるのです。

この記事はWhat is Customer Journey Management and how to get started?を翻訳したものです。著者の許諾のもと公開しています。
翻訳元記事:What is Customer Journey Management and how to get started?

UX DAYS TOKYO (代表) 見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通い日本人としてニールセンノーマンの資格を取得。 業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。

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