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思考スタイル(エマジェネティックス)を活かしたコミュニケーション術

読書会レポート

こんにちは。エンジニアでスタッフの、かじしまさちこです。先日、エマジェネティックスの読書会に参加しました。

エマジェネティックスは、脳科学者 Geil Browningゲイル・ブラウニング氏が開発した理論で、「エマージ(表出)」した性質と「ジェネティックス(遺伝的)」性質を融合し、4つの思考スタイルと3つの行動スタイルで人の特性を見える化するプロファイリングツールです。

ゲイルブラウニング氏
httpswwwkamiguildnercomewr083 より引用

正直に言うと、最初は「人を型にはめるのはどうかな?」と少し抵抗がありました。「星座で性格を決めつけるようなもの?」と思ってしまったんです(笑)。また、UXとの関係もピンと来なかったので、読書会で疑問を解消したいと思いました。

遺伝子と経験が形づくる“自分らしさ”

私たちは生まれながらに遺伝的なプログラムを持っています。著書には、30年間離れて育った双子が同じ職業を選び、似た行動をする例が紹介されていました。

遺伝子はオン・オフを繰り返し、人生経験がスイッチの役割を果たすそうです。例えば、アルコール依存症になりやすい遺伝子を持っていても、アルコールを摂らなければ依存症にはならないという記述がありました。

つまり、「遺伝だから仕方ない」と諦めるのではなく、経験を通じて自分の可能性を広げることができるのです。まだ知られていない遺伝子の働きも多く、私たちには未知なる可能性があります。

思考スタイルと行動スタイルを知ることが、コミュニケーション改善の第一歩

エマジェネティックスは、4つの思考スタイルと3つの行動スタイルで構成されています。自分のプロファイルを知ることで、自分の強みを活かした働き方ができるようになりますし、他者のプロファイルを理解すれば、相手に合わせたコミュニケーションが自然と取れるようになります。

エマジェネティックスの思考特性と行動特性

4つの思考スタイル

1. 分析型

 データや論理を重視し、理性的に物事を考えます。ミーティング前に資料を読み込み、根拠をもって話すのが好きなタイプです。

2.ディテール型(構造型)

ルールや秩序を大切にし、計画的に物事を進めます。具体的な言葉を好み、確実に成果を出すことを目指します。

3. 社交型

人間関係を重視し、直感や感情を大切にします。周囲の気持ちに敏感で、みんなが楽しく働ける環境づくりが得意です。

4.コンセプト型 

 新しいアイディアや抽象的な視点を好み、未来を見据えたビジョンを持っています。変化を恐れず、新しい挑戦を楽しむタイプです。

多くの人は複数の思考スタイルを持っており、その組み合わせによってそれぞれ独自の強みや課題が生まれます。複数の思考タイプが混ざっている場合、他のタイプの考え方に共感しやすい一方で、頭の中で複数の意見がぶつかり合い、決断に時間がかかることもあります。

3つの行動スタイル

1.自己表現性

感情をどれだけ表に出すかで、強タイプの人は自分のことを喜んで話す、弱タイプの人は人の意見を聞く傾向があります。

2.自己主張性

自分の考えや信念をどの程度強く伝えるかで、強タイプの人は自分の考えや関心ごとを進んで話し、弱タイプの人は人との対立を極力避ける傾向があります。

3.柔軟性

他者の要望にどれだけ対応できるかで、強タイプの人は変化や移行があることを受け入れ、弱タイプの人は自分のやり方に一貫性を持つ傾向があります。

以下の図は「分析型」「ディテール型」「社交型」の3つが強く表れているトリプル型のプロファイルです。

エマジェネティックスプロファイルの例
読書会スライドより

自己主張性が強く、自己表現性は普通、柔軟性は低いという特徴を持っています。

物事を型通りに進めるのが得意ですが、社交型の思考もあるためクライアントとは良好な関係を築きやすいでしょう。一方で、自己主張性が強く柔軟性が低いため、交渉の場面では自分の意見を強く押し通す傾向があり、あなどれない相手といえそうです。

このように、思考スタイルと行動スタイルの指標を理解することで、交渉やチーム内での役割分担がスムーズになり、より効果的なコミュニケーションをすることが出来ます。

潜在能力を引き出せば自分を変えることもできる!成長へのヒント

書籍では「プロファイルに優劣はなく、完璧なもの」と強調されており、無理に自分を変えるよりも、自分の強みを活かすことが大切だと記載されていました。プロファイルに悪いものは存在せず、意図的に変えるものではないということです。

とはいえ、仕事や役割によっては特定タイプの能力が必要になることもあります。例えば、管理職にはディテール型の計画力や自己主張性が、リサーチでは分析型の視点が求められます。

そんな時に役立つものとして、画像のような21日間のトレーニングプログラムが紹介されていました。日々の小さな積み重ねで、顕在化していない思考や行動のタイプを引き出し、自分の幅を広げることができます。

21日間のトレーニングプログラム

私は「自分自身がダメだから、自分を変える」と思っていたのですが、そうではなく、顕在化していないタイプを引き出すことが自分を変えることだと理解しました。

ビジネスでの活用法:成功を引き寄せるコミュニケーション術

エマジェネティックス診断テストをしない限り他人のプロファイルはわかりませんが、行動から相手の思考スタイルや行動スタイルを推測することはできるという記述がありました。

図のような人の仕草から、プロファイルを垣間見ることができます。身振り手振りが大きい人は自己表現性が強く、協力を求めた時にすぐに対応してくれる人は柔軟性が高そうです。

人の仕草からプロファイルが分かる
読書会スライドより

推測したプロファイルに合わせたコミュニケーションを取ると誤解が減り、チームの連携がスムーズになります。

例えば、分析型が強い人にはデータや根拠を示し、社交型が強い人には共感や感情に訴える言葉を添えると効果的です。

また、チームビルディングにも最適で、多様なタイプのメンバーがいるとアイディアの幅が広がり、柔軟な対応力も高まるとありました。

「コンセプト型」がいると新しい発想が生まれ、「柔軟性が高い人」が多いと調整は上手でも結論が出にくい…など、タイプのバランスを理解することで、会議の進め方や役割分担も工夫できます。

エマジェネティックスで未来を切り拓く

最初はエマジェネティックスに対して「人を分類するのはちょっと…」と感じましたが、実際には「人を理解するための指針」として非常に役立つことがわかりました。

また、UXとの関連性についても、大本さんの「リサーチの指針に使う」という言葉で腑に落ちました。何も情報がないよりも、「相手の行動から思考スタイルを推測する」という視点があるだけで、ユーザーに対する理解が深まり、リサーチの質が格段にアップすることに気づいたのです。

コミュニケーションに悩んでいる、チームを強くしたい、ユーザーをもっと理解したいという方にとって、エマジェネティックスは新しい視点をもたらしてくれる理論だと確信しました。エマジェネティックスを活用して、より良い人間関係とビジネス成果を目指していきます。

おまけ:エマジェネティックス診断を受けてみた

読書会の後、気になってエマジェネティックス診断を受けてみました。結果は「分析型」と「ディテール型」が強いダブル型でした。

自分でも分析型が強いとは思っていましたが、意外と「社交型」が弱いことに驚きました。身近な人に「自分がどのタイプに見えるか」を聞いてみると、また違った発見があるかもしれません。

筆者のプロファイル

エマジェネティックス診断を受けるには、公式のワークショップに参加するか、認定アソシエイトの方に問い合わせる必要があります。

私は認定アソシエイトの方経由で、エマジェネティックス診断およびフィードバックを受けました。

https://www.slp-linden.com/個人向けメニュー

まとめ

エマジェネティックスとは
脳科学者ゲイル・ブラウニングが開発したプロファイリングツールで、「遺伝的要素」と「人生経験から表出する要素」を組み合わせ、4つの思考スタイル3つの行動スタイルで人の特性を可視化する。

遺伝と経験の関係
遺伝子はオン・オフを繰り返し、経験がスイッチの役割を果たす。つまり遺伝に縛られるのではなく、経験を通して可能性を広げることができる。

思考スタイルと行動スタイルの特徴

  • 思考スタイル:分析型、ディテール型、社交型、コンセプト型
  • 行動スタイル:自己表現性、自己主張性、柔軟性
    → 組み合わせにより強みや課題が異なり、コミュニケーションや役割分担に活用できる。

成長へのヒント
プロファイルに優劣はなく「完璧なもの」とされる。必要に応じて21日間のトレーニングで潜在的な特性を引き出し、幅を広げられる。

ビジネスでの活用
相手の仕草や行動からプロファイルを推測し、それに合わせた言葉や態度をとることで誤解が減り、チーム連携が円滑になる。多様なタイプのバランスはチームの創造性や柔軟性を高める。

UXやリサーチへの応用
「相手の行動から思考スタイルを推測する」視点を取り入れることで、ユーザー理解が深まり、リサーチの質が向上する。人を型にはめるのではなく、理解を深めるための実践的な指針となる。

フリーランスのエンジニア。 2001年東京都立大学(現首都大学東京)経済学部卒業。独立系ソフトハウス(システム開発)、株式会社シンプレクス(金融機関向け取引システムの開発・運用)を経て2011年よりフリーランス。フリーランスになってからは、スマホアプリ、サーバーサイド(Java,Railsなど)と様々なプロジェクトで開発に携わる。現在は会社員時代にお世話になった企業様でRPAプロジェクトで開発を担当している。 ダイエットのためにランニングとヨガを5年ほど続けているが、どちらもガチになる一方で全く痩せないことが最近の悩み。

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