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Information Architecture-「情報設計」を売り込むということ

IAの売り込み方

サマセット(イングランド南西部の地域名)のタンカー裏で、人の良さそうな田舎者に灯油を売って、神経衰弱(精神疾患)や心臓発作を起こす者はいない

― ロアルド・ダール

意訳:タンカーで運ばれたものを小売するだけで利益をあげている商売にびっくりする人はいない。

ロアンド・ダール 映画『007は二度死ぬ』などの脚本を手掛け、宮崎駿氏も尊敬する有名なイギリスの小説家

正直に言って、私はプロの情報アーキテクトでありながら、仕事の営業をする際には、いまだに脇に汗をかかずにはいられない。いまでも営業するとなったら、まるで自分が詐欺師であるように感じて不安に襲われる症状に陥りがちだし、それは兎にも角にも先延ばしにしたくなる業務である。しかし、この億劫な業務は、あなたがコンサルタントであるにせよ、かつての私のように所属組織の中で自分の仕事をアピールする立場であるにせよ、避けては通れない重要なスキルであることに違いない。

カンファレンスやイベントで私が人に会った時、最もよく聞かれる質問は、売り込みかたである。

「どうやって情報設計を売り込むんですか?」

この素朴ともいえる質問は、私が長いあいだ自問しつづけ、同時に幾度も人から投げかけられてきた問いでもある。あまりにも何度も練り返して来たので、今ではここでご紹介できるほどに熟練した回答を返せるようになっている。

でもその前に、言葉の意味について少々…

わかりきったことではあるが、重要なひとつの言葉について、一言述べておきたい。その言葉とは、この記事の中心でありながら、記事内にほとんど現れない部分、つまり”売り込み”だ。

私が思うに情報設計は、そもそも売り込む必要などないものだ。情報設計はあらゆる操作や機能の中に、本来備わっているべきものなのだ。もし何かを作っているならば、情報設計に取り組んでいる、いないに関わらず、あなたはすでに”情報設計”に関わっているのだ。

いうなれば、「情報設計はどんなプロジェクトにも無償で付随しています。」とでも言ってしまえるかもしれない。それというのも情報設計のないシステムなど存在しないからだ。情報設計を売り込むよりむしろ、それが何なのか、どのように機能するのかを”説明”することが重要だと解ってきた。(実際、情報設計は無視されたり、現状を踏襲されることがあまりにも多い)

状況に合わせた説明

何年もかけて、私は状況に合わせた情報設計の説明を作り上げてきた。私たちの仕事においては、仕事の質と同じくらい、様々な方法で説明する手腕が必要とされる。

情報設計を説明するには…

タクシーの運転手やバーテンダー、ホテルのボーイやエレベーターで乗り合わせた人など、短い会話である場合

「情報設計というのは、必要な情報を見つけやすく、わかりやすくするための仕組みです。ウェブサイトやアプリを使っている時、またはお店に入って、欲しいものを見つけられたり、何もかもがわかりやすかったりする時は、情報設計がうまくいっているということなんです。」

デザインの仕事をしているが、情報設計という言葉を知らない人の場合

「情報設計というのは、あなたがデザイナーとして日々行っていることです。大枠の構造やフローを決めている時、ユーザー動線に必要な基本表記や見せ方を検討している時、あなたは情報設計をしているのです。ポスターを作ろうとしているなら、情報設計は、内容の順序や視覚的なメリハリの付け方、要素の優先順位に影響しています。ウェブサイトをデザインしているなら、各ページがどのようにアクセス可能であり、それぞれがどうやってリンクするかに影響しています。プロダクトデザインをしているならば、製品の特徴や機能を、ユーザー見つけやすい表記や見せ方を通して提供する際に、情報設計が機能しています。」

技術の仕事をしているが、情報設計という言葉を知らない人の場合

「情報設計は機能設計に似ています。機能設計における目的は、関係するすべて技術が連携し、有効に機能すること、そしてエンドユーザーに正確かつ適切な情報を結果として返すことです。情報設計においても目的は、システムを通じて提供する情報を、エンドユーザーがわれわれの意図した通りに受け取れることなのです。」

ビジネス、組織またはチームを率いながらも、情報設計という言葉を知らない人の場合

「あなたのビジネスはすでに情報設計を含んでいます。あなたが顧客の興味を掻き立てるために使っている構造、___や___、そして___(電子的なものデジタルでも実在する物理的なものでも、相手がすでに業務上用いている言葉を適宜挿入してください。)は皆、あなたが提供しうる情報やサービスを通じて、あなたの会社そのものを表しています。

その情報やサービスが明確でわかりやすければ、顧客は満足するでしょう。けれどもあなたの提示する情報やサービスが、古くさかったり、不正確だったり、ごちゃごちゃしていたり、埋もれていたり、見つけづらかったり、はたまたあなたの組織内でしか通じない言葉で書かれていたりすると、顧客は不親切だと感じたり、混乱してしまうでしょう。実のところ、これまで私は、情報設計が上手く機能していない企業をあまりにも多く目にしてきたんです。」

自分たちが実践している___において、何がいけないのかわかっていない人の場合

「自分たちの取り組んでいるものを見慣れているがために、かえって改善の余地が見えなくなることがままあります。現状の情報設計を再検討するにあたって、わたしたちは人々があなたの___(※訳注 相手のサービスや製品の名称を挿入してください。)をどのように利用しているのか深く理解することができるように、ユーザー調査の手法を数多く提供するだけでなく、最善の方法を選んで提案することができます。そして構造を改善することで、あなたが目標達成するための手助けができるのです。」

いわゆる「UX」に取り組むことにすでに納得してはいるが、デザイン前に情報設計することの価値を理解しきれていない人の場合

「見た目をつくる前に、高次元の構造をある程度規定しておくと、非常に効率が上がります。デザインを1案作成するのにかかる時間でを使って、いくつもの設計バリエーションを用意することができます。情報設計は青写真のようなものだと考えて下さい。われわれ全員何ができるのかがわかるように、制作物がどのようなものかを示す青写真が必要ですよね。もし青写真がなかったら、互いに不適切なものを作ってしまったことを、後になって気付く羽目に陥るリスクを負うことになります。」

「営業」を最後までやり切るためのアドバイス

情報設計が重要である理由を説明したら、今度は先方へ情報設計に取り組むパートナーとして自分を売り込まなければなりません。以下に、その過程で私が取り組んでいる方法と、関係性を築くために自分に課しているルールを紹介しましょう。

  • 業務になにが含まれ、どのようなスケジュールで進行するのかを話す前に、情報設計が重要である理由を先方に理解してもらえるようにすること。なにがどのようにから話し始めるなら、反発を受ける覚悟をしておかなくてはならない。情報設計においては、全体は部分の総体よりも影響が強い。そのため全体の前に部分を説明してしまうと、価値がほぼ無に帰してしまうこともありうる。
  • あなたが何をするのか相手に見せること。相手が「なぜ」を理解したら、何をするのか見せる必要がある。ポートフォリオや工程の図解、事例、人形劇でもなんでも、とにかく納得させられるもの。
  • 自分の言葉を相手に押し付けないこと。私は仕事のプロセスの中で顧客やパートナーに徐々に教えるよう心がけているが、早すぎる段階で新しい用語を使う際は慎重になる。情報設計の何が問題であるか、相手に自分の言葉で説明してもらうと良いだろう。分類学や制限語彙、メンタルモデルやファセット分類といった言葉については、一緒に作業を行うようになってしばらくするまで待ったほうがいい。どれも重要な概念ではあるが、専門的ではない言葉やよくある言い回しで説明した方が、理解を得られることが多い。
  • 現状のクロスチャネル構造を図式化する手助けをして、誰が各チャネルに従事しているのか明らかにすること。これは紙に書いてもいいし、ホワイトボードで行っても構わない。とりたてて見栄えが良くなくても構わないし、事前に行う必要もない。実際のところ、うまくいくための秘訣は、相手と一緒に、相手のために行うことだ。こうした親切さによって、相手があなたのスキルや考え方を目にする機会が生じる。現在の構造とユーザーの図が出来上がるにつれて、相手も将来への希望や不安をあなたに伝えやすくなるだろう。相手の将来への希望や不安をより多く耳にすればするほど、あなたと情報設計が問題を乗り切るのにどれほど役立つかを、わかってもらいやすくなるだろう。
  • 歯に衣を着せずに物を言うこと。あなたが参加しているのは情報設計をするためなのに、仕事の多くがインタラクションデザインやコンテンツストラテジーであるなら、はっきり言うべきだ。自分の仕事のために、言葉を発すること。もっと情報設計の仕事をやりたい、情報設計家としてのキャリアを積みたいと考えているのなら、インタラクションデザインの仕事ではなく情報設計の仕事をすべきだ。自分の考えをプランに書き加えること。誰もが我慢している神話を終わらせよう。他のみんなのためにも、お願いだから。
  • 自分が相手の期待にそぐわない、あるいは相手が自分に適していない場合に、気付けるようになること。そして断る勇気を持つこと。これはこのリストの中でも、一番難しいアドバイスだ。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

原文:http://abbytheia.com/2014/08/07/selling-ia/

UX DAYS TOKYO (代表) 見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通い日本人としてニールセンノーマンの資格を取得。 業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。

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