年寄りはリテラシーがないのか?
2019年11月くらいの有吉さんとマツコ・デラックスさんが出ているTV番組で、有吉さんのお母さんが以下のような内容を送ってきたということが紹介されていました。
しね
という文字が改行されていました。これを取り上げ、番組では「歳を取るとね〜ぇ。」と、年齢があがるとできない、リテラシがないという話をしていました。
ユーザビリティテストは操作をチェックしなくては駄目
一見、高齢者はリテラシがないと思われるこの出来事ですが、実はコレ、「確定ボタン」と「改行ボタン」がごっちゃになっている起こってしまう問題なんです。(この現象は、iPhoneだけでAndroidでは大丈夫のです。)
確定ボタンと改行ボタンが1つ
UIを作ったことがある方であればすでに行っているテクニックの1つに、1つのボタンだけど、時と場合によって機能を変化させる場合あります。
今回も、右下のボタンが「改行」「確定」と変化します。
これは通常使われるテクニックでとっても便利です。GoogleやFacebookでの書き込みのキーボード操作も同じ様にできています。
選択しているテキストなのに「改行」ボタンになっている
LINEのキーボードは、その変化のタイミングが良くありません。以下の図にあるように、テキストが選択されている状態なのにも関わらず、「改行」ボタンになっています。
「確定」だけしたいのに、勝手に「改行」されてしまいます。この例では「したいのに」のあとに改行したくないのに改行が入ってしまいます。つまり、フォーカスされて決定したいだけなのに、+改行されてしまいます。
これは、「改行したくない改行問題」と言っても過言ではありません。
改行をなくすためには右上の「☓」ボタンで改行を消すのですが、これまた、テキスト全体にフォーカスがあたってしまいます。
そして、確定したいのに「改行」ボタンになるので負のループになるのです。
バイアスを外そう!
高齢者だからと頭ごなしにリテラシがないものだと思いこむのは良くありません。有吉さんのようなプロでない方であれば仕方ないのですが、TV番組として報道されるので、影響力が強い意味では番組のスタッフには間違ったことを伝えることになるので、気をつけてほしいですし、なによりバイアスをできるだけ排除した形で開発できると良いと感じました。
バイアスがあるといくらテストをしても問題を発見できない場合が多く発生します。
ヒューリスティックを有効的に使おう
今回、番組を見てUXコンサルタントとして問題を発見することはできました。UXのプロのであれば発見できることは多くありますが、それは経験も含んだ「視点」が必要になります。
ヒューリスティックとは経験でもあり、厳密に言うとそこにもバイアスは存在しますが、それらはテストをしてユーザーの反応を的確に捉え真摯な気持ちがあれば、何よりも良い発見と解決を導き出すことができます。
UXは誰でもできるものではなく、難しい所以がここにありますが、テストをして常に新たな気持ちで、実直に行っていけば良いUIは生まれます。
そのためにも操作自体のテストもしていくようにしましょう。