ユーザーニーズを理解しなければプロダクトは成功しない
UX DAYS TOKYO 2018のカンファレンスでは、ジム・カルバック氏に「Jobs To Be Done(ジョブズ・トゥ・ビー・ダン、以下、JTBD)」についてスピーチしてもらいました。ちょうど、その半年前に日本でも「ジョブ理論」の書籍が和訳され注目を浴びていたので、スタッフ間では読書会を行いイベントも開催しました。
業界問わず注目された内容にも関わらず、UXとの関係性が見えず、未だにデジタルプロダクトはシステムを時間までに作ることだけに囚われ、UXを飾りにしているところが多く存在します。
リサーチもしない、ユーザーの体験も検討せずに進められるシステム開発
ビジネスやプロダクトの最終目的は、システムができることではありません。ユーザーのペイン・ジョブを見つけ、解決する仕組みをサービス化させることです。
そろそろ、ちゃんとリサーチして、ユーザーは何を問題としているのか?、何を求めているのか?を理解しましょう。そのためにも、ユーザーのジョブを理解して、ユーザーが求めているユーザー体験の成功を描くUXを行いましょう。
駐車場を探すアプリ「akippa」から学ぶUXとジョブ理論
事例を見るとわかりやすいので、大変申し訳ないのですが、akippaというアプリを参考にUX設計の重要性をご紹介します。
akippaは、駐車場の予約ができるサービスです。車に乗る身としては、このようなサービスは本当にうれしいのですが、いざ使おうと思ったら「あれ?」と思うことがありました。
それは、駐車場に向かう時のナビゲーション機能がなかったということです。ユーザーは車で予約した駐車場にいかなくてはなりません。「時間貸し」の場合、初めて行く道である可能性が高く、一方通行があれば迂回しなければなりません。車が通りやすい道をアプリでナビゲートしてくれたら楽です。
正しくUX設計ができていれば、このことに気がつくのは難しいことではありません。しかし、それらの機能を用意している様子はありません。
駐車したいのであって、駐車場の予約をしたいわけではない
元々、akippaは駐車場の予約のシステムで、月極の駐車場を見つけるのがメインのアプリだったのかも知れません。そうなれば、ナビの機能は不要としていたのかも知れませんね。ただ、時間貸しができるのであれば、ユーザーが次にする行動を考えるとナビゲーション機能が必要だと感じるはずです。必要と感じることができれば、自前でなくてもナビゲーションのサービスを行っている企業との連携・タイアップもビジネス上で考慮されるようになります。
ジョブ理論でも出てくるミルクシェイクストーリーと同じように、ユーザーは駐車したいのであって、駐車場の予約をしたいわけではありません。時間貸しの駐車場に初めて車で行くというコンテキスト、ユーザーの「知らない道だし、一方通行あるし、ナビしてほしいな。」の心理がわかれば、備える機能も変わってきます。
予約したいのでなく駐車したいだけ:ユーザーのニーズを見極めてシステム開発する
正しいUXはプロダクトの方向も示唆する
ユーザー視点では、ナビゲーション機能があると良い話をしましたが、ナビゲーションの機能はそれだけでも膨大なシステムです。簡単には作れません。そのため現状として仕方ないのかも知れませんが、UX視点で考えることで、メインの駐車場予約機能が、ユーザーにとってどこまで必要かも検討することができます。
どうでしょうか?予約できたら便利だけど、実は予約より、行きたい場所の近くに駐車場があるか、駐車料金はいくらか、停めやすいか、を知りたいと気がつくはずです。ユーザー視点でのやりたいことの優先順位がわかると、プロダクトの方向性も変わってきます。
現状のサービスは、「予約する→場所取り」をしなくてはなりません。駐車場の現場との連携もあり、小さな駐車場での実装は簡単ではないため、予約できる駐車場のデーターを揃えるのは大変です。ビジネス的に超えなければならない壁が高いと言えます。
ユーザーのジョブとして、予約自体の優先度が高くないと判断がつけば、ピボットできるようになります。つまり、機能の方向転換や削ることができます。結果的にサービスを尖らせる(特徴を出す)ことができます。
例えば、時間貸しをやめて、月極などの固定契約専用に振り切ることで、大家と借り手の月々の支払いの仕組みの機能などにフォーカスすることもできます。
UXはプロダクトを示唆するツールですので、正しく使っていきましょう!
元々のサービスが異なったとしても、正しいUX設計をしていれば時代にあったピボットができます
ジョブ理論をやりたいのであればUX設計をしていきましょう。