Google HOMEが発売され、遅れてAmazon Echoが発売されました。
みんなが一気に注目したスマートスピーカーですが、使うとどんな風に生活が変わるのか?使ってみた感想を踏まえてUXを考えてみました。
スマートスピーカーがあれば電話は要らない!?
先日、今シーズン2回目の風邪を引いてしまいました。鼻水が出る程度の風邪で、病院にも行かず寝て治す程度だったのですが、食事を作るのは面倒だったので焼き鳥を食べに行くことにしました。
そこで、寝ながら「OK!Google 大森にある焼鳥わかの電話番号を教えて」と聞きました。するとGoogleは「大森には焼き鳥ワカが3件あります。一番近いお店はここから3kmです。」と回答しました。
続けて「電話番号教えて」と聞いたら「03-6404-8384」と回答しました。
直ぐに聞き取れなかったので「OK!Google もう一回を教えて」という質問にも、前の設問の回答をきちんとリピートしました。
この時に感じたのは”これから自宅の電話はいらなくなる!?”です。
このまま電話して。と言えば、電話できる。そんなサービスがすぐにできるのだと感じました。
実際、Androidと繋げると今でも電話ができるようです。
VUIの便利さは使ってみないとわからない
スマートスピーカーを利用して面倒だな?と思うこともありますが、使ってみると本当に便利だと思うことが多くあります。
TVを見ていて言葉がわからない時など、簡単&便利なスマホでさえも検索をしませんが「OK!Google***ってどういう意味?」と直ぐに質問することができます。
これらは、使ってみないと本当に便利だとはわからないと思いますが、段々と生活が変わってきていることを実感しています。
ちなみにグループや映画などは代表的なものを2つまでしか解説しません。それはユーザーの短期メモリを考慮した設計なのかな?と感じました。
- ちょっとした検索が音声でできるって何気に凄い便利
- アイドルグループなどは代表的な2名しか言わないけど(嵐は大野智、櫻井翔からなるグループとしか回答しません。涙)
リマインダー機能との連携で秘書になる
私達の仕事はあっと言う間に時間が経ってしまうため、集中して仕事に取り組まなければ効率があがりません。そこで、toggleのようなアプリで時間を測るのですが操作が面倒でなかなか定着しません。
もし、VUIでこれらをコントロールできたら、きっと操作を怠らないと感じています。
例えば、Googleカレンダーの予定をGoogle HOME(AIスピーカー)でリマンドさせるように、その時間になったら何を始めるのか予定を言ってくれたり、聞いてくれたらtoggleの設定を忘れようがありません。
実際、カレンダーには仕事(タスク)という項目があるので、繋がればまさに秘書的な役割をしてくれるでしょう。(現状でできるかどうかは調査中です。)
- タイマーとかは特に便利
- カレンダー連携への期待
音楽を聞くようになった
アマゾンでは「音楽再生時間の拡大へつながり、結果的に日本の音楽市場の拡大に寄与できる」と言っています。
実際、FBのタイムラインでVUIを使った音楽再生の様子の書き込みを見たりします。私自身もHMVやTSUTAYAに何年も行っていないのですが、音声で手軽にコントロールできるのでついつい音楽を聞いてしまいます。Apple Musicでもよっぽど聞きたい曲でないと面倒で購入もしなくなりました。(独身の頃は音楽をあれだけ聞いていたのに不思議と聞かなくなっているのだと逆に感じています)
そういった意味では、日々日常の音楽再生時間は確実に増え、音楽との接点が多くなっています。
例えば、食事をしている時や料理をしている時などは愕然と違います。
iPhoneを操作し、Bluetoothと繋げてから、音楽をかけて料理を作ることもありましたが、これが以外と面倒です。ちょっとしたことですが、このちょっとしたことがVUIでできるのが便利なところです。
料理を作り始めてから、「あ、そうだ。音楽聞こう」となって、音楽を聞く。
そんなコンテキストは当たり前に思いつくはずです。そして、気にいらない音楽は次の曲かけて。で変えてくれます。
仕事をしている時でも同じです。仕事をしながら音楽の設定は面倒ですが、音声でコントロールできるのであれば仕事をしながら音楽をかけることも多くなるはずです。
- ちょっとした面倒な操作ができるのがVUIの特徴
- コンテキストを考慮するとVUIの必要性が見えてくる
TVでニュースを見なくても良くなる!?
TVが誕生して間もない頃は、音声つきラジオと呼ばれたそうです。ニュースはその名残とも言えるもので、読み上げている様子を映しているだけです。
極端な例を言うと、映像がなくても通じるニュースはスマートスピーカーで充分と言えます。逆にTVニュースのように決まった時間でないため、知りたい時にすぐにニュースを知ることができます。
全て置き換わる訳ではないですが、ニュースを見る機会も少なくなるかも知れません。ちなみに、Google HOMEでは日経ニュースを聞くことができます。
VUIは儲かるのか?
VUIのマネタイズや儲けを直接考えてしまう人がいますが、これはNGです。当たり前と言えば当たり前なのですが、UIだけでマネタイズすることはありません。
UIを改善することで、300億円ボタンのように飛躍的に売上があがることはあるため、VUIの設計はUXデザイナーにとっても重要です。そのあたりは今後の課題でもあるのでリーチしていきたいと考えています。
- 【関連記事】UXとマーケティング
- 【関連記事】マーケティングとUXは別物
2017年時点のVUIの改善点
今あるVUIの問題と改善について少しだけ記載しておきます。
会話を長くする
現在の会話は断片的で毎回「OK Google」と呼ばなくてはなりません。
この辺りは、AIがまだ未熟なので仕方ないのです。しかし、近い未来に、例えば会話が終了した時点で、「Finish Google」などと言って会話が終了するようにしなくてはならないと思います。
- 長い会話ができない>いちいちOK Googleなどと言わなければならない
VUIで場所を示すにはランドマークが必要
先程の焼き鳥屋に行く時に感じたことですが、Google HOMEで場所を説明してくれました。しかし、音声で多くを解説されても理解できません。場所が3件あって、どれが行きたいお店かわからないし、住所も覚えていない。というシーンは考えられます。
そこで、住所だけでなく、そのお店の特徴や近くのお店など、ランドマーク的なものを解説に入れることでユーザーは「あそこのお店だ!」と簡単に理解することができます。
- 住所だけでなく目的地近くの目印になるランドマークを入れるべき
ユーザーがAIを成長(学習)させる方法を公開すべき
次に天気について訪ねたことがありますが、明後日の天気を上手に認識してくれませんでした。そこで、「明後日ってどういう意味?」と尋ね、回答を得てから質問したのですが、明後日の天気を回答してくれませんでした。
私の中では、明後日という言葉を認識させているのですが、どのように学習しているのか理解できません。AIを成長させるメソッドをユーザーに知らせる必要があるのではないか?と感じました。
- 学習のさせ方がわからない>明後日の天気>>明後日って何?>明後日って何?>回答あり
なぜVUXじゃなくてVUIなのか?
先日、「VUX:Voice User Experience」ってないのでしょうか?という話題を受けたのですが、なるほど。そのように感じる人もいるのか?と発見と共に、疑問は良いことなので余談内容として記載しておきます。
UX(User Experience)という言葉は、ユーザー体験・利用経験です。その内容は、ユーザーがサービスやアプリを使って感じたことも含めた大きな範囲に渡ります。つまり、ボイスでコントロールする体験もUXに入るためわざわざVUXという言葉で表す必要がないと言えます。ボイスコントロールはあくまでインターフェースになるため、VUIという言葉が用いられています。
スマートフォンを中心としたモバイル端末の誕生は、社会的にインパクトが強く、ビジネスへの影響は大きいことや、パソコンとは違うメディアである認識を持つためのコンセプトとして”モバイルファースト”と言う言葉も誕生しました。
このように、ボイスコントロールの世界がUXという言葉で表せないような新しい体験が誕生するのであれば、VUXと呼ばれるようになるのかも知れません。