UXとマーケティング

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UXはなぜ浸透しないのか?

巷では、UXが流行っています。確かに、「UXを取り組みたいんです」という要望を企業様からいただく機会も多くなってきました。

しかし、詳しく話を伺うと「やりたいことはUXでないぞ!」と”ズレ”を感じることがあります。また、「UXが現場に落ちない。」「UXという言葉でなくても良くない?」などの話題や記事を見るようになりました。

藤井幹大さんのブログ
でも以下のような「ズレ」があるのを指摘しています。

  • 事業の定量目標であるKPI(ユーザーの行動)が設定される。
  • KPIが達成されている状態でのユーザーの体験を表現するために、ジャーニーマップなどが作成=体験設計される。
  • デザイン側では体験設計の実現が目標になり、行動設計が放置される。

2015年にUX DAYS TOKYOへ来日したKate Rutter(ケイト・ルーター)さんのワークショップでは「UXにおける目標の計測方法」と題して、UXの効果測定方法を講演しました。KateはUXの効果測定はユーザーが感じること(UX)の測定でしかなく、マーケティング要素の測定ではないと解説しています。

つまり、ビジネス定義のKPI設定と「UX」がこんがらがってしまっているという状態が、現場で矛盾とズレを発生させています。

「UX」と「マーケティング」の違い

教育部門として2005年から運営している「allWebクリエイター塾」があります。カリキュラムにUX・UI設計講座がありますが、受講生の中にはUXを理解しきれずマーケティング思考でUXを考えてしまうことがあります。

確かに、マーケティングにはカスタマーを理解するというコンセプトが存在します。凄く大雑把に言うと本質的を捉えたマーケティングを行っていればUXもカバーできます。しかし、UXという言葉が誕生したのは、マーケティングという言葉とは違うアプローチと視点の必要があるからとも言えます。

(これは間違った捉え方ではあるのですが)一般的にマーケティングはビジネスゴールが先にあり、ゴールのためにユーザーを動かそうとするイメージが強くあります。しかし、UXはまずユーザーありきなのです。ユーザーのゴール(End Goal)を捉えてそのゴールを成立させるためにペルソナやシナリオなどの設計を行います。

このようにアプローチが異なるだけで、大概は同じこと示唆し、オーバーラップする内容も多く区別が付きづらくなっています。

Googleから見るUXの定義

「UXをビジネスに!マーケティングに!」 という話をすると直ぐに、4P「製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)」のようなマーケティングの基本話になってしまいます。結果としてマインドがどうしても売上げ優先的な思想になってしまいます。

この「マーケティングとUX」の関係性の過ちを説明するのにGoogleがわかりやすいと考えています。彼らのような世界的企業がマーケティングとUXの関係性をハッキリさせています。

Googleの理念はユーザーにいち早く情報を整理して届けるというもので、常にユーザー中心です。ユーザーがどのように感じ、使うかが評価の軸にあります。ユーザーのゴールを中心にしながら、まさにビジネスも成功しています。

Googleのようにマーケティングを中心としてUXを行うのではなく、UXを高めることがマーケティングの成功を導いています。

ペルソナに見られる「マーケティング」との混同

UX Days Tokyo 2016ではペルソナの生みの親のCooperのクリス・ノッセル氏から学ぶペルソナのワークショップが開催されました。

このペルソナに関してもマーケティングの影が色濃くでてしまうことがあります。
ペルソナは本来、マーケティングの為に生まれたものではなく、Visual Basicの開発においてAlan Cooper(アラン・クーパー)が生み出したツールです。
マーケティングの「F1」や「F2」と言われるセグメンテーション(マーケティング的ペルソナ)ではありません。しかし、大半は「マーケティング的ペルソナ」として理解されています。

この「マーケティング的ペルソナ」が、講座中に受講生のUX的ペルソナの理解を阻害していました。UXでは全てのユーザーがゴールを達成できることを目的としますが、「マーケティング的ペルソナ」は、セグメントされたターゲットのゴール達成を目的とします。

結果として、マーケティング的ペルソナを利用した、UXやUIはマジョリティに合わせた偏った設計になっています。

全てのツールには癖があり、その癖を理解して使う必要があります。どのツールも万能ではありません。ペルソナもカスタマージャーニーのゴールを捉え、高いUXを達成する有用なツールです。ツールの意味を正しく理解せずに否定はしたくありません。

UXを取り入れ正しくコンセプトを理解しツールを上手に使い、結果的にビジネスも成功できる企業が、日本で多くでてくると良いなと願っています。

この記事を書いた人:大本 あかね

UX DAYS TOKYO を運営してる Web Directions East.LLCの大本です。
カンファレンス運営していますが、毎年行われているUXDTは私自身も学びの場になっています。また、海外のUXカンファレンスにもいくつかいくようになりました。学んだ知識を実践し、勉強会やブログなどでフィードバックしています。UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう。