「カゴ落ち」とは、ECサイトなどのショッピングサイトでユーザーが「商品をカゴに入れたまま離脱すること」を指します。
みなさんも、インターネットでショッピングしていて、そんな経験がありませんか?カゴ落ち率は、どのリサーチからも60%~70%と言われています。以外と多いですね。
もし、1000人がカゴに入れて、70%が「カゴ落ち」します。ここに、一人当たりの平均購入額が12,000円にすると、12,000円×1000人×70%=8,400,000円もが損失になります。
「カゴ落ち」ほどもったいない損失はない!
ネットショップを運営していれば、誰もが売上をあげたいでしょう。
売上=「単価」×「顧客数」です。
売上をあげるには「単価」と「顧客数」のいずれか、もしくは両方を増やすしかありません。
大手の牛丼チェーンは、単価を低くし、顧客数を増やすために席数を多くします。一方、高級フレンチは、顧客数はそのままでも単価をあげるという戦略を取ります。どちらにしても、単価と顧客数が必要になります。
「カゴ落ち」は、せっかく顧客が購入しようとした行動(購買)の一歩手前で諦めてしまう行為なので非常にもったい現象です。
「カゴ落ち」の最大の欠点は2つ存在します。1つは、単純に売上が減ってしまうばかりでなく、「カゴ落ち」の原因がわからなければ、広告等で流入させ予定していた売上が見込めず、無駄なコストが発生してしまうことになります。
もう1つは、カゴ落ちの悪いショッピングUX(ユーザー体験)によって、そのサイトから2度と購入しようと思わなくなるということです。つまり、せっかく呼び込みした顧客を単純に失くしてしまう、顧客数を減らすどころか「ゼロ0」にしまっています。
カゴ落ちの最大の理由は「決算時」が影響
「カゴ落ち」にはいくつかの理由があり、その最大の理由は「決済時に不明な費用(コスト)が追加されること」が原因です。実に30%以上の人がその理由として選んでいます。
その他の理由は、「新規会員登録の強制(Forced Account Creation)」、「クレジットカードのセキュリティ・信頼性(Credit Card Trust)」、「複雑な支払い行程(Complicated Checkout Process)」、「支払い方法や種類(Payment Methods)」が挙げられています。
「不明な費用(コスト)」を楽天とAmazonで比較
私はネットショッピングを良く利用していて毎日何かしらの商品は届きます。多く到着する日は、1日に5回ほどの配達物が到着します。
ネットショッピングで最も利用しているのが楽天とAmazonです。しかし、最近になって自分を分析してみたのですが、楽天でのネットショッピングの方が驚くほど「カゴ落ち」していることに気づきました。
私のカゴ落ちの状態としては、カートに商品を入れてブラウザのタブを開いたままブラウザ自体を閉じてしまっていました。そこには、どこかでためらいがあるからだと思います。しかし、Amazonではいつの間に購入までに至っています。
今回、楽天で「カゴ落ちする理由」を分析するためにサイトを細かく見てみました。その結果、上記のデーターの通り、送料がいくらなのかを計算しなければならないことに気づきました。つまり、「不明な費用(コスト)」が原因だったのです。
同じ商品での比較
以下は、同じ「快調乳糖」という商品を「楽天」と「Amazon」から購入してみようと検証した場合を比較したものです。
送料に注目して比較してみてください。楽天では送料がどのくらい必要なのか一見してわからない状態です。一方、Amazonでは「関東への配送料無料」とお金がかからないことがわかります。
今回の場合、金額にばらつきがあったので少しでも価格を下げて購入したい人は、送料を計算して購入する可能性もありますが、面倒と感じた人はAmazonでそのまま購入する可能性があります。
もちろん、楽天は店舗ごとに設定しているのでばらつきが出てしまうのですが、ユーザーは注意を払って、コストを計算しなければならないなどの煩わしい作業が発生し、ショッピングUX的には良くないことがわかります。
楽天
Amazon
「不明な費用(コスト)」を検証する
以下は、大手通販ニッセンのサイトです。よく見ると、サイズによって金額が異なり、税込み価格も計算しなければわかりません。
また、サイト上部の1000円クーポンが適用された場合の金額も不明です。
大手通販サイトを「不明な費用(コスト)」に絞って検証しましたが、日本のショピングサイトで「不明な費用(コスト)」が発生している場合が多くありました。
Amazonの完璧な「カゴ落ち」対策
「カゴ落ち」の理由は、「新規会員登録の強制」「クレジットカードのセキュリティ・信頼性」など、他にも多く存在します。
Amazonでは、「カゴ落ち」の理由のほとんどに完璧な対策がされていました。彼らは、全世界で20兆円を売り上げるための地道なリサーチと積み重ねをしてきています。
差別化よりも、基本を改善すべし
他の通販サイトは、残念ながら「カゴ落ち」への対策が不十分なところが多いのが現状です。Amazonの成長に押され、マーケットにおける認知や差別化を重視してしまいがちです。
結果、ウェブサイトの雰囲気や商品のラインアップを変更して新たなマーケットポジションを捉えようとしていますが、新規顧客の獲得や新たなマーケットポジションを認知させるには広告などに莫大なコストが必要になります。
機能やデザインの差別化も大切ですが、現状のサイトの基本的な部分を改善し、「カゴ落ち」を減らし、カゴの大きさを少しでも大きくすることがマーケッター、ショップ担当者、ショップオーナーに大切なスキルセットになるでしょう。