私たちは日頃、CJMを描いています。ユーザー体験はある意味、旅体験に似ていることからその名がついていますが、今回はまさしく、旅での経験でUXを感じることができたので紹介します。
今回、IXDA参加のためスイスに飛んだのですが、マイレージが溜まったこともありビジネスクラスを利用しました。今までも何回かビジネスクラスでアメリカに旅立つことはあったのですが、エミレーツ航空を利用したのは初めてでした。
エミレーツ航空ではビジネスクラスに送迎サービスがあります。「日本から空港まで、空港からホテルまで自分で調べていけば何も問題ないじゃん。タクシーもあるし。」って思っていました。
しかし、英語が必ずしも通じるわけではなく、右も左もわからない国で、ホテルまでの送迎はとってもありがたいです。
大きなスーツケースをゴロゴロと歩かせて、タクシー乗り場を探すけど見つからないという経験をした事がある方もいるでしょう。「そんな空港あるわけないじゃん」と思われるかもですが、日本の空港でさえも間違えてしまうことはあります。それはたまたま、工事などで道が複雑になっていることもあれば、目印になるはずのナビゲーションがわかりにくいという理由かも知れません。
しかし、ツアーと同じように「ようこそ、Mr.(自分の名前)」なんて掲げてくれていると、もてなされている感じで嬉しいです。その後はスーツケースも持ってくれますし、快適な車でタイムロスすることなく、ホテルにチェックインできます。
ペインを改善して新たなサービスが誕生する
UXの中でペインを改善するのは当たり前のことだと思われていますが、そのペインに気がつくかどうかはUXer 次第になります。
以前、大学病院に通院していたことがありました。予約をしているいるのにも関わらず、医師が少ないため、 待ち時間として1時間くらいのは当たり前です。ただ、それを当たり前と思うか、ペインと思うかは、その人の見る視点で変わってきます。
問題認識ができたら次に、どのように改善すべきかのソリューションが必要にあります。人気のレストランでは、既に使われている、リクルートやEPARK、TORETAで作られているような待ち時間が来たら通知するシステムが便利であることが再認識されます。
このようなデジタルサービスは本当に優れています。ただ、病院の待ち時間の場合、呼び出しまでの時間を潰すため、病院から遠く離れることできないでしょう。そこで、どのようなことで時間を潰すことができるか考えてみます。
病院の待ち時間を潰すアイデア
実際の私の行動は、近くのお店で有名店などを検索して、買い物にでかけました。毎日の生活でいつも同じようなものを購入してしまうので、違うお店を発見する良い機会としていました。しかし、私のように自転車であることの条件や、アクティブに買い物に行く人は稀でしょう。そして、少なからず待ち時間は必ず発生するのです。
それを元に考えたのは、健康食品や医療品のお店が病院の一部にあっても良いかも?と言うアイデアです。空港で言えばDutyFreeみたいなショッピングモールです。(笑)
このような場合の買い物は、必ずしもすぐ必要で、その日のうちに購入すべき商品ではないため、商品紹介する店員がいたら、配送がベストかも知れません。駅の一部に旅行代理店やちょっとした店舗があるイメージです。通販に特化しているのであれば、以前紹介したZARAのポップアップストアのようなものもいいかも知れません。
いずれにしても、スマホ持っているし、ネット販売で良いじゃんと思われるかもですが、ネット販売は、類似商品はサジェストしてくれますが、基本は自分から検索しなければなりません。また、リアルだからこそ、試食や試飲もできるので購入者としては安心です。
そして、通院しているのはどこか具合が悪いわけで、それらを予防できる情報は顧客にとっても有益です。このようにユーザーの行動や心理を考えると他にもいろいろとアイデアが生まれそうですね!
タクシーやUberに足らないUX
今回紹介したエミレーツの出迎えサービスは、「タクシーを拾えばいいじゃん。」とか、「Uberもあるじゃん。」と思われがちですが、実はちょっとしたことで安心感がかなり違います。
先程も紹介したように、日本国内であっても知らない街の空港だと戸惑います。それが言葉が通じない国になればなおさら不安です。
イタリアに行った時、タクシーメーターを水増しされて短い距離でも多額の請求をされたことがあります。一昔前の事かと思えば、これは2020年のことです。場合によっては、遠周りをするタクシードライバーもいるかも知れません。
Uberは、これらのペインに対処できるよう、事前に決算でき運転手も選ぶことができます。まさに、UX設計がよくできたサービスです。
しかし、国によってはタクシー業界を守るために空港や駅のタクシーの並びに、Uberは入れない・待てないなど規制をかけられている場合があります。(まさしく日本もUberEatsしか広がっていないのはそのせいですね。)
そういった場合、駅から離れた場所でUberドライバーと待ち合わせしなくてはなりません。ドライバーと連絡するためにもSIMを事前か、すぐに購入しなくてはならず、かなりのペインです。
なんてことでしょう。便利のはずが返って手間になったら(//∇//)
出迎えサービス&Wifiの車内サービス
長い旅路でやっとついたのに、まだまだ越えなければならない山がたくさんで、旅の楽しみに心が踊りながらも、かなり疲れてしまいます。
しかし、空港の出口で出迎えをしてくれたら、その心配はありません。このサービスが、2,000円だとしたら、出す方はそれなりにいるのではないでしょうか?
次に、車でのサービスです。2000円のサービスなのでお水の提供はもちろんのこと、SIMが手に入るまで車内で無料Wifiを提供すると良いでしょう。そして、国でも都道府県レベルでも良いので、SIMが販売されている店舗をMAPで示すべきです。それがまた来たい国になる一つの要因になるのです。ネットが入れば本当に安心です。
インクルーシブ・デザインの基本
国内の海外旅行者の数は、人口に比べ少ないですが、その少数派の体験を改善することで、今回紹介した様な新たなサービスが誕生します。
既にある事柄が普通ではなく、問題点は何か。よりサービス向上にするにはどうしたらいいのか?
ソリューションから考えるのではなく、人の行動や心理を上手に設計するだけで、既存のサービスに少し手を加えるだけで良いUX設計ができるのではないかと感じています。