コミュニケーションにおいて、相手に伝えたいことが、まったく伝わっていないことがあります。
事業者とユーザー間の関係で例えてみましょう。事業者は広告等でユーザーに製品やサービスをアピールするとき、受け取る側のユーザー視点が欠けてしまいがちです。
テレビCMやSNSなど、ユーザーの目に触れる機会はたくさんありますが、ユーザーがその製品やサービスを選ばなければ意味がありません。
ユーザーは利便性やメリットに共感して、製品やサービスを選びます。
伝えるだけでは不十分で、共感が得られてはじめて相手に伝わり、気持ちを動かすことができます。
伝わるためには共感が重要
ユーザーの共感を得るためには、ユーザーがどんなときに何を考え、どう行動しているのかを知る必要があります。
例えば、男性が女性をデートに誘う場合、相手の女性の好みを知らずに思い込みで誘うよりも、相手の好みにあった場所に誘ったほうが相手に好意が伝わりデートの約束がとりつけやすくなります。
同じように、事業者はユーザーが感じるメリットや利便性を憶測するのではなく、アンケートやインタビューといったユーザー調査を通じて事実に基づきユーザーを理解することが重要です。
どのように共感してもらうか
ユーザーを深く理解できるようになると、ユーザーがどんな時に、何に不便を感じ、どんな行動をしているのかがわかるようになります。
例えば、あるレストランが子供連れのファミリーに種類豊富なビュッフェランチに来てほしいとします。母親は普段子供の好き嫌いが多く、家族で食事するときは自分が食べたいものを食べられず不満に思っていること知ります。レストランはこのような悩みを持つ母親に対して「子供も親も好きなものを好きなだけ食べれるビュッフェランチ」と伝えることができます。
このように、伝える相手を明確にし、相手にとって共感できる内容・伝え方をすることで、共感してもらいやすくなります。事業者とユーザー間のコミュニケーションにおいても、具体的なユーザー像や利用シーンを考慮した伝え方にすることで、共感できる利便性、メリットが伝わるようになります。
共感は、UXを組織に浸透させるためにも重要
事業者とユーザーの話だけではなく、UXを組織に浸透させていくためにもこの考えは重要です。一般的なUXの重要性や、組織にとってUXを取り入れるメリットを一方的に伝えるだけでは、すぐにUXが浸透した組織にすることは難しいです。正しいことを言っているはずなのに伝わらない…と悩むだけでなく、「伝わらなければ意味がない。伝わるために相手に共感される伝え方になっているか?」と改めて意識してみましょう。
相手が上司であれば、UXが組織目標にどう影響するのか、部下や同僚であれば、UXがどのようにサービス向上につながるのか、実施することで自分の評価にどうつながるのか、など相手の悩みや目標に合わせて伝える事でUXが浸透しやすくなります。