おもてなしのつもりが逆効果!?
2020年オリンピック招致国決定のプレゼンから”おもてなし”という言葉が注目されています。
UX設計を行う上でもおもてなしの心は必要ですが、時におもてなしのつもりが逆効果になっていることがあるようです。
ある病院で”おもてなし的な”出来事を記事にされた方がいらっしゃいます。
それは、病院の先生が患者の要望を理解せず、おもてなしのつもりでたくさん会話をしてきた。というものです。筆者は続けて本当の”おもてなし”は以下のようなことではないか。と記載しています。
本当のおもてなしは沢山コミュニケーションをとったり、何かをしてあげればいいわけではありません。
相手のニーズを感じて、相手が負担なく気持ちよく過ごせるような対応をすることが大切です。
●おもてなしのつもりが失敗?!本当にお客様のことを考えるとは
上記の様な”おもてなし”のつもりは、デジタルにも存在しています。
特に、EFO(Entry Form Optimization )を行っているつもりでミスをしているケースがあります。
入力をサポートする機能が面倒になるだけに!
フォームのUIが良くなることで、CVが上がることはみなさんご存知かと思います。その手法としてエントリーフォーム最適化(EFO)が存在します。これらも時と場合と使い方によって逆効果になってしまいます。
以下の例はやり過ぎてしまった例で、氏名の入力フォームの「姓」「名」「フリガナ」の欄に入力例が入っています。
銀行などの記入例の資料など、リアルでも良くある記入例ですが、さすがに名前は入力例がなくても入れられると思います。
実際に私自身が行ってしまった行為は、無意識に文字が入っている認識をしてしまうので、自然と[Deleteキー]を叩いてしまいます。ちょっとのことですが不快に感じました。通常プレースホルダは消えるはずなのですが、(きっとvalueで値を入れていて)消えなかったこともDeleteを押してしてしまった理由かも知れません。
デフォルトで入っている選択
次にラジオボタンでの選択です。
上記のフォームはデフォルトで性別に「男性」が入っています。男性からすると1つのクリックがなくなるのかもしれませんが、女性からすると「なんで入っているの?」って思ってしまいます。
そして「まぁ、このままでいいや。」って思ってそのままにしてしまうケースが発生します。実際、アンケートやサーベイは、ユーザーにとって重要でないものになればなるほど結構適当に回答してしまうものです。
海外のサーベイで実際にあったことですが、セレクトボタンで選択するのが面倒なので、人口数が少ない地名なのにも関わらず、デフォルトになっていた地域名が一番多いというデーターになった例があります。
EFOについて正しく理解しよう
リアルの申し込みのデザインをそのまま利用することはできない
EFOを説明している記事では氏名をプレースホルダに入れる例を良い例として紹介していますが、これは良くない例ですし、決してEFOではありません。全文記事の画像
リアルの銀行の入力例をそのままデジタルに起用してもうまく行かないことが理解できると思います。W3Cでも名前を入れる例として出していますが、これはEFOではないですね。
本当のフォームの最適化とは?
GoogleのEFO(Entry Form Optimization)
GoogleのEFOは良くできています。
例えば、新規アカウント作成での[名前]の項目フィールドに何を入れるべきか、項目の種類が入っています。決してダミーの名前は入っていません。(苦笑)
英語では日本語と項目が変わるため、名前に当たるラストネームが先に来ます。このあたりもユーザーに即したEFOがなされています。
FacebookのEFO
Facebookも上手にデザインしています。なんと!入力項目さえも取っています。
これは、Googleとは異なり必要な項目が少ないためできる内容になります。プレースホルダはブラウザによっては表示されない場合がありますが、そのあたりもデーターを見て判断していると予測されます。
Facebookの新規登録は氏名という項目を無くしてシンプルにする最適化を行っています。
たくさんの言葉が一度に入ってくるとユーザーは混乱をきたしやすくなるのでシンプルを追求した最適化と言えます。
TwitteのEFO
TwitterもFacebook同様に項目もありません。私の記憶ではTwitterがはじめに項目を無くしていたように思います。
SNSサービスのログインやアカウント作成として、はじめに「アカウント名」次に「パスワード」が来るというメンタルモデルを形成させたのかも知れません。
プレースホルダの利用には注意が必要
プレースホルダは通常フォームにフォーカスすると消えます。そのため、長いコンテンツを入れることはタブーとされています。このあたりはニールセンの記事を参考にしてください。
日本のデザインは細か過ぎ
説明文がないとトラブルになりやすいということも理解できるのですが、時にユーザーの利便性をあげるために項目さえもカットするデザインも有効的と言えます。
細かくデザインすることで、ユーザーをサジェストするつもりが、結果的には迷わせる、面倒だと思わせるデザインになってしまうかも知れません。
細かく説明すればするほど伝わりにくいということも考えて、ユーザーにどのように伝えることが正しくわかりやすく伝わるかを考えてデザインしていきましょう。それが結果的に”おもてなし”に繋がると言えます。