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リサーチするうえで知っておきたい、欲しいと頼んだ紅茶を飲まなかった理由

UX DAYS TOKYO 2024のワークショップ開催時に起きた運営エピソードが、リサーチに通じる内容だったので紹介します。

欲しいと頼んだのに、紅茶を飲まなかったのはなぜ?

ワークショップの際に、講師のサポートしていたスタッフが、温かい紅茶を作りたいのだけど、どうしたら良いかと相談してきました。紅茶は、コンビニでコーヒーのようにサーバーから注いですぐ飲める形式で販売しておらず、苦肉の策で顆粒の紅茶を購入してきたのですが、「会場にはカップやお湯がない」と困っていました。その時、受付や会場準備で忙しい朝の時間帯だったのですが、なぜ講師はそんな要求をしたのでしょう?私は、スタッフの聞き方に問題があるのではないかと想像しました。

結局、スピーカーに紅茶を渡すことはできなかったのですが、案の定、ワークショップが終了しても催促はありませんでした。実は、前の年にも同じようなことがあり、コーヒーを提供したのですが、そのまま残っていたことがありました。なぜスピーカーは紅茶を飲まなかったのでしょう。

「二分法の誤謬」バイアスで選択してしまっている

人には、選択肢を提示されると、その中から選んでしまう「二分法の誤謬(誤った二分法)」のバイアスがあります。

霊感商法の詐欺で、消費者が不幸を防ぐために壺を買ってしまうのは、「買って不幸を防ぐ」と「買わずに不幸になる」の二択から選んでいるからです。本来は、「買わずに不幸にならない」という選択肢があるのにも関わらずです。

詐欺に引っかかるのは、壺を買わなくても不幸にならない選択肢が隠されてしまうから

スタッフは講師に「何を飲みたいですか?」と聞いたので「飲まない」という選択肢が隠れてしまい、あえて飲むなら「紅茶」を依頼したのではないかと推測できます。もし、スタッフが「飲み物は入りますか?」と聞いていれば、スピーカーは「要らない」と答えることができたでしょう。

リサーチをする上で心得ておきたい

この話がプロダクトのリサーチであれば笑えません。ユーザーが欲しいと言った機能を実装しても、無駄になってしまいます。ユーザーの言葉が心からのものか、UXerとしては、インサイトを探るリサーチ力は身につけておきたいです。鋭いリサーチ力を身に付けるためにも、ユーザーは必ずしも欲しいものを言葉にするわけではないことを念頭に置きしょう。

ユーザビリティテストのプロービングに役立つ

ユーザーの発言とインサイトが異なるのは、ユーザーインタビューだけではありません。ユーザビリティテストでは、被験者は、UIがわかりにくかったり、面倒だったとしても、なんとかしてタスクを完遂させようとします。
つまり、テストと実際に利用する行動が変わってしまいます。この様なテストにならないためにも、離脱して良いこと、デザインのテストをしているから問題を発見して欲しいことを事前に伝える必要があります。

ユーザー調査は実施すれば良いわけでなく、インサイトを探ると言う目的を忘れずに実施しましょう。また、紅茶の質問の様に、ユーザー自身も自分のインサイトを知らず、無意識に誘導されてしまうケースもある事を念頭に調査しましょう。

BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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