エンジニアスタッフのかじしまです。
2026年6月19日に、マイケル・ワトキンス著『ハーバードビジネス式マネジメント 最初の90日で成果を出す技術』の読書会に参加しました。
タイトルや帯を見ると、新任マネージャー向けの本に思えます。しかし読み進めると、テーマはもっと広く、「新しい環境で成果を出す方法」でした。
入社、異動、新しいプロジェクトへの参加──私たちは誰もが何度も「最初の90日」を経験します。
今回は、印象に残ったポイントをいくつか紹介します。
動く前に、まず知る
最も印象に残ったのは、「まず状況を理解する」という考え方です。
ここでいう「学ぶ」とは、知識を増やすことではなく、新しい環境を正しく把握することだと説明されています。
「早く成果を出したい」という焦りから、すぐに行動したくなります。しかし、最初に求められるのはその逆で、状況をつかむことが優先されます。
その具体的な方法として、関係者へのインタビューが紹介されていました。あらかじめ質問を用意し、全員に同じ内容を聞くことで、思い込みや先入観を避けることができます。
- 直面している最大の課題は何か
- なぜその課題が起きているのか
- まだ活かされていない機会はあるか
- それを活かすために必要なことは何か
- 自分がこの立場なら何に注力するか
この方法を読んで、現場での経験が重なりました。状況を十分に理解しないまま「正しい解決策」を提示してしまい、かえって混乱を招く場面は少なくありません。
「まず知る」という一見地味なステップが、その後の成果を大きく左右するのだと感じました。

信頼は「小さな成功」から生まれる
新しい部署や会社に入った人は、まだ周囲から十分に信頼されていません。
その状態で大きな変革を進めても、受け入れられにくいのが現実です。まずは小さくても確実な成果を出し、「この人となら前に進めそうだ」と感じてもらうことが重要だとされています。
読書会でも、「最初の成功はどこでつくるかが重要」という話が出ていました。どの課題に取り組むかによって、その後の動きやすさが変わるという視点です。
この話を通じて印象に残ったのは、最初の成功は偶然ではないという点でした。
状況を理解したうえで、意図的に設計するものなのだと捉えるようになりました。

上司を変える前に、理解する
成果を出すうえで、上司との関係も重要です。
「上司とうまくやるのは100%部下の仕事」という考え方が紹介されており、相手を変えようとするのではなく、まず理解することが求められます。
相手の期待や判断基準を把握せずに動いてしまうと、どれだけ正しいことをしても評価されないことがあります。
読書会では「社内政治」という言葉も話題になりました。これまで少し距離を置きたい言葉だと感じていましたが、「人間関係と捉えると理解しやすい」という意見を聞いて、見え方が変わりました。
組織で成果を出すには、人や関係性を理解することも欠かせない要素なのだと実感しました。

誰もが経験する「移行期」
読み終えて強く感じたのは、この内容はリーダーに限ったものではないということです。
入社、異動、新しいプロジェクト──私たちは誰もが何度も移行期を経験します。
そのとき必要なのは、自分の正しさを証明することではなく、状況を理解し、小さな成功を積み重ね、信頼を築くことでした。

リーダーを支えるという読み方
この本は、別の視点から読むこともできます。
新任リーダーを支える立場として、現場の情報を整理して伝えることは、意思決定を助ける重要な役割です。
誰が何に困っているのか、どのような経緯があるのかといった情報は、外からは見えにくいものです。そうした背景を共有することが、結果としてチーム全体の成果につながります。
「リーダーのための本」としてだけでなく、「チームで成果を出すための本」としても読めると感じました。
読書会だから得られた学び
一人で読んでいたら、この本を「管理職向けの本」として終えていたかもしれません。
読書会では、さまざまな立場の視点に触れることで、「新しい環境で成果を出すための本」として読み直すことができました。
同じ本でも、視点が変わると意味が変わります。そうした読み直しのきっかけが得られるのが、読書会の面白さだと感じています。
今回の議論をきっかけに、『1兆ドルコーチ』とのつながりにも気づきました。本同士がつながっていく感覚も、この場ならではの体験です。

