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プロダクトが生き残るためのメトリックスと考え方

この記事は、UX DAYS TOKYO2024で来日するMatt LeMay氏の「成功」と「生存」の違いを説明した記事です。一度成功した企業でもメトリクスが狂ってしまうと生存が危ぶまれます。生存指標の考え方を参考にどうすべきかを検討するヒントにしましょう。
原文:https://medium.com/

スタートアップのための信号機システム

なぜ多くのスタートアップはスケールアップに失敗するのでしょうか? それは、成功だけを追求し、生存を考慮していないからです。

Adam Thomas(アダム・トーマス)氏の「生存指標の業績」を知ったとき、過去10年間で協力した多くの企業に欠けているものが何かを理解しました。それは、生存の具体的な姿と、それを達成するための計画です。

確かに、スタートアップやスケールアップにおいて、成功は魅力的に見えます。しかし、「成功」と「生存」は同じものではなく、しばしばまったく異なる戦略を必要とします。

例えば、プロダクトの市場適合性(PMF)を見つけようとしているスタートアップは、成功を「四半期末までに1万人のユーザーを獲得すること」と定義するかもしれません。しかし、次の四半期を生き延びるために、会社が最低限必要な数字は何でしょうか?

1,000人ですか? 5,000人ですか? それともユーザー成長とは関係のない収益の数字でしょうか?

これらの質問は、プロダクトを構築するチームにとって、「成功」の可能性が低い、または不可能であることが明らかな場合に、非常に重要になります。

10,000人のユーザー獲得目標が達成できない場合、プロダクトチームは「できるだけ多くのユーザー」を目指し続けるべきでしょうか? それとも、最適化すべき特定の数値を設定し、企業が成長するための収益を生み出す作業に焦点を当てるべきでしょうか?

マイルストーン:次の資金調達ラウンド(2024年1月)

スタートアップの重要なマイルストーン(次の資金調達ラウンドなど)を定義するために、「信号機システム」を活用したエクササイズを実施し、スタートアップの代表者をファシリテートしています。

信号行動月間アクティブユーザー月間定期収入月ごとの新規ユーザー
赤信号(中止)ビジネスモデルを根本的に見直す100人2,000ドル50人
黄信号(方向転換)生存を確保するために戦略を変更する100人25,000ドル50人
緑信号(投資)現在のアプローチへの投資を続ける5,000人2,000ドル1,000人

※月次解約率とユーザーごとの機能使用率については、この段階では高優先の目標達成に向けた他の指標を優先する。

信号機システムの活用

  • 赤信号(中止): 存続が難しい状況。最も多くの収益や成長を達成していても、生存のための最低限の条件を満たしていない場合。
  • 黄信号(方向転換): 生存のために戦略を変更し、新しいアプローチをテストし、検証する段階。
  • 緑信号(投資): 成功の段階。次の資金調達が確保されたか、収益性を達成し、現在のアプローチへの投資を継続できる状態。

注意点として、赤信号から緑信号に向かってビジネスが成長するわけではありません。たとえば、成長中の企業がグロースのために一時的に収益を犠牲にする場合もあれば、成長目標の達成が困難な場合には短期間の収益確保にシフトする必要があることもあります。

スタートアップに必要な対話

成功と生存の具体的な条件は企業ごとに異なりますが、私は企業の代表者に、このエクササイズを投資家や取締役会メンバーなどの戦略的アドバイザーとともに実施し、その結果がプロダクトチームの計画と一致しているかを確認するように助言しています。

コンサルティングの現場では、多くの企業で「会社の生存に関連する具体的な目標や指標をプロダクトチームが初めて見る」というケースに遭遇します。たとえそのチームが創業者と密接に連携していたとしてもです。

プロダクトチームがこの情報を知ることで、赤信号のシナリオに直進していることに気付き、黄信号のオプションへの戦略的移行が生き残るための唯一の現実的な方法であると理解できるのです。

企業の代表者がこの対話を避ける理由はいくつかあります。しかし、ビジネスの現実を直視し、厳しい対話を行うことは、企業の存続にとって最も重要な選択肢のひとつです。

最悪のケースでは、「誰かが必要なら相談に乗る」といったあいまいな結論で終わることがあります。しかし、それでは適切な行動がとれず、企業の生存が危ぶまれる可能性が高まるのです。

この信号機システムを活用することで、スタートアップは現実的な戦略を持ち、次のステップを明確にすることができます。

UX DAYS TOKYO (代表) 見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通い日本人としてニールセンノーマンの資格を取得。 業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。

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