「UXを現場で使えていますか?」と聞かれてYESと答えられますか?
私の場合、「自分の役割的にユーザーと直接やりとりができない」ことを理由にUXを現場で使えていると自信を持って言えないことがほとんどでした。UXにとって重要なユーザビリティテストも、提案して行うこともあれば「このタイミングではチームに負担がかかりそう」とためらってしまうこともありました。
ユーザーにできることを100%しているか?と聞かれてYESと言えなかった
フリーランスでUIデザインだけ依頼されている立場としては、「自分が依頼されている範囲を超えた提案をしてはいけない」という考えがありました。UXを勉強してユーザビリティテストの重要性を知っていても、クライアントに提案することはなかったのです。ユーザビリティテストを行うのは「UXデザイナー」として依頼された時のみでした。
しかし、UXDTでUXに対する学びを深めていくと、自分の視野が狭いことに気づきました。同時にユーザーのために行動することも、自分ができることを考えることもしていないと深く反省しました。そして、UXDTのディスカッション「UXを現場で使えているか」に参加して、UXを深く学んでいるつもり・実践しているつもりでいただけで、UXをまだ手段のひとつだと考えてしまっていたことも痛感しました。
大本さんの記事「UXを現場で使うということ」にあった「自分はユーザーのことを本当に知ろうとしているか?」「ユーザーのために、ユーザーを知るために自分のできる精一杯で行動しているか?」を意識するようになってからは、仕事に対する姿勢が変わりました。
「1つの画面だけでもいいので、まずはユーザーに触ってもらおう」とユーザビリティテストを提案するようになりました。ユーザビリティテストやインタビューが難しい場合は、SNSでユーザーの考えやユーザーが使うサービスを調査し、今できる範囲でユーザーのことをもっと知ろうと思うようになりました。
チームメンバーが「今までの何倍も収穫がある」と驚いたユーザビリティテスト
消極的な考えから脱却した私は、現在開発中のプロジェクトチームに思い切ってユーザビリティテストを提案しました。
その結果、今までテスターが出してきた報告書にも書かれずに、開発者の中でも問題になっていなかった箇所で問題が多く発見できました。
チームメンバーも結果に驚き、「テスターに操作した感想をただ聞くだけよりも、一度ユーザビリティテストに立ち会う方が何倍も収穫がある」というコメントをいただきました。そして、今後も定期的にユーザビリティテストを行いたいという、ユーザー視点についてさらに深く考えられるプロジェクトに変わりました。
今まで立場を気にして「自分はユーザーのために出来ることは少ない」と思っていましたが、一歩踏み出すことによってチームの文化を変えることができました。
サービスやプロダクトに関わる人が共通して頭に置くべき考え
今までは自分の立場を考えて遠慮してしまい、ユーザーのためではなく仕事をこなすための行動をしていました。
UXDTで学んでいなければ、積極的にユーザビリティテストをすることも、チームメンバーにユーザビリティテストの価値を知ってもらうこともなかったでしょう。
勇気を出して行動したことにより、UXの価値がチームに浸透し、文化が変わりました。結果として「ユーザーはどういう考えなのか」「ユーザーのために何ができるか」を共有できるようになりました。
- 自分はユーザーのことを本当に知ろうとしているか?
- ユーザーのために、ユーザーを知るために自分のできる精一杯で行動しているか?
この二つの考えは立場や肩書は関係なく、サービスやプロダクトに関わる人なら共通して常に頭に置いておくべきだと感じました。
フリーランスという立場上、組織にUXの意識を持ってもらうことにまだ課題を感じることもあります。しかし、今後もこの考えを忘れずにUX文化を広めていきたいと考えるとともに、よりよいサービスやデザインを創り出していけるよう努めます。