UX をビジネスマンの必須スキルにしたい!UXデザイナーがUXDTで学んだこと:竹入 徹さん

参加者インタビュー(UXデザイナー 竹入徹さん)

UX DAYS TOKYO スタッフの廣瀬です。今回は、UX DAYS TOKYO 2016 のカンファレンスと、ワークショップに参加されたUX デザイナーの竹入 徹(たけいり とおる)さんにお話を伺いました。

まずは、自己紹介をお願いします。

はじまして。竹入と申します。現在、ネットイヤーグループという会社で UXデザイナーとして働いています。業務は、UXデザインや情報設計、 IAワークがメインで、クライアント向けのワークショップなんかも手伝っています。

ワークショップの様子(中央が竹入さん)

UX という分野には、いつ頃から興味を持ち始めましたか?

3年前くらいからですね。前職は、Web の制作会社でデザインやアートディレクションをしていましたが、

「今の自分の仕事の進め方って本当に正しいのかな。」

「自分含め、関係者の想像や妄想を過信してデザインをしているのではないか。」

と思うようになったのがキッカケです。

そこから、自分で情報収集を始めるようになりましたね。当時は、最近のように「UX」というテーマの書籍は少なかったので、UX JAM、 UI Crunch、 UX Forum といったイベントに足を運び、話を聞きに行きましたね。

その後、一昨年の2015年の9月に、産業技術大学院大学 の「人間中心デザイン」プログラムに参加しました。

特に記憶に残っているのは、「ユーザテストをする前の、自分の妄想で考えたペルソナ」と「ユーザテスト後のペルソナ」を比較してみるという実習があったんですが、実際大学内でユーザテストをしたところ、結果として全然違って、自分の考えって本当にあてにならないなと痛感しました。

卒業後は、実務でもユーザテストを取り入れるようになりました。

UX DAYS TOKYO 2016 に参加されたきっかけは?

正直に言うと、ミーハー心からですね(笑)

一番は、 Adaptive Path のジェームス・ギャレットさんに会いたかったんです。 あと、 アビー・コバートさんの書籍も持っていて、他にも、GV (Google Ventures) のダニエルさんとか、Cooper のトレーナーの方も来るのを知って、「これは絶対行きたい!」って思いましたね。

どのセッションが印象に残っていますか?

一番楽しみにしていた、ジェームス・ギャレットさんのセッション を聞けたのが嬉しかったですね。彼が話す内容は、共感できるものが多く、「こういう大御所でも自分と同じような悩みを持っているんだな」と思うと親近感を覚えましたね。

特に、

Changing a Designing is Easy, Changing Mind is Hard

(デザインを変えるのは簡単だが、考えを変えるのは難しい)

という話は、自分がビジュアルデザインをやっていた時のことを思い出しましたね。周りの意見に、「自分は別の案がいいと思うけど・・」と思いながらも、流されていたこともあったなぁと。

ジェームスギャレット氏と。(左から2番目が竹入さん)

アビーさんのセッション も、印象的でしたね。

Nike の案件を例に挙げて、彼女がどのように Nike の経営陣を巻き込み、企業内部の業務フローのデザインまでしたかという話でした。「Nike のような巨大企業に、実際サービス・ブループリントみたいなことを実践してるのはすごいな・・」と “ただただ” 驚きでした。

「コントロールドボキャブラリ(組織内の共通言語)」というプロジェクトの話では、アビーさんがクライアントの企業に実際入って、社内の共通のコントロールドボキャブラリを作って、ルールを破った場合は、相手が社長でも、笛を吹いて注意するという話がありましたが、「日本じゃ考えられないな」って思いました(笑)

実務だと、ユーザ中心で考えようとしても、「システム」や「現状の業務」の都合で変更できないことって結構あるじゃないですか。アビーさんの場合は、そこすらも大胆に変更していくので、自分も負けてられないなって思います。

アビーさんのような変化を我々がもたらすにはどうしたら良いと思われますか?

最近思うのは、UX という分野に関して、デザイナー以外の方も興味を示し始めていらっしゃるというところです。クライアントワークの中でもあるべきユーザー体験を導き出すためのワークショップを行う機会も多く、ワークショップ後には「こういうことをきちんと考えていかないと、僕達に未来はないかも知れないですね」という意見をいただいた時は、嬉しいと同時に驚きましたね。

UX DAYS TOKYO などのイベントに、デザイナー以外の方、特に企業の中で管理職や経営層といった方がもっと参加してくれると状況は変わるかも知れません。そういう企業・社会に影響力がある方に、ぜひ UX の価値を知ってもらいたいです。

ワークショップにも参加されましたか?

ダニエル・ブルカさんの Design Sprint のワークショップに参加しました。

Google が実践している Sprint については、翻訳されているものを読んだことがあったので、頭の中ではワークショップの流れを理解していたつもりでしたが、実際実践してみると、Sprint の「速さ」に驚きました。

実務だと、何かを決断することって、基本「先延ばし」にされることが多い気がするんです。例えば会議の中で、重要な意思決定が迫られる時って、だいたい誰かが、「じゃあ、私が宿題として持ち帰らせていただきます」という話をして、その方が数時間考え込むんですよね。

ワークショップでは、時間を区切って、誰にも持ち帰らせないで、 Vote 制度などを使って決断を求められるので、これが「速さ」の秘訣なのでしょうね。

自社のワークショップでも、「時間を区切って、決断する」という制度を取り入れています。

貴重な意見をありがとうございました。大変参考になりました。追加で、竹入さんご自身のことについてもう少し教えてください。デザインに関連する愛読書はありますか?

未来に先回りする思考法 」という本はお勧めです。自分にはない発想で物事を考えている人がいるんだなと、衝撃を受けた本です。

筋が通っていて、説得力があるので、同僚にも時折進めています。読み終わると、「自分でもなんかできそうな気がする」とポジティブな気持ちになるんですよ(笑)

あと、手前味噌ですが、当社の坂本が書いた「IAシンキング」「IA/UXプラクティス」も、実践的な内容で、いつも手元に置いていますね。

仕事をする上で、気をつけていることはなんですか?

敢えて挙げるとすると、「その言葉の定義を意識する」ことでしょうか。

例えば「UX」という言葉一つ取っても、捉え方は人によって様々ですよね。目の前の人は「UX についてどんな認識をしてるだろう」ということを意識した上で、会話することを心掛けています。

最後に、竹入さんにとって UX とは何ですか。

ユーザからすると「スマホ」「Web」「リアルな店舗」など、いくつか接点があり、UX という言葉が浸透する以前は、それぞれが個別に最適化されていたことが多かったように思うんですよね。

UX デザイナーとしては、接点をそれぞれ個別に最適化するのではなく、全てを連続的なユーザの体験と捉え、全体最適をしてくことが求められていると思います。

あと、UX というと、時にユーザサイドの体験だけに目がいってしまいがちですが、サービスデザインという観点で、顧客からは見えない、バックステージの UX デザインとにも、興味があります。

ユーザサイドだけでなく、バックステージにいる企業の従業員にも良い体験が提供されて、例えば従業員全員が、十分な余暇をとれるような働き方が出来ると、仕事の幸福度ってもっとあがると思うんですよね。

今朝、ダイヤモンドで「日本が世界で仕事満足度が最下位」という記事を見たのですが、改めて、サービスデザインという目線が今、求められてんじゃないかと思いました。

UX という言葉は、少しずつ浸透している感はありますが、まだデザイナーだけのものという印象があるので、近いうちに、UX がビジネスマン全員の必須スキルになって、全員で良いサービスを考えるような世界を実現したいですね。

UX をビジネスにおける当たり前にしたい。


(編集後記 2017/2/6)

竹入さん、インタビューのお時間を頂きありがとうございます。竹入さんは、非常に物腰が柔らかく、そしてロジカルなデザイナーさんでした。今後のご活躍を応援しております。

この記事を書いた人:大本 あかね

UX DAYS TOKYO を運営してる Web Directions East.LLCの大本です。
カンファレンス運営していますが、毎年行われているUXDTは私自身も学びの場になっています。また、海外のUXカンファレンスにもいくつかいくようになりました。学んだ知識を実践し、勉強会やブログなどでフィードバックしています。UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう。