読書会「UX Design for growth」の感想から
UX DAYS TOKYO 2020に登壇される
あなたがUXの本を買ったのに、内容が(あなたの思う)マーケティングの内容だったらどう思いますか?
UX DAYS TOKYOのスタッフの中でも、マーケティングとUXは異なる認識はあるが、明確に説明できる人はあまりいませんでした。そのため、スタッフ間で「マーケティングとUXの違い」についてディスカッションをしました。
ディスカッション参加者(職種)
タカハシ (ディレクター) |
ナユミ (デザイナー) |
コソバ (デザイナー) |
タカダ (マーケター) |
モデレーター
オオモト (オーガーナイザー) |
バナー広告を例に違いを考える
まずWebサイトのバナー広告を例に、違いを話し合いました。
バナー広告のコンバージョンがどのように上がるかを考えるのがマーケティング。
バナー広告がユーザーにとって不快になっていないかと考えるのがUX。
コンバージョンを犠牲にしてでもUXを優先すべき?
コンバージョン(数字)を追うマーケティングは悪?
コンバージョン(数字)の議論を進めていく中でこんな発言がありました。
数字を追いすぎるとダークパターンに陥るので危険。
UX DAYS TOKYO主催のワークショップ「UXの基礎の基礎」の中でも、数字に執着することで、ユーザーを騙すようなダークパターンが多く発生すると紹介しています。
UXも数字を扱うので、マーケティングだけの話ではない。
UXにも定量的な分析を行うメトリクスが必要です。「UX Design for growth」では、メトリクスを使うことで施策の妥当性や、改善の効果を可視化し、ビジネスの意思決定を行えるとしています。
マーケティングだけが数字を追うこともありませんし、マーケティングそのものが悪い訳ではなく、数字だけを追うと、ダークパターンに陥ってしまうようです。
サイロ型の思考に陥るな
UXが正義でマーケティングが悪、そんな思考だと本質は見えてこない。サイロ型の考えはしてはいけない。
サイロ型の考えとは、お互いを別物と捉えて関わりをやめてしまう思考です。マーケティングはUXの敵というメガネをかけてしまうと、「UXと違ってマーケティングのここが悪い」という思考しか生まれません。
Wikipediaで、マーケティングは以下のように定義されています。
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。
引用元:Wikipedia
顧客が求めるものを作ることはUXも同じです。そのため、マーケティングとUXは同じと捉えられます。しかし現在のマーケティングは売上等の数値に目を奪われてしまいがちです。
UXはどこまでも顧客(ユーザー視点)
マーケティング思考にもユーザーに価値のあるものを提供することがベースになっています。しかし、一方ではダークパターンという現象が起きています。それは何が原因で起こるのでしょうか。それは企業視点です。企業としてメリットになることばかりを考えてしまい、ユーザーに対する価値を疎かにしてしまいます。内容や手法を考えていてはこの問題に気づけません。
UXはどこまでもユーザー視点です。マーケティングにおいて、大切な顧客に、もう一度フォーカスする視点としてUXが注目されていると言えます。今の自分がユーザー視点かどうかがわかれば視座も変わります。だからUXは視点が重要なのです。
視点はどう鍛えるの?
最後にスタッフから「視点はどう鍛えるのか?」という質問があがりました。まず一朝一夕で視点は身につきません。門前の小僧となって、トレーニングを常に行なっていく必要があります。トレーニングの一環として、「知的複眼思考法」や「仮説思考」の書籍をお勧めしています。