Google Analyticsなどの解析ツールを導入しても、PVや滞在時間、UUの数を単純に追っているだけではありませんか?せっかくツールを入れても、無意味な指標を追いかけていては意味がありません。何を知りたいのかを明確にしてから、数値を見た結果チームが取るアクションを計画する必要があります。
ツール導入前にするべきこと
サイト・アプリの目的を考える
対象のサイトやアプリにおいて、ビジネスバリュー・KGIにつながるKPIはなにかを考えることが重要です。ECサイトであれば商品の購入、旅行サイトではホテルの予約等、収益につながるポイントを明確化します。
目的からの指標は闇雲に立てるのではなく、グロース施策の最終目標となる成功指標を立てます。この指標は「北極星」と呼ばれ、顧客にとってのコアバリューを表します。北極星を定めることで、チームの意識が最終目標に向いて目標に向かって推進できるようになり、行き当たりばったりの施策で時間とリソースの無駄使いを防ぐことができます。
ユーザーの行動を考える
収益につながるポイントを明確化したら、その過程に発生するユーザーの行動を考えます。ユーザーの行動はコンテキストにも関わるため、闇雲に行動を洗い出すのではなく、ストーリーテリングやストーリーボードでシナリオをイメージしながら考えることが効果的です。
行動につながる指標を立てる
測定指標には、「アクショナブルメトリクス」と「バニティメトリクス」の2つがあります。アクショナブルメトリクスとは計測した結果、ビジネスをどのように改善すべきか判断できる指標を表します。反対に改善につながらない悪い指標をバニティメトリクスと呼びます。
ユーザー行動やビジネスバリューに関係がなく、改善につながらない指標は、バニティメトリクスです。例えば、とあるECサイトがSNSの広告施策を行い効果を検証したとします。広告Aは商品写真を掲載した投稿で1週間100いいね、100クリックで10件購入(コンバージョン・CV)されました。広告Bは流行りのネタに絡めた投稿で、1週間1万いいね、2000クリックで12件の購入(CV)と仮定します。一見すると1万いいねを得た広告BのほうがSNS施策として成功しているように見受けられます。
しかし、購入に至った割合のCVR(コンバージョン率)を見てみると、いいね数は少なくても広告Aのほうが10%と高く、効率的なCVが得られていることがわかります。
SNS広告A (商品写真を掲載した投稿) |
SNS広告B (流行りのネタに絡めた投稿) |
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いいね数 | 100いいね | 10,000いいね |
クリック数 | 100クリック | 2,000クリック |
CV | 10件 | 12件 |
CVR | 10% | 0.6% |
このとき、いいね数だけを追っていたとするとバニティメトリクスとなります。
SNS担当者としては、「とにかくいいね数を伸ばしたい」「いいねが多く得られた施策を評価してもらいたい」といった気持ちもあると思いますが、ユーザー行動やビジネスバリューに関連しない指標は改善してもビジネスの改善効果が薄いバニティメトリクスとなります。
いいね数を追い求めることが一概にバニティメトリクスというわけではありません。バニティメトリクスかどうかは、ビジネス改善の行動につながるかどうかで決まります。よって「いいね数」がビジネスバリューの改善につながれば、アクショナブルメトリクスになります。
結果を見るだけでなく改善アクションする
解析ツールは結果を見るためのものではなく、改善するための指標を計測するツールです。ただ眺めるだけでなく、改善アクションに移していくことが重要です。正しくアクショナブルメトリクスが設定できていれば、指標を見て次のアクションが見えてくるはずです。またユーザーの目的、サイトの課題など、状況に応じてメトリクスを変えていくことも大切です。一度決めたら終わり、とせず常に改善をしていきましょう。