2017年6月27日のNEWS23に放送された「抗がん剤720億円分“廃棄”の実態」というニュースを見てビックリしました。現在、高齢者が多くなり、医療費が多くなる一方で720億も無駄なことをしているのです。
小林麻央さんはじめ、アンジェリーナ ジョリーさん、北斗晶さん、南果歩さんなど患った乳がんは、30〜40人(1クラス)に1人の確立でにもなると言われています。また、乳がん以外でも、つんく♂さん、桑田佳祐さん、宮迫博之さん、和田アキ子さん など多くの芸能人もガンになっているように、がん患者は少なくありません。そんながん患者に施されている薬のあまり「残薬」として年間720億円もあると言うのです。
それも1年前の記事には年間500億円の抗がん剤の残薬としていましたが、1年に250億円も多くなっているのです。しかも、オプジーボは今年になってから半額くらいに安くなっているのも関わらずです。
2015年の記事ですが、これから医療費は「過去最高」を更新し続ける見通しということで、実際に抗がん剤の残薬を見ても500億から750億円に膨れています。医療費全体の約4割が医薬品で、2015年時点でも約10兆円もあり、その金額からすると残薬の750億円は1%未満に過ぎません。しかし、価格にしたら高額なのは変わりません。できるところから節約する必要があると思います。
なんで余るの?
本来、薬は使った分だけ保険適応になるのですが、開けたものは保存して利用できないとして使用しなかった薬は「残薬」として処分され、その分も含めて保険適応され医療費が当てられているそうです。これは医療業界の暗黙の了解となっているようですが、そこをなぜ問題提起しないのかわかりません。
こんなに高額だし、使用する分だけ使えばいいじゃん。って思うのですが、抗がん剤は患者さんの体重などで量が決定されるので、一人ひとりの使用量が変わります。
例えば、体重70キロの肺がん患者が使う場合、投与量は1回210ミリグラム。100ミリグラム入りの瓶2本と、20ミリグラム入りの瓶の半分を使うと、残った10ミリグラムは捨てられる。というのです。
テレビの情報では100ミリグラム単位の瓶しか紹介されていなかったので20ミリグラムがないと思っていたのですが、Webの情報ではあるようです。現場によって違うのでしょうか?
どちらにしても、なぜ、残薬がでない最小単位で瓶を作らないのか?という疑問が発生します。
仮に、体重50キロ150ミリグラムを利用する人(つまり、約50ミリグラムが残薬になる)がん患者が7割を締めているとしたら、残薬の割合が大きくなっているのではないか?と予想されます。このニュースでは抗がん剤の使用と残薬の比率が出ていなかったのですが、その割合が気になります。
問題解決を考える
この問題を解決する方法としては、2つの方法が簡単に浮かび上がってきます。1つは、先ほど記載したように最小の単位(10ミリグラム)のボトルを作成するです。それがなぜできないのかは不明ですが、現実作られていないということは何かしらの問題があるのかも知れません。
もう1つの解決方法は、がん患者さんへの投与のスケジュールをまとめるということです。これらの薬は開封から投与までの時間が問題ということだったので、患者さんをまとめることで残薬を出来る限り少なくすることができるでしょう。
予約スケジュールは専用のサイトを作ってできるだけ残薬ができない状態で予約する仕組みを作ってしまえばいいのです。
その他の残薬についても考える
残薬は、抗がん剤だけではありません。薬を全部飲む前に直った、飲み忘れたなどで年間475億円の無駄があると指摘されているようです。これらもITを上手に利用するアイディアが考えられますが、自宅で薬を飲む行為を患者に促さなくてはならず、仕組み以外のクリアしなければならない壁があります。しかし、抗がん剤の投与は病院が行うものなので、仕組みさえ作ってしまえば、後は実行するだけに感じます。これ以上、日本の無駄を出さないためにも1日も早く改善していただきたいです。
ジェネリック薬品から学ぶ権利について
今回の問題と話しが少し逸れますが、インドでは薬品の特許基準が甘いため、欧米で開発された薬がジェネリックとして低価格で販売されています。安く薬が手に入ることは良いことですが、安い薬ばかりが売れるようになるとどうなりますか?
開発費をかけて誕生している製薬会社は潰れてしまう可能性が出てきます。日本でも高額の薬をインドから安く購入しようとするサイトが多く存在しています。そこではジェネリックのことを悪く記載せずメリットとしていますが、少し俯瞰して考えると怖いことです。
コピーアプリも売れれば勝った!なのか?
これと同じようなことが中国でも起きています。欧米で手塩にかけて作ったサービスやアプリが簡単にコピーされ中国で販売されています。中国以外の企業は中国市場でアプリやサービスを容易にローンチできません。世界で成功したサービスやアプリは中国でも成功を収めます。コピーした企業にお金が入るのです。皮肉ですね。
そして、資本主義はお金が多くある企業が優位に立つのです。グローバル化だけがビジネスではありませんが、ITサービスは否応なしにグローバルリズムで物事を考える必要が出てきるでしょう。変わりゆく世界とどのように変わって行くべきかを見据えた考え方が必要になってくるのかも知れません。
次に問題になるであろう、”お金はあるけど開発できない企業問題”、通貨の仕組みや言語の壁がなくなった際の衝撃など、IT業界に身を置いているのであれば頭のどこかに入れておきたい知識ではないかと感じ記載しました。今回はUXと少し違った内容ですが、問題発見と解決という視点で記事を記載させていただきました。何かの参考になればと思います。また、無駄がなくなればという気持ちに共感いただけたらシェアいただければ幸いです。
追加情報
8月12日産経新聞によると少し改善の方向に行くことが記載されていました。今までと何ら変わらない条件ではあるものの暗黙の了解で無駄に捨てて医療費として計上する行為が多かったので、ひとまずは注意喚起と行ったところでしょうか?
これで終了することなく、今後は具体的な対策として企画してほしいと期待しています。
厚労省の調査研究では、残薬の活用に関し、
(1)細菌汚染防止の観点から安全性確保に必要な条件
(2)実際に廃棄率が減るかどうか
(3)作業が煩雑になり医療過誤に影響しないか
(4)廃棄ロス減少のための小瓶の開発可能性
(5)複数回の使用を前提とした薬剤開発の在り方-などを探る。
研究の成果は残薬活用の安全基準に反映させる方針だ。(略)厚労省は7月末、別の患者に残薬を使用した場合、使用量に応じた医療費の請求を徹底するよう、都道府県などに向け通知を出している。