UXDT2019で行われたビヘイビアラルエコノミックスのワークショップがかなり人気で、カードを購入したい!って人が多くいたので、すでに開催した基礎と新たに応用(1)追加して開催しました。
大本も受講
私(大本)は、UXDT2019のワークショップは違う講座を受講していたので、土曜の基礎から受講しました。このワークショップはスピーカー2人(Coglode コグロード)が作ったナゲットカードを使ってプロジェクトに役立たせるというものです。
普段UX TIMESで行っている用語を出していますが、カードには用語と研究した内容とその結果が裏面に記載されているので、より用語の言葉を理解することがでいます。また、何よりimageがカードに描かれているので用語のテキストだけでは理解しにくいものが図として脳にすっと入ってくるので覚えやすく、とっても素晴らしいカードです。
受講すると一通りのカードをもらうことができるのですが、応用までのエキストラ(12,000円)を購入する方がたくさんいて、結果的に15冊も余分に販売することができました。
基礎&応用で学べたこと
基礎で学べたことは、「人が進んでしないようなこともさせることができる」「無理なく行わせる方法について」「そのデザイン(実装)方法」「アイディアを膨らませる方法」「テストする方法」でした。
カードの裏面にも実験結果が記載されていますが、ビジュアルエコノミックスを取り入れた事例を一緒に考え、また、実際に行った施策がなんだったのかを紹介してくれるので、考え方の導きができました。
応用では、より実際の案件ベースでどのように考えていくのかを実習していきました。そこで、「ジャッジメントの難しさ」「頭でわかっていても実際には上手にアイディアが浮かばないということ」「みんなでディスカッションするとアイディアがでてきやすいこと」を学びました。
日本とUKとの結果の違い
基礎講座の中に、テストを行うと日本とイギリスでは異なる結果がありました。受講生の1/3が英語が喋れる方ではありますが、画像がイギリス仕様だったことなども影響されているのかも知れませんが、レシプロシティ・レシプロシティー(相互利益)が上位に来るというものに驚きを隠せませんでした。
これは予測でしかないのですが、プロスペクトのGainとLossつまり、個人の利益より単体より、人との関係での利益の方が上位というのは、マズローの法則のような心理があるのでは?と予測しました。
しかし、ここでのポイントは、画像がダミーであるということでしょう。
いくらビヘイビアラルエコノミックスのメソッドを入れたからと言って、間違って使っては意味がありません。
参加したスタッフも「社内で共有してもダークパターンにならないように。」そのあたりが難しいという感想を残していましたが、そのあたりのジャッジメントがわかっていてやるのか、正しいジャッジができず結果として駄目なものにしていないか?で差が生まれるところだと感じました。
テストとジャッジメント
ジャッジするのはテストしかない部分がありますが、その結果の理由を仮説検証することも大切です。そう言った意味で基本的なUXの考え方ができないと正しいジャッジメントができないと言えます。
というのも、2日目の実習でうちのグループは、とっても良いアイディアが予定時間より早くまとまり終わってしまったので、他のアイディアのものも実装しました。2つのアイディアは、もちろん、始めのものが良くて、2つ目はあくまで時間があるから行っただけのものです。
発表後、講師のロキシーが、「2つのうちどちらが良いと思いますか?」と発表を聞いた人に問いかけテストしました。
そしたら、うちのグループの中の人も、後半の2番目ものが良いとジャッジしました。
基本的にジャッジメントはテストの結果であるので、どのアイディアも良いというスタンスの講座ではありますが、やはり一定の考えのルールがあります。
もちろん、ロキシーも先の1番目が良いとジャッジメントしました。
1番目のアイディは、「本能的に選んでしまうデザインの実装=損失回避」の天秤があった場合、上手に損失回避を無くすことができるという今回の問題をスマートにクリアしています。
しかし、2番目の内容は、お客に好みのモノを選ばせたりするもので直感的ではないですし、今回の問題解決に直接的ではない部分もありました。
実際の案件では客に好みのものを選ばせるという手段も使われていましたが、ベースができていてサブ(追加)で行うべき内容であることはビヘイビアラルエコノミックスを学ぶものとして判断できなくてはなりません。結果だけを見ると、これらの判断を知ることはできないでしょう。受講することで得られた知識と言えます。
このあたりは、次に続く応用(2)(3)でカバーできてくれば良いのかも知れません。
最後の演習は拍手をもらいました
うちのチームは遅刻した人のチームでしたが(苦笑)、優れた人ばかりだったので、私はほぼアイディアを出すこともなく、他のみんなの力で、素敵なアイディアをたくさん出していただきました。その結果、最終の演習ではロキシーから素晴らしいアイディアですね!と拍手をもらいました。やっぱり褒められるのはうれしいものですね。ということで、思わずみんなで記念撮影をしてしまいました!
ビジュアル化
実習を行って、他のグループを回るのですが、結果としてテキストになってビジュアル化されていないグループがありました。
画像優位があるのと、講師に画像で描いてと言われてもまとめりきれず、ビジュアルまで行けなかったそうです。
言葉にできてもイラストにするのは思った以上に難しいところがありますが、結果的にデザインつまりUIを見て、ユーザーは判断するので、そこまでできるように訓練の必要があると感じました。
ワークショップは自分で受講すべし
今回、春に開催し、ブログでレポートを記載されている方の記事を読んだり、スタッフの方や知り合いが受講したので感想を聞いてある程度内容がわかっていたつもりでしたが、自分で受講すると全然違うと改めて感じることができたのも今回のワークショップの発見です。
それは、講師の発言の内容で、自分の視点で理解することができるからです。他の人からの伝言ゲームはやり方だけを学ぶことはできるかも知れませんが、考え方や視点を理解することはできません。
自分で考えて受講するからこそ、疑問も湧く
自分で受講すると自分の頭で考えます。だからこそ疑問も湧いてきます。他の方の意見も参考になりますが、自分が知りたかったこと、足りていなかったことの発見は自分が時間をかけて受講するしかないと改めて感じました。
そして何より、講師の意見を求めることができます。上記に記載したジャッジメントにも通じますが、UXで大切な考え方を身につけることができます。
最後にオーガナイザーの菊池も言っていましたが、実際に行われている内容を真似るのではなく、そのアイディアに至った発想や考え方がUXでは一番大切です。
他のUXワークショップとの連携
このワークショップでは、コンバージョンアップのための方法なども学ぶことができました。しかし、コンバージョンの定義がUX DAYS TOKYOの他のワークショップとは同じではありますが、いわゆる一般と異なっています。
すべての内容が1〜2日で学ぶことができないので、他のワークショップで学んだ内容も、このワークショップではさらっと解説している場合もありますが、他のワークショップも連携して受講していれば、事前に学んでいるので、スッと入ってきます。そして、点と点が繋がり面になるのだと感じました。逆に、その前提がないと理解しきれていない人とも感じました。なので、ぜひともワークショップはUX DAYS TOKYO(うち)で開催している他のワークショップと合わせて受講してもらいたいと強く感じる受講でもありました。