自分を知り、仕事の「生き甲斐(ikigai)」を見つけたキャリアパスの描き方
数年前からUX DAYS TOKYOで活動しているデザイナーの横田です。
定期的にUXやデザインについてオーガナイズの大本さんとスタッフの方々とディスカッションをしているのですが、その中で出たテーマに「キャリアビジョン」がありました。
ちょうど、自分のキャリアについて振り返り、今後の方向性を考えていた時期に、UX DAYS TOKYO 2024 のJason Mesut(ジェイソン・メスット)さんのキャリアパスのワークショップを受講しました。この経験を通じて自分がどのように変わったか、そしてディスカッションで話題になったことを紹介します。
条件ややりたいことで仕事を選んでいた自分を振り返る
以前の私は、仕事を選ぶ際に条件や何となくやりたいことだけで選んでいました。
私の知り合い何名かに聞いても、「手に職があると良い」、「いろいろと条件が良い」などの回答が多かったです。
人の選択に正解・不正解はありませんが、条件で仕事を選んでいると、今より良い条件の仕事を見つけたときに、すぐに転職してしまうことが多いように感じます。同じ職種でやりたいことが他の企業で実行できるのであれば転職も良いキャリアアップになるかもしれませんが、条件だけで転職を考えるのは、振り返ると良くないと感じています。
企業側も単に条件だけを理由に応募する人材よりも、企業のビジョンやミッションに共感し、長期的に貢献してくれる人材を求めています。そして、面接で条件だけを重視していることが見透かされると、企業はその人がまたすぐに転職してしまうのではないかと懸念するでしょう。
仕事のビジョンがあれば最後まで続けられる
私が「ビジョン」の価値を深く理解したのは、Jason Mesutさんのワークショップと合わせて振り返りのディスカッションで紹介された桂由美さんの仕事に対する姿勢について、3人の石切り職人の話です。
日本ブライダル業界の先駆者として知られる桂由美さんが先日他界されましたが、彼女は亡くなる直前まで情熱を持って仕事を続けていたそうです。
それは、彼女の「女性をきれいに見せる結婚式をやりたい」というビジョンがあったからだと考えられます。
3人の石切り職人の話はUXTIMESの記事で知りましたが、この話からも、ビジョンを持つ重要性を考えさせられました。
生活のために仕事をする職人は、与えられたタスクをこなすことに終始しがちです。
一方、町で一番の石切り職人を目指す職人は、自分の技術を高めることに集中します。
教会を建てるために働く職人は、自分の仕事が多くの人々に喜びや安らぎを与えることを意識しながら働きます。
それぞれの職人が異なるビジョンを持ち、その結果、同じ仕事でも取り組み方や質が大きく変わり、結果が異なる話を学びました。
「IKIGAI」を見つけるための第一歩
今年のUX DAYS TOKYO2024に登壇した、Jason Mesutさんのワークショップで、日本語の”生きがい”がベースになった”IKIGAI”が北欧でも存在していることを教えていただきました。
IKIGAIは、自分の情熱、得意なこと、社会のニーズ、そして報酬が重なる領域に存在するとされています。
皆さんは「自分のやっている仕事は社会にどれだけ貢献できているか?」という問いに対して、どう答えますか?
ワークショップでこれらの質問が出てきて、今まで自分の仕事がどこに、どのように役立っているのかを考えたことがないことに気づかされました。
結果、『自分の仕事がどのようにチームや社会に貢献しているか?』を考えるワークでは、どこにどのように貢献できているのかを描くことが出来ませんでした。
「考えたことがなかった」「マッピングできない…」と振り返られたのはとても大きな収穫です。
受講してからは、自分が日々行っていることの価値を考えるようになり、「社会全体としてどうなのか?」という視点を持つようになりました。
「自分のやっている仕事は社会にどれだけ貢献できているか?」という問いを真剣に考えることで、自分の仕事が持つ意味や価値を再認識できます。
時間は、無意識に消費するのではなく、価値のあることに使うべきです。
時間をどのように使うかを意識することもとても大切です。
そして、自分のスキルを活かして社会に貢献する方法を見つけられれば、仕事に対する姿勢も大きく変わると感じています。
私のビジョンは何か?
私自身、もともと「生活のために仕事をする」と考えていました。
この考えを振り返ると、自分視点でしか考えることが出来なかったため、様々なことに対して不満を抱いたり、愚痴も多かったと思います。
しかし、今回のワークショップの学びや、同じ考えを持った人との出会い、そして、オーガナイザの大本さんのOJTやディスカッションにより考え方が少しずつ変わってきました。
これらから得た学びで、変わったことを4つ、具体的にご紹介します。
①個人事業主になり、「ビジョン」を持つことの必要性を強く感じるようになった
②自分の仕事に責任感を持つことの大切さに気づいた
③一緒に仕事をしたい人とはどんな人か?自分はそう思ってもらえる人間か?を考えるようになった
④自分の仕事がどのように社会に役立っているか、自分視点から周りへの影響を考えるようになった
最後に、この学びを記事にしたことで、改めて自分自身のビジョンを考える機会になりました。
ビジョンを見つけると悔いのない人生となる
人は、他人のビジョンや一生懸命な姿、真摯な態度に心を動かされます。
皆さんも、誰かが情熱を持って取り組む姿を見て感動した経験があると思います。
自分自身のビジョンを持って行動すると、周りの人々にもポジティブな影響を与えられます。
Jasonさんのワークショップで「何も描けなかった」と感じたことは、私にとっては大きな一歩です。
まずは、「そんなこと、考えたことがなかった!」と今の自分に気づくことは重要です。
そして、キャリアパスを行う上では、あまり頭で考えすぎず、直感的に思ったことをビジュアルに落とし込むことで素の自分を見つけだすことができるという体験をすることができました。
最後に、ディスカッションで大本さんが、石原裕次郎の言葉「わが人生に悔いはなし」の話をされていました。
まさに、自分のビジョンや目標を見つけると、人生が最高のものになると感じています。