UX DAYS TOKYOスタッフの高橋です。先日テレビを見ていて、超一流から学ぶことの凄さに感嘆したので、紹介したいと思います。
日本で技術を習得しても、ポーランド人の寿司は不味かった
一流の寿司職人が、愛弟子であるポーランド人のパウエルさんの仕事ぶりを見る、というテレビ番組を見ました。パウエルさんは日本での修行時、熱心に握りの技術を習得していたので、ポーランドでも職人が納得する手捌きでした。
弟子が一人前の職人に成長し、ポーランドで美味しい寿司を握っている感動話と思いきや、寿司が不味いことが発覚します。
一流は問題の見え方が違う
寿司が不味い原因は、水気の少ないジャポニカ米でした。パウエルさんは「日本の米は(配送料が)高くて、とても買えない」と悩んでいました。わたしは「配送料が高いなら、日本米を一度に大量に輸入すれば?」と安易に考えていました。
しかし、師匠は「問題は米自体にあるのではない」と、米のとぎ方、米の寝かせ方、使用する水で、ジャポニカ米の美味しい寿司を作りあげていました。
わかれば簡単な事でも、なかなか気づくことはできない
ジャポニカ米を美味しくするのに、大きなコストも、難しい技術もありません。知ってみればそんなことか、と思えるものかもしれません。
しかし、パウエルさんが自身で気づき、改善することはできるでしょうか。周りに教えてくれる人はいませんし、書籍で美味しい米の炊き方が書かれていても、米が悪ければ…と思っていればスルーするでしょう。
気づかない問題に気づけるのが一流
ラムズフェルド元国防長官の言葉で有名になったKnown、Unknownの4象限があります。
Known Knowns
気づいていて、対処できること
Known Unknowns
気づいているが、対処できないこと
Unknown Knowns
気づいていないが、対処できること
Unknown Unknowns
気づいてなくて、対処できないこと
Unknown Knowns は、「問題の解決方法」よりも「問題を認識する」ことが難しいということです。これは、プロダクト・サービス開発でも多く起こっています。
300億円ボタンもUnknown Knowns
ECサイトで会員登録を必須じゃなくしたら、300億も売上が上がった話は、ご存知かと思います。ECサイトへの会員登録は、リピート購入時に便利な機能であり、当然のものとして誰も問題と捉えていませんでした。
モバイル・ファーストを提唱したルーク・ウロブレスキ氏も、誰もがやっている会員登録やチュートリアルを問題視しています。
ハーバードMBAでプロダクトマネジメントを教えるメリッサ・ペリ氏も、Unknown(気づいていないこと)を学ぶ重要性を説いています。世界的に超一流のUXerは、視点が異なり、他が見えていない問題を正しく認識しています。
自分では気づけない視点を、超一流から学べる絶好のチャンス
UX DAYS TOKYO 2023では、ユーザビリティテスト、インクルーシブデザイン、バイアス、カスタマージャーニーマップ、UXライティングなど、有名な言葉をテーマにしたワークショップが予定されています。しかし、私たちは多くのことに気づいていません。言葉を知っているから大丈夫という人は、方法だけ聞いて「自分でも考えることができた」と思い、ずっと何も学ぶことができず成長できなくなります。
Unknownがあるということ、学ぶことに謙虚になること、「知っている、やってみる、できている」では全てが違うということ、いずれもUX DAYS TOKYOで学びました。やってみてうまくできなくても、UXDTワークショップに参加することで、実際に手を動かしながら学び、一流に直接質問できるのは、本当に凄いことなのだ連!と感じており、ますます早く参加したいとワクワクしています。