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価値理解とUXを推進する力を身につけよ

宇佐美圭司氏の壁画:数百万、数千万とも言われている作品

東京大学の学食で、絵画が捨てられるということがありました。[東大、絵の価値知らず? 大学生協が食堂飾った著名画家の大作廃棄] 問題です。この問題は、どの業界にも通じることではないか?ということで、少し感じたことを記事にしてみました。

東大生協の判断ミスとUX業界にある問題との共通点

捨てられた絵画は、高階秀爾名誉教授の推薦から、元生協職員の募金を元に1976年に宇佐美氏に制作を依頼して設置されたものらしく、40年以上にわたって学生やOB、教職員らに親しまれてきたもの、と記事内に記載があるのですが、どこからかこの情報が伝わっていなかったのかも知れません。

処分してしまった現在の生協側が、芸術の知識を知らなければならない義務はないですが、絵を管理しているのであれば、上記の情報が受け継がれるべきだったと言えます。単純に、現在の生協の方の価値判断ミスで起こってしまった問題と言えます。

芸術だけでなく価値というものは、その人、その場面によっても変わります。例えば、お水が豊富なところでの水の価値は低いですが、砂漠の中であれば価値は高くなります。このように価値は状況によって変化してしまいます。(価値に関してはこの記事では割愛します)

素人の価値判断で処分してしまう前に、価値を自分で理解できないのであれば、専門家に依頼して判断してもらうべきでした。この問題は、今回に限ったことではありません。価値を理解していないと、このような判断になってしまいます。
これは、UXを知らないで「UXをやりたい」と言っているのと、共通点があるように感じます。

UXの取り組みは理解から

UXが注目されるようになり、「UXを企業に取り組ませたい」とお問い合わせをいただくことがありますが、前述した生協の例と同様に、UXの価値を理解しないままに取り組みたいと言われている場合があります。

「UXデザイナーの募集枠でエントリーしたのに、結果的に行っている作業はグラフィックデザインだった(涙)」という嘆きを、Facebookでも見たことがあります。これは募集側が、「UXという魔法杖でなんとか問題をクリアしたい」「流行っているから募集すると人来るかな?」など、短絡的な考えで募集したのではないかと推測できますが、結論として言えることは、「人事担当者がUXを理解していない」ということです。

もちろん、人事がすべての仕事を理解するのは難しいですが、担当部署からあがってきたものを管理しているので、残念ながら、この企業ではUXを理解している人が皆無という想像がつきます。そうなれば、優秀なUXデザイナーを募集するということが難しく、正しい理解のないままにUXをやってみて失敗し、それをUXのせいにする、という悲しい結末が見えてきます。

UXを使わない立場でも理解は必要

このような例から、自分でUXを使って実践する立場でなくても、その価値を理解しておくことが大切だと言えます。しかし、「どうやって価値を理解するの?」と疑問が生じるかと思います。方法としては、優秀なUXデザイナーを雇って、その人達とサービスや企業組織についてのワークショップを実践することです。きっと新たな発見があります。もし、そのような人材がいない場合は、私達「Web Directions East」がお手伝いいたします。

UXを実践したいという人も同様

UX DAYS TOKYOにスタッフエントリーされる方は、UXを学びたいという理由で参加されます。中には、何を学びたいという具体的なものがなく、「何か学べるのではないか?」という期待でエントリーされる方もいます。もちろん、勉強はできるのですが、無料で集っているので受け身では何も学ぶことはできません。

同様に、UX関連の決まった仕事をしたいと言う方がいます。しかし、この考え方自体が受け身であり、うまくいくことはないです。当然のことです、上記の問題のようにUXを理解して仕事として募集している企業はほぼ無いからです。もちろん、海外からはUXコンサルティングファームなどが来て日本オフィスを構え始めていますが、そこでも「日本法人側社員の理解がないと難しい」と言われています。

つまり、UX関連の仕事に従事したいと思っている方が希望するようなUXの仕事は、残念ながら現在の日本企業には殆どありません。前述の通り、UXを的確に理解している企業が殆ど無いからです。ですので、UXの仕事を作っていくのは簡単なことではないですが、自らが切り開いていく姿勢が大切です。UXデザイナーに何となくなりたい。UXの仕事がしたい。実務がないからOJTをしたい。と言って受け身の姿勢では、駄目なのです。

他にもNGな理由があります。例えば、UXの道具であるジャーニーマップをはじめ、ユーザビリティテストなどは、人の視点が重要になります。もっと言えば、UIやデザインも人の視点に尽きると言っても、過言ではないでしょう。このような視点を持って開拓し、UXデザイナーとして実績を出している人は本当に少ないはずです。ゆえに適切な先人がいなければ、現場でのOJTは意味をなさないのです。仕事しながらの勉強は、今の日本のUXを取り巻く環境では難しいと言わざるを得ないです。

いわゆる人によって視点や出来栄えが変わるからこそ、できるUXチームの元、門前の小僧になって学ぶ必要があります。そして、自分から仕事を作る志が必要なのです。

自答してみてください。今の仕事で、UXをやるためにカスタマーセンターに行ったことはありますか?実際のインタビューで必要な情報を正しく見出していますか?うまくいかなかった時、ツールのせいにしていませんか?

自分が推し進めなければUXの仕事はうまくいかないのは、どの企業でも同じです。問題解決は、ケースバイケースである事が多くあります。だから、少しでも多くの知見を得ることが大切です。やり方やノウハウは、その中のちょっとしたことに含まれていますので、日本では少ないかも知れませんが、できるだけ良い師匠から学んでください。簡単ではない分、早く良いマインドを作り成果の上がるUXを手に入れていきましょう。

UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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