UXとUIの違い
先日、UXガイドラインのセミナーを開催いたしました。
Webデザインに関する書籍をベースに開催するということで、WebデザインつまりUIを中心に解説しました。セミナーの中では、”UXガイドラインとは何か?”そして、その中のUIガイドラインがUXにどのように影響があるのかを解説しました。
受け身だけの授業は理解が深まらないので、あるWebサイトを見て何がガイドラインにできるかを考えていただきました。
セミナーの流れ
- UXガイドラインについて解説
- あるWebサイトを見てガイドライン化できるところを考えていただく
- ガイドライン作成の心得を解説
上記のような流れで開催したのですが、UXのガイドラインというイベント名だったこともあってか、最後の質疑で「UXとUIの違いはどのように考えているのか?」と質問をいただきました。
この質問は、UXをやるならカスタマーセンターの声を拾えという記事を書いた頃にも質問されたのですが、今でも同じ質問をされたので、なぜそこまで頑なにUXとUIの違いを聞かれるのか不明でUXDTのスタッフにも聞いてみました。
UXとUIの違いを理解する
スタッフ間での回答は、”UXとUIを一緒くたにしているから違いを知りたいのでは?”という意見をもらいました。
スタッフの意見
定例勉強会でも話題にしてみました。言葉は違いますが、ほぼ同じ認識をもっていることがわかると思います。
UIとUXの違いって何?をスタッフに質問
- UXデザインの中にUIが含まれている。UXはユーザーとの接点を含めたもの。UIは個人に関わらない。(伊藤さん)
- UIはUXの一部分。UXはユーザーの環境を含めた経験(金さん)
- UIは操作性の問題(操作をしやすいかしにくいか)でユーザーの感情が入っていない。UXは感情が入っている。(大矢さん)
- UX定義はまだ確立されていないが、表面だけではないところ(水野さん)
- UIはユーザーが使うインターフェース。UXは全体を含めたもの(サポート体制・営業体制含む)(山田さん)
- UIはUXの中にある。サイトの告知だったり、感情が入っているのがUX。ユーザーとの接点そのもの。UXは感情を包括している(小蕎さん)
UXとUIの明確な回答
今回のイベントでの質問は、UXガイドラインという名前であったので「体験のガイドラインはなんぞや?」ってことで参加されたのに、結果的に”Webデザインかよ。”ってツッコミの話ではないかと思いますが、明確な回答を出すのもひとつかと思いましたので以下に示します。そもそも言葉が違うので、言葉を理解することからはじめます。
ユーザーとは?
- ユーザー:商品やサービス等を使う人・または買う人
UIとは?
- インターフェース:主にコンピュータを操作するために間に入るもの
- UI(ユーザーインターフェース):ユーザーが触る主にコンピュータを操作するもの
UXとは?
- エクスペリエンス:体験、経験
- UX(ユーザーエクスペリエンス):ユーザー体験
UXとUIの解釈図
ユーザーはサービスや商品を使う・買う”人”、UIはサービスや商品を購入する際に間にはいるもので、特にコンピューターとの接点であるものを指します。UXはサービスや(そのデザインも含めた)商品から感じた感情も含めた全ての体験です。
UIを操作して(使いやすい、便利、かっこいい、好き)と感じる体験と、操作とは違う体験も全部含めた体験がUXです。
なぜ一緒に扱われるのか?
言葉を検索するだけでも意味が違うことがわかりますが、なぜ、そこまで区別するのか?それは、一緒くたに扱われることがあるからだそうです。
実際、アプリの価値は操作性が大部分を占め、WebサイトでもUIの良し悪しで売上さえも変わってきます。そのため、見た目だけのデザインより操作するデザインに注目されている事実があります。
立場によって意見が異なる
サービスも含めて、企業のイノベーションを起こそうとしている立場の方はUXとUIの違いを区別したがる傾向があります。その一方で、UIデザインによってユーザー体験が大きく影響してしまうサービスに関わっている方は、どうしても同じようなニュアンスがでてしまうのかも知れません。
UIが悪いことでユーザー体験が悪くなることも正解であるため、どちらが優勢というものでもありません。
UI、UXのどちらが優勢でもない
以前、UIデザイナーを雇う前にUXデザイナーを雇えという記事を見たことがありますが、この記事の内容は間違っています。既存サービスを改善する方法とゼロからサービスを作ることが違うことに似ています。
そのプロジェクトで何が必要で何が問題なのか、そしてどんな手が足りないかで雇うべきで、どのプロジェクトでも先にUXデザイナーがいるということではありません。
UXとUIの表記順問題
UXとUIの違いの論争と同じく、どちらが先に表記すべきか問題もあるようですが、これもどちらでも良いです。
上流行程のUXが先に来て、UIを表記する場合もありますし、UIを通してUXを感じてもらいたいと考えている方は、UI/UXデザイナーの肩書なのかも知れません。
ただ、名刺に記載している肩書の順番で、あなたはどのように考えてこの順番で表記しているのか?と全ての人に聞いた訳ではないので、みなさんの真相はわかりませんが一般的に考えられることだと思います。
UXデザイン・UX設計
UXという言葉は広く使われるため、上記のような問題が出てくるのだと思います。
同様にUXデザイン・UX設計という言葉も広義に渡ります。当然ガイドラインも広義となり、いろいろな種類のガイドラインが存在するようになります。セミナーでは以下のようなガイドラインが存在すると紹介しています。
- リサーチ方法のガイドライン
- 情報設計のガイドライン
- UIのガイドライン など
UXガイドラインという言葉で、”THE UXガイドライン”があるように思われたのかも知れませんが、UXという言葉が広義であることを理解していれば上記の内容は自ずと理解できるのではないかと思います。
ちょっとだけ宣伝
イベントで利用した書籍にもUXとUIの違いの説明をしています。