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デザイン思考の5つのプロセス

この記事は、UX DAYS TOKYOのパートナーであるIxDFの記事を翻訳したものです。
The 5 Stages in the Design Thinking Process
https://www.interaction-design.org/literature/article/5-stages-in-the-design-thinking-process

IxDF デザイン思考の5つのステー胃のアニメーション

デザイン思考は、問題解決へのソリューションベースのアプローチを提供する方法論です。 関係する人間のニーズを理解し、ブレインストーミングセッションで数多くのアイデアを生み出し、プロトタイピングとテストに実践的なアプローチを採用しています。 デザイン思考の5つの段階の方法を知れば、会社、国、そして世界中で起こる複雑な問題に解決する方法論を適用でき、皆さんは問題解決の力をえることになります。

デザイン思考は直線的ではなく反復的なプロセスであり、人によって3段階から7段階まであると解釈されています。 私たちは、スタンフォード大学のハッソ・プラットナー・デザイン研究所(d.school)が提唱する5段階のデザイン思考モデルにならっています。

デザイン思考プロセスの5つのステージとは?

d.schoolによれば、デザイン思考の5つの段階は以下の通りです:

  • 共感する:ユーザーのニーズをリサーチする。
  • 定義する: ユーザーのニーズと問題を述べる。
  • アイデアを出す: 仮定に挑戦し、アイデアを生み出す。
  • プロトタイプ:解決策を作り始める。
  • テスト:解決策を試してみる

ステージ1:共感:ユーザーのニーズを調査する

デザイン思考のプロセスの最初の段階では、ユーザー中心のリサーチに焦点を当てます。 解決しようとしている問題を共感し理解します。 専門家に相談し、問題となっている領域について詳しく知り、観察を行って、ユーザーと関わり、共感します。 また、ユーザーの物理的な環境に身を置いて、ユーザーの経験や動機だけでなく、関係する問題をより深く個人的に理解するのもよいでしょう。 共感は、問題解決や人間中心のデザインプロセスにとって非常に重要です。

時間的制約にもよりますが、次のステージでは使用する相当量の情報を集めることになります。 Empathize(共感する)ステージの主な目的は、ユーザーやそのニーズ、作りたい製品やサービスの開発の根底にある問題について、可能な限り理解を深めます。

ステージ2:定義:ユーザーのニーズと問題を明確にする

Define:デザイン思考の2つ目のフェーズで、人間中心の方法で問題文を定義します。

Define(定義)ステージでは、Empathize(共感)ステージで集めた情報を整理します。 観察結果を分析し、あなたとチームがこの時点までに特定した核となる問題を定義します。 問題の定義と問題提起は、人間中心の方法で行わなければなりません。

例えば、問題を自分の願望や会社のニーズとして定義してはなりません: “10代の若い女性の間で、当社の食品の市場シェアを5%向上させる必要があります”。

ユーザーのニーズに対する視点から問題文を投げかけるべきでです: “10代の女の子が成長し、健康であるためには、栄養価の高い食べ物を食べる必要があります”

デザイン思考の「定義(Define)」段階では、デザインチームは優れたアイディアを集め、取り組むべき問題の特徴や機能、その他の要素を明確にします。これにより、実際のユーザーができるだけスムーズに問題を解決できるように配慮します。この段階を経て、次の「発想(Ideation)」段階へと移行します。ここでは、解決策を見つけるための質問を行います。例えば、「10代の女の子が自分たちにとって有益であり、かつ私たちの食品関連製品やサービスに関連する行動をどのように奨励すれば良いでしょうか?」といった問いを立てることができます。

ステージ3:アイデア発想-思い込みに挑戦し、アイデアを生み出す

デザイン思考プロセスの第3段階では、デザイナーはアイデアを生み出す準備ができています。 Empathize(共感する)ステージでユーザーとそのニーズを理解し、Define(定義する)ステージで観察結果を分析し、ユーザー中心の問題ステートメントを作成しました。 この強固な背景があれば、あなたとチームメンバーは問題をさまざまな視点から見て、問題ステートメントに対する革新的な解決策を考え始めることができます。

ブレインストーム(Brainstorm)、ブレインライト(Brainwrite)、最悪のアイデア(Worst Possible Idea)、SCAMPERなど、使用できるアイデア発想のテクニックは何百とあります。 ブレインストームとワーストポッシブルアイデアのテクニックは、通常、自由な発想を刺激し、問題空間を広げるために、アイデア発想段階の最初に使用されます。 これにより、アイデア発想の開始時にできるだけ多くのアイデアを生み出すことができます。 この段階の終わりの方では、アイデアを調査・テストするために他のアイデア発想法を選び、その中から、問題を解決できそうだから、あるいは問題を回避するために必要な要素を提供してくれそうだから、という理由で、前進するのに最適なものを選ぶべきです。

テージ4:プロトタイプ ソリューションの創造をはじめる

プロトタイプ:デザイン思考の4番目のフェーズで、可能な限り最良の解決策を特定する。

デザイン・チームは、アイデア出しの段階で生み出された主要な解決策を調査するために、製品(または製品に見られる特定の機能)を簡単にした安価なバージョンをいくつか作成します。 これらのプロトタイプは、チーム内、他部署、またはデザインチーム外の少人数で共有し、テストができます。

この段階は実験的なフェーズであり、主な目的は、初期の三段階で特定された各問題に対する最適な解決策を見つけることです。解決策はプロトタイプに取り入れられ、個別に評価され、ユーザーの体験に基づいて採用されるか、改善されるか、または却下されます。

プロトタイピングの段階を終える時点で、デザインチームは製品の限界や直面する問題について、より深い理解を得ることになります。さらに、実際のユーザーが最終的な製品を使用した際の行動や思考、感情に関しても、よりはっきりとした洞察を得ることができるでしょう。

ステージ5:ソリューションをテストする

テスト:デザイン思考プロセスの5つ目、最後のフェーズで、製品やユーザーを深く理解するためにソリューションをテストします。

デザイン思考のプロセスにおけるプロトタイプの段階では、デザイナーや評価者が特定した最適な解決策を用いて、完成した製品を徹底的にテストします。これは5段階モデルの最終段階にあたります。しかし、デザイン思考は反復的なプロセスであるため、完成した製品から得られたフィードバックはしばしば、新たな問題の再定義に利用されます。この深い理解を通じて、製品がどのような使用条件下で機能するか、人々が製品に対してどのように思考し、行動し、感じるかを探求することができます。これにより、プロセスの前の段階に戻ってさらなる反復を行い、変更や改善を加えて代替案を絞り込んでいくことが可能になります。最終的な目標は、製品とユーザーの理解をできるだけ深めることにあります。

デザイン思考は直線的なプロセスでないことは知っていますか?

ここでは、ユーザーテストから論理的な結果が導かれ、一つのステージが次のステージへと直線的に移行するデザイン思考プロセスを説明しました。しかし、実際には、プロセスはもっと柔軟であり、必ずしも直線的ではありません。例えば、デザインチーム内の異なるグループが複数のフェーズを並行して進めることがありますし、デザイナーがプロジェクトの各段階を経て情報を集め、プロトタイピングを通じてアイディアを具体化し、問題解決策を視覚化しながら前進することもあります。また、テストフェーズの結果から新たなユーザー洞察が得られることで、別のアイデーションセッションや新しいプロトタイプの開発に繋がることもあります。

Design Thinkingは非線形プロセス

デザイン思考の5つのステージは、必ずしも線形に進むわけではないと理解することが大切です。これらのステージは特定の順序に固執する必要はなく、しばしば並行して進められたり、何度も繰り返されたりします。各ステージは、連続したステップというよりも、デザインプロジェクト全体に役立つさまざまなモードとして捉えるべきです。

これらは、5段階モデルの主な長所の一つで、後期の段階で得られた知見は、初期段階での反復に活かされます。情報は、問題空間と解決空間の理解を深め、問題の再定義に役立つよう継続的に活用されます。この作業により、デザイナーは新たな洞察を継続的に得ることができ、製品やサービス、そしてその潜在的な使用法に関する新しい視点を開発し、実際のユーザーや彼らが直面する問題に対するより深い理解を得るための永続的なループが生まれます。

まとめ

デザイン思考は、デザイナーとユーザーが協力し合うことに焦点を置いた、反復的で非線形なプロセスです。実際のユーザーの考え方、感じ方、行動パターンに基づいて、革新的な解決策を生み出すことを目指します。

このユーザー中心の設計プロセスは、「共感する」「定義する」「アイデアを出す」「プロトタイプを作る」「テストする」という5つの核となるステージで構成されています。

これらのステージは指針でです。つまり、デザイン思考の反復的かつ非線形な特性は、デザインチームがこれらのステージを並行して進めたり、何度も繰り返したり、プロセスの任意の時点で以前のステージに戻る自由を持つことを意味しています。

参照ともっと学びたい方へ

IxDFのデザイン思考コースは、デザイン思考のプロセスを通して、デザイン思考の手法を適用する方法を学ぶ究極のガイドです。

Herbert Simon, The Sciences of the Artificial (3rd Edition), 1996.
d.school, An Introduction to Design Thinking PROCESS GUIDE,
2010.Gerd Waloszek, Introduction to Design Thinking, 2012.

UX DAYS TOKYO (代表) 見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通い日本人としてニールセンノーマンの資格を取得。 業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。

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