原因不明の胃痛で病院に行ったとします。
ただ漠然と胃が痛いのですが、この痛みの原因は何なのか?何の治療をしてもらうべきか?患者は見当がつきません。
医者は触診や検査をしたり、痛みの種類を聞いたりして原因を確認し、症状に合った治療や薬を適切に選択してくれます。
ユーザーの要望=真の解決策とは限らない
「ユーザーのことはユーザー自身が一番知っているので直接聞くのが一番」そう思っている人もいるかもしれません。しかし、「ユーザーが欲しがっている機能を実装すれば満足する体験になるだろうから、要望をヒアリングで聞き出そう」と考えるのは安直です。
顧客はその時思ったことや自分の経験だけからの意見を口に出しているだけで、その意見が真の解決策だとは限らないからです。
病院の例でたとえると、「何の治療をして欲しいですか?」と患者に聞きそのまま対応する医者は信頼できません。症状から真の原因を探って適切な対処をすることが医者(プロ)に求められている役割であるということがわかります。
同じことが、デジタルプロダクトの設計でもいえます。
ユーザーに「何か欲しい機能はありますか?」「改善してほしい機能はありますか?」と質問したとしても、ユーザーの答えが問題の根本をとらえた解決策だとは限らないからです。
ユーザーの意見を聞くことは大切です。しかし意見を聞くときの心構えや聞き方に問題があれば、意見に振り回されてしまい、結果ユーザーにとっても使い勝手が悪くなってしまいます。
答えそのものをユーザーに求めるのではなく、意見を咀嚼しユーザーの行動や反応と合わせて複合的に見て、ユーザーが本当に求めているものを探し出しましょう。