いろいろと学びを得ても、すぐに忘れてしまうという事はありませんか。しかし、すぐに記憶に残せる方もいます。その違いは何でしょうか?
今回は、記憶が定着しやすい方法を学ぶために、精神科医の樺沢紫苑氏が執筆した「インプット大全」をUX読書会で扱いました。
この書籍では、効率的で確実なインプットを行うための方法や考え方を、脳科学や心理学の視点から記載し、「インプットのキーになるのがアウトプットである」と述べています。
効率を上げる2つのポイント
数年前に行った多くの人の前でしたプレゼンした内容や、読書会で発表した自分の内容は覚えているのに、たった1週間前に読んだ書籍の内容が思い出せないことがあります。インプットしたはずなのに思い出せない。それは、短期記憶として一時的に記憶されても、長期記憶に変換されずに忘れてしまった状態です。なんともったいない!
情報を長期記憶として残すためには、覚えたらすぐに繰り返し「使う」必要があります。この「使う」とは、”人に話す”、”書く”といったアウトプットを行うことで、その過程を通して記憶は定着しやすくなります。
長期記憶にさせるためには、2つのポイントがあります。1つは、「この書籍の内容を人に話そう」「このセミナーをブログに書こう」というようなアウトプット前提で情報をインプットすること、そうすることで、自然に注意深く学ぼうという姿勢になります。ちなみに、インプットの注意点として、脳が一度に記憶できる情報は多くないため、欲張らず3つに絞り込むことが挙げられていました。
2つ目として、アウトプットすることで繰り返しになり、長期記憶として定着します。また、アウトプットの後に内容の見直しや反省、改善といった”フィードバック”というプロセスも大切だとされています。
読書会の参加者も、「この場での発表がアウトプットになり、発表に対するフィードバックやディスカッションをするので記憶に残りやすい。」と、記憶に残った体験を語っていました。
日々の生活の中でも学ぶことができる
インプットは座学だけではありません。日常生活で「観察する」癖をつけると、日常の中で目に入るものから情報を得るようになります。
シャーロック・ホームズの物語に記されている「有益な情報を得るためには、見るだけでなく観察することが重要である」という台詞が読書会で話題にあがりました。
注意深く観察していないと、見落としてしまう非注意性盲目(認知バイアス)に陥ってしまいます。
「見えないゴリラの実験」の動画は有名ですね。白いシャツを着た人のパスの回数を数えるようにと指示された被験者は、実験の途中で横切ったゴリラに気づかないというものです。
注意深く観察できるようになると、日常の中でも学びを見つけることができます。優れたデザイナーは、スーパーマーケットに行った時の動線やエレベーターのボタンの位置など、普通の人なら見逃してしまうことからも学ぶとディスカッションで盛り上がりました。
私にとってインプットとは、本を読んだりセミナーに行くといった座学のイメージでした。日常の中で学びを見つけることを知り、外出したときにはバスのボタンの位置やデパートの行列の改善方法のような、今までは景色のように思っていた身近なもののデザインについて考えるようになりました。
アウトプット前提でインプットするようになると長期記憶が当たり前になる
この記事を書くにあたり、改めて「インプット大全」を読み返しました。ただ読み流していた時は内容を覚えておらず、思い出すのにも時間がかかったのですが、アウトプット前提でインプットすると、「何が重要なのか」「どう伝えると理解しやすいか」を頭の中で考えながら読むことができました。読み返してから数ヶ月経った今でも、インプットするときのコツや長期記憶を維持する方法などの内容を人に伝えられます。
最近では、新しくインプットをする度に「アウトプット前提でインプット」することを意識し、記憶に残すようにしています。
UXの読書会がアウトプットだった
アウトプット前提のインプットがこの書籍の要でもあるのですが、UXDTの読書会は、
- まず、自分で(発表するアウトプット前提で)読む
- 発表する
- フィードバックを受ける
- 再度理解する
- レポート記事で更に長期記憶に定着する
と、インプットとアウトプットを繰り返すループになっていました。
自然と学びを長期記憶に変える環境であるUXDTの読書会にぜひ参加してみてください。