「EMPOWERD」読書会開催を開催しました。書籍内では、OKRを否定したりまた肯定していたりします。その理由は、「チームの精神が整っていなければ意味がなくOKRを重ねあわせただけだ。」ということからです。
OKRは手法であり手法だけでない
OKRは、Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の略で、個人の目標と部署・チーム、会社全体の目標を掲げ、数値化して成長・進捗を測ります。
Googleをはじめシリコンバレーの有名企業が取り入れいている目標を実現させるための手法です。「手法」という言葉がややこしく、方法だけを取り入れれば良いかというとそうではありません。
考えるより行動
もちろん、手法や仕組みを改善することで変えられることもあります。考えてばかりでは何も変えられない、まずは行動することで、その時は理解できなかったことも体験することで理解できることがありますす。
例えば、「ゴルフで日本一になる。」と目標があって、どうやったら一番になれるか考えるだけでは何も変わりません。しかし、素振りをする、フォームをチェックする、筋力をつける、などの行動を起こすことで考えがなくても自己成長することはできます。
ただ、その成長にも限界がでてきます。予定通りに練習をやって、そこそこ上手になったとしても、目的がなければ、続けることはできません。本気で「日本一になる」と思い、自ら考えて動く行動をしなければ、四六時中そばに誰かが指示をしてくれるわけでないですし、仕組みだけを利用していても形骸化してしまい、それ以上の成長は見込めないでしょう。
手法には思考という土台が必要
結論から言うと、手法が先でも、思考が先でも私はどちらでも良いと思います。何がその人のやる気が出るトリガーになるかはわからないからです。ただ、大きな企業になればいろいろな方がいらっしゃるので、仕組みから導入することが多いと感じています。
ですが、やはり、思考という土台はつけていく必要があります。つまり、OKRという手法だけでなく、思考が必要になります。私は、OKRを取り入れるためには、必要なマインドセットとして「7つの習慣」を読むべきだと考えています。
OKRに7つの習慣をマインドとして入れるべき理由
7つの習慣は以下7つのマインドを取りいれた習慣を作ろうというものです。完全一致ではないですが、これらの思考がないと、OKRは形だけの手法になってしまいます。
- 主体的である
- 終わりを思い描くことから始める
- 最優先事項を優先する
- Win-Winを考える
- まず理解に徹し、そして理解される
- シナジーを創り出す
- 刃を研ぐ
①主体的である
ゴルフを例に考えてみましょう。まず、自らが”日本一になるという目標を心の底から思っているか?”です。親に言われたから目指した。そんなことでは主体的に動くこともできないですし、意識もないので、これぞという時に負けます。
先に述べたように親であっても四六時中一緒にいるわけでもないし、自分をコントロールしているのは自分です。睡眠ひとつとっても、その質を高められるかは自分次第なのです。
OKRも同様で、仕事だからというマインドで入るとタスクマインドになります。自分は、この仕事を通して、「***する。」「***になる。」という強い思いと、主体的に捉えることができなければ、個人の目標も掲げることはできません。
②終わりを思い描くことから始める
目標を描くことで行き先も、動き方が異なります。ゴルフで本当に日本一になるのであれ独学で学ぶのではなく、日本一になったプロゴルファーから教えてもらうことがてっとり早いでしょう。
どんなことでも、目標は指南書にもなるので、すぐに実現できなくても目標は高く立てておきたいものです。実際に、オリンピック選手やサッカー選手などのスポーツ選手も小さい頃から夢に見て動いています。
OKR・プロダクトの場合でも、ゴールが見えなければ、チーム全体は途方にくれてしまいます。
③最優先事項を優先する
仕事をしていれば、誰にでも起こることですが、毎日が忙しいです。そして、その毎日に振り回されて自己成長できないことに気が付きます。
時間は有限です。ゴルフが上手になりたいのであれば、ゴルフの練習ができる時間を見つけるしかありません。
練習の時間がないのは、ゴルフ場に行くまでの道のりが長く、練習をする時間がないのかもしれません。
仮にそうであれば、短時間で通える場所に移り住む、早く到着するための交通手段を使うなど、自分が練習できる環境を整える必要があります。
全てを自分でこなしていては時間を見つけることなどできません。自分が成長するための時間が使えるように、優先順位をつける必要があります。
プロダクトも同じです。無駄なことにコストをかけたくないという心理が逆効果になり、計画を立てることばかりにリソースがさかれてしまうことがあります。「最善は善の敵である」の言葉の通り、計画を立てることがメインになってはいけません。
④Win-Winを考える
仕事をする上で、一人で全部こなすことはありません。一緒に仕事をする仲間をはじめ、上司、ステークホルダー全体を俯瞰して、良い関係を作り上げなければなりません。
Win-Winの関係は、相手のことを思うというベースがあります。キャッチボールで言えば、”受け取りやすいところにボールを投げる”ということです。
現場でもエージェントが入って、何も理解していない状態で「コレやっておいてください。」となれば、そのプロジェクトはうまくいくわけがありません。
OKRは、まずは自己目標を掲げますが、チーム全体でどのように役立っているのかはWin-Winのマインド姿勢が必要になります。
OKRに限らず、相手の立場や状況を理解して、仕事がしやすい連携がは大切です。スケジュールの返信メールで、「その日は駄目です。」だけの連絡でなく、相手が次のスケジュールが取りやすいように、「15日17時ではいかがですか?」のように代替案を出すことができれば、相手に無駄なやり取りをさせなくてすみます。
⑤まず理解に徹し、そして理解される
正論を言いたくなる思考は誰しも持っています。それは良いことですが、正論だけを述べても相手に通じていなければ何の意味もありません。
相手が、何が理解できて、理解していないのか。まず、相手の考え(頭の中)を理解する必要があります。相手が理解できていないことを理解し、理解できていない内容だけを伝えることで、自分の意見も理解されるようになります。
人が理解しようとする能力には、一定の量が決まっていると考えてください。たくさんのことを話せば良いのではなく、足りないところだけを補ってあげてください。
プロダクトで言えば、どこで誰が何をするべきかを理解していないと、「誰かがやるだろう」マインドで、プロダクト全体でうっかりミスが発生します。
スクラムをやる際にも通じる考え方ですが、自分の能力では時間がかかる仕事や作業でも、他の人は数時間で出来てしまうこともあります。そんな内容は、自分がやらずに他の人がやるべきです。プロダクト全体として、どのように進むべきかを考えなくてはなりません。相手の仕事のタイミングや体調、気分も理解して仕事が進められる環境、それがOKRには必要です。
⑥シナジーを創り出す
時に、自分と相手の意見や考えが違うことがよくあります。日本では声の大きい人、それっぽく話をしている人に合わせる傾向がありますが、自分の意思をきちんと伝えることは大切です。
自分の意見がベースになって新しい考えが生まれることだってあります。逆に、相手の意見を聞くことで、自分だけでは到底思いつかないことや新しいアイディアが出てくることもあります。
アイディアだけに留まらず、作業自体でも誰かが良い投稿をしていたので、自分もそういう内容であれば、こんな感じのことを投稿しよう。などと、芋づる方式で行動が促されたりします。
プログラムのテスト実行も同じタイミング(例:ペアプログラミング)で行うことで、多角的に見えたりします。
⑦刃を研ぐ
ある程度できるようになってくると、人は飽きてくるという状態が発生します。また、自分はできるという驕りも出てきて、切磋琢磨することを忘れてしまいます。
OKRでいうと、ストレッチゴールと呼ばれる、ちょっと難しい程度の目標を設定にするのも自分を飽きさせないためです。自分に満足せず、どこまでも背伸びをした目標を掲げて自分のスキルを伸ばしましょう。
土台だけど、思考だけでも駄目!
組織改革の研修でも「7つの習慣」を利用されることは多くあります。私の知り合いで、書籍を読んだり研修を受けたことがある方が3名いたので、それぞれ内容を聞いたのですが、「数年前のことなので覚えてない。」という方ばかりでした。
せっかくの研修や読書も身につけていなければ意味がないですね。思考や知識だけで現場で使えていなければ、いずれ忘れてしまいます。知識が身についたら、すぐに行動しましょう。
再掲:OKRの手法だけでも形骸化する
この記事の繰り返しですが、思考がなく、OKRの方法(手法)だけを取り入れてしまうのは形骸化されます。
目標設定が主体的でなく、なんとなく立てていては意味がありません。目標を立てることさえもタスクになりかねないでしょう。相手のことを見ようと思う視点や思考がなければプロダクトは成功しません。OKRを行うのであれば、「7つの習慣」のマインド、土台になる思考を組織に取り入れていきましょう。
読書会のご案内
プロダクト成功のための目標評価指数OKRを効果的なものにするためにUX読書会に「7つの習慣」を行います。
10月27日19時〜 https://uxdt.connpass.com/event/224845/