UXerはいろいろな仕事をしなくてはなりません。リサーチ、インタビュー、設計、分析、組織改革やリード、UI設計やチェックなど、様々です。もちろん一人で全部こなすわけではないですが、UXがプロジェクト全体に関わるため、全体を見渡す役目になることも少なくありません。
プロジェクトが2〜3つに分かれてしまうとパンクしそうになることもあります。しかし、できる人は、難なくこなしています。
仕事の速さは作業のスピードなのか?
仕事の速さというと、作業が早い、レスポンスが早いなどが上げられます。もちろん要因の1つでもありますし、結果として、このような状態になるとも言えます。ただ、作業自体は早いのに仕事が遅い人をよく見かけます。なぜ、差が出てしますのかを考えてみます。
導線で仕事を考えてみる
キッチンを例に考える

キッチンは導線が重要になります。シンクの横にまな板を置くスペースがなく、すぐにガス台があって、その隣にスペースがあったとします。どうでしょうか?料理をする時、野菜などを洗って切るという作業があるのに、ガス台を追い越して作業しなくてはなりません。面倒で作業効率が悪くなってしまいます。キッチンの導線で考えるとわかりやすいのですが、仕事も同様で導線で考えず、作業自体のスピードは早くても、流れを考慮していない人がいます。
スタッフの作業を例に考えてみる

UX DAYS TOKYOでは定期的にワークショップや講座を行っています。スタッフにも登壇してもらっています。登壇する方にイベントの募集ページを作成したり、案内やフォローメールを配信してもらっています。この仕事を早くできる人とできない人で考えてみます。
まず、行う会場の手配をするため、担当者に連絡して許可を得えます。許可が出たら、Connpassの募集ページを作成します。同時にFacebookでも告知します。
スタッフにはすでに行った講座を覚えていただき、登壇していただいているのでコピーで募集・告知ページを作ることができます。このコピーですが、配信したメールはコピーできない仕様になっています。
登壇するスタッフは、イベント前日には案内メールを配信します。そして、終了後にはフォローメールとしてスライドのURLをご案内します。これらは、イベントごとの管理画面からメール配信で送ることができます。
募集ページをコピーした時点で、フォローメールの文章もその日付に変更してメールをコピーして編集・保存すれば、前日の案内も開催後のフォローメールも、ログインしてボタン1つを押すだけですみます。
案内メールなど、配信も忘れてしまうことがあるので、Googleカレンダーに登録・通知させておけば、この仕事はこなすだけの作業になります。
しかし、メールのコピーをしていない人は、開催前日に、前回の同じイベントのページをまた探し、配信済のメールをベースに変更して配信します。
開催当日も同じ様に、前回の開催ページを探して、フォローメールをコピーして配信します。ボタン押すだけの作業でないので、スマホではやりにくく、次の日パソコンで配信するという作業になります。
つまり、登壇した日で完結する仕事が次の日まで持ち越されることになります。ツァイガルニク効果は、作業を完了しなければ頭に残り短期記憶もパンパンになります。用語ツァイガルニク効果でも紹介していますが、結果、人は挑戦しなくなってしまいます。


スティーブ・ジョブズも含め、成功者は無駄な決定(脳を他に集中させるため)を減らすと言います。(ツァイガルニク効果から外れ、短期記憶等を有効的に使うため)脳の負荷を減らすことが導線設計をする目的でもあります。(参考:世界の成功者たちが「毎日同じ服を着る」興味深い理由)
このように仕事を導線で考えることができれば、仕事を早くすすめることができます。
自分をユーザーと見立てて仕事の設計をしてみる
UXerであればユーザーの行動を設計します。同様に、自分の仕事も設計してみください。自分の仕事の動線をいちいち設計するなんて面倒と思うかもしません。しかし、仕事を細切れにしてしまう人は、常に細切れに仕事をしている思考の癖があるのでそれらを直す必要があります。
ジャーニーマップまで描く必要がないと思うかもしれませんが、思考を可視化させるためにも一度描くのもありだと思います。
自分の行動を分析して導線を考えることは、UXのトレーニングにもなります。これらのトレーニングを行えば、実際にマップを描かなくてもスマートな導線の思考になってきます。
注意点
仕事は段取り8割(段取り八分)。とも言われるように、準備は大切です。ある意味、導線も準備の1つになるかもしれません。しかし、導線も含めてその準備に時間をかけ過ぎたり、「できないかもしれない。」「できなかった場合はどうしよう。」などと、多くのケースを作り完璧にしようとすのは、無駄になることが多いので考えないでください。
自分をユーザーとして客観的に考えることができれば、成長するための自己分析力にも繋がります。特に、パソコンでの仕事は他からの通知もあり、意識が散漫になりやすいです。だから故に、自分をユーザーと見立てて、例えば、重い作業は通知を切って**時間で終わらせる。などの方法も実現できるようになります。
パソコンに向かっている作業だけが仕事ではありません。ゆっくり物事を考える仕事も必要です。仕事が早く片付くようになれば、時間的余裕もでてきて、心にも余裕がでてきます。そして視点も広がります。まずは、自分の動線を考え、仕事が早く、できる人の思考に持っていきましょう。