コンテキストをデザインに落とし込む7つの切り口
リサーチをすれば、コンテキストも含め、それ以外の洞察を得ることができます。プロダクト戦略を練る時、サポートするデバイスを選ぶ時、コミュニケーションの手段を企画する時など、リサーチがいかに大切かが分かります。 リサーチから見つけた様々なコンテキスト上の情報や発見は、どのようにデザインに繋げば良いのでしょうか。
例えば、コンテキストを単純に分類しても、それはあくまで近似値にしかなり得ません。なぜなら、その分類結果は、コンテキストが溶け込んでわかりにくくなってしまっているから可能性が高いからです。
私は、コンテキストを7つの「切り口」で分類しました。これを使えば、コンテキストの重要性を理解することができるでしょう。
本記事では7つの切り口のうち4つ目の「行動」について取り扱います。
切り口-4: 行動
突然ですが、ユーザがしたいこととは何でしょうか?今やテクノロジーは人の行動を幅広くサポートしています。従来のように人とコンピュータが向き合うような分かりやすい相互関係ではありません。
多くの人は、ぼんやりとした目的でWebを使用しています。何か特定のタスクがあるわけでもなく、あるいは何か1つのタスクには絞り切れていない状態でもあります。
ほとんどの行動、例えば何か調べものをしたり車を買ったりすることは、複数のデバイスで複数のWebアクセスが生じます。より短い時間で済む行動ならば、特定のデバイス、Webアクセスに限られるものもあるし、ネイティブアプリなら、より具体的なタスクに対処するようデザインされています。
例えば、料理や経路検索など、現在の行動をサポートするデバイスとしては、片手で持てる程度のデバイスを使用する可能性が高くなります。しかし、タスクが非常に重要である場合、利用可能なサービスやデバイスは何でも使うでしょう。ニューヨークの地下鉄で全編書かれた書籍もある一方、アフリカではフィーチャーフォンで10,000字の事業計画書が書かれています。
ユーザの行動を注意深く調べる1つの方法は「リーンフォワード(能動的姿勢)」と「リーンバック(受動的姿勢)」による分類です。相互関係が本質的にアクティブでユーザが主導となっているか(プレゼン資料のリサーチなどか)、もしくはもっと受動的なものか(友人との休日の写真を眺める事か)を調べましょう。
歴史的には、Webはリーンフォワード(能動的)タスクに偏っていました。学術的な研究からその起源を見れば、これは驚くべきことではありません。しかしながら、新たにリーンバックの用例が登場し、特にタブレットなどの新しいデバイスにおいては際立っています。
例えば、YouTubeやVimeoでは、ユーザ入力を最小限に抑えたリーンバックモードを試験運用しています。プレイリストを見るには理想的です。しかしリーンバックの相互関係全てがテレビのようであるべきだと仮定するのは間違いです。作家のCharles Stross氏はそれを放送の誤りと称しています。
Webの可能性は受動的だけではなく、古い消費モデルに変革を与え、それらの関連情報にまで拡張しています。その例として、ひと目で分かるものであります。例えば、1つの目的を持ってリアルタイムで情報を部屋に流すというシンプルなものも1つの例になります。
ひと目で分かるということは穏やかなコンピュータの使い方の早期実現であり、現実の世界で平和に存在しているデジタルテクノロジーです。やがて副次的なWebブラウザやアプリが一般家庭やビジネスで当たり前になるでしょう。ユーザはひと目で分かるアプリとして、目立たない場所で掲載(実行)しつつ、すぐに情報を得ることができるようになるでしょう。
一般的に、リーンバックな体験ではユーザによる入力はほとんど要らないし、直列な画面遷移となります。そうしたものが最小限のインターフェースにふさわしいのです。つまり、雑音もなければ、ユーザの注意を引くためのコンテンツの代わりもないのです。
それが最小限のインターフェースに値します。本当の目的が他のことかもしれないユーザに対し、ほとんど関係のないインタラクションで、簡潔に情報を伝えなければなりません。テキストと背景のコントラストを最大にしなければ、などと考える必要もなく、テキストコンテンツ向けの大きなサイズで読みやすいフォントを使った方がいいでしょう。テキストが読みやすいものである限り、穏やかなコントラストであっても情報はそうした環境に負けることなく浸透していきます。
行動コンテキストを理解するポイント
- ユーザが行動したい単純なタスク、あるいはぼんやりした目的があるか
- これらの行動やタスクはデジタル上か、あるいは現実の行動をサポートするものか
- その行動には物理的な制約があるか。私たちはそれをどうサポートできるか
- インタラクションはリーンフォワードかリーンバックか、あるいはその両方か
切り口-5: パーソナルに続きます。
本記事は、2013年に記載されたケニー・ボールズによるコンテキストの紹介記事を翻訳したものです。
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