コンテキストを理解する(切り口-7: ソーシャル)

コンテキストをデザインに落とし込む7つの切り口

リサーチをすれば、単なるコンテキスト以上の洞察を得ることができます。プロダクト戦略を練る時、サポートするデバイスを選ぶ時、コミュニケーションの手段を企画する時など、いかにリサーチが大切かが分かるでしょう。

しかしこのようにして見つけた様々な種類のコンテキスト上の情報や発見は、どのようにデザインに繋げば良いのでしょうか。たとえ、コンテキストをいかに分類してもそれはあくまで近似値にしかなり得ません。なぜならその分類結果は、コンテキストが溶け込んでわかりにくくなってしまっているからです。次に示すコンテキストの7つの「切り口」を使えばコンテキストの重要性を自信を持って説明できるはずです。

  1. 切り口-1: デバイス
  2. 切り口-2: 環境
  3. 切り口-3: 時間
  4. 切り口-4: 行動
  5. 切り口-5: パーソナル
  6. 切り口-6: 場所
  7. 切り口-7: ソーシャル
  8. コンテキスト・デザインの5原則

本記事では7つの切り口のうちの1つ、「ソーシャル」について取り扱います。

切り口-7: ソーシャル

ソーシャルコンテキストを簡単に表現するなら、「ユーザーの身近にいる誰か」ということです。ユーザーは、ソーシャルコンテキストが今やっていることに、大して関心があるのかないのかをそれぞれで判断します。これはほとんど無意識のまま下している決断です。

ユーザーと直接話すか、アプリをユーザーに試してもらわない限り、プライバシーに関する懸念や、人々が適合性の判断を下す基準は分かりようがありません。

行為によってはプライバシーが必要なものもありますが、多くが基本的には人とのつながりを求めるものです。このような場合には、信頼できる友人の存在が理想的なコンテキストです。Webは単独で動いているように思ってしまう人がいますが、新しいアウトプットやコンテキストが、1つのデバイス上でも2人以上のユーザーに適した新しいアプリケーションを作り出せます。ユーザーが1人でもそうでなくても、多くのインタラクションはソーシャルの要因に大きな影響を受けます。ソーシャルのシステムというのは、リアルタイムでもそうでなくても、人々が情報を共有する場合、シンプルで効率の良い方法が必要です。バックグラウンドにデータなどの情報を保存し、1つのサイトを提供すれば、ユーザーたちが他人と関わることが容易になります。

チャットや写真共有などのプロダクトは、分かりやすくソーシャルの側面がありますが、他のほとんど全てのものがソーシャルコンテキストに関わっていることが分かります。例えば、飛行機の予約をする時には、検索結果を比べて、その結果を配偶者か上司に許可をもらうために送ることがあります。
SNSは、選択を促し、ユーザーエクスペリエンスを改善する最高のツールになりえます。しかし、何度も言うようですが、この力には責任が伴います。もしあなたが作成したアプリがユーザーに、SNSに(例えばログインをする)権限を要求する場合、ユーザーに信頼されなくてはなりません。アプリが正常に機能しないとなると、強い反感を持たれることになるでしょう。権限は必要なだけの最低限のレベルを要求し、明確な許可なしにユーザーのソーシャル・ネットワークに勝手に投稿などしないようにしましょう。

最後に、デバイスの共有について考えましょう。デスクトップPCやタブレットは、家族の中で共有して使っている場合が多くあります。また、電話を家族の中や、近所の人とさえ共有して使うのが一般的になっている国もあります。個人のデバイスにはプライベートなデータが入っているので、ユーザーはOSレベルで、パスワードやPINロックなどでセキュリティを確保していることが多くあります。これにより、Webブラウザ上でのセキュリティを怠ってしまうユーザーがいます。デバイスは表向きにはOSレベルでセキュリティを確保しているので、ユーザーは使い終わったあとにシステムをログアウトする意味を理解していないかもしれません。

しかし、デバイスを共有して使っているユーザーたちは、あなたのサイトにずっとログインしている状態に不快感を示し、もし機能があれば、プライベートブラウジングを使用することもあります。ユーザーの使用履歴、すなわち検索履歴やページ履歴、閲覧履歴などの情報を公開するかどうかは慎重に考えるべきです。もし、共有されているデバイスからの訪問者が多く存在すると想定できるのであれば、ユーザーの切り替えを簡単にできる機能を提供したほうがいいでしょう。

ソーシャルコンテキストを理解するポイント

  • アプリは、一人でプライベートなコンテキストで使われるのか、それとも多くの人が使うのか
  • ユーザーが人前で恥をかいたり、不愉快な思いをしたりするリスクを減らす方法はあるか
  • エンドユーザーの他に、その行為に関わる人はいるか
  • アプリが、ユーザーのソーシャル・ネットワークにアクセスする権限を要求するメリットはあるか
  • アプリ上のユーザーの大事な情報は、十分に守られているか

コンテキスト・デザインの5原則に続きます。


本記事は、2013年に記載されたケニー・ボールズによるコンテキストの紹介記事を翻訳したものです。

SOURCE

デジタルプロダクトデザイナー/リーダー
Twitterデザインマネージャー 元Clearleftエクスペリエンスデザイナー

大矢 礼子

この記事を書いた人:大矢 礼子

京都出身、大阪在住のグラフィックデザイナーです。
知育文具のデザインを約4年半、広告制作のプロダクションに約9年勤務し、フリーランスになって今5年目です。
趣味は木版画とドローイングです。
紙媒体中心のデザイナーで、かなりアナログなのですが、UXを勉強することで自分のデザインにどのような変化が起こるのか、ワクワクしています。
どうぞよろしくお願い致します。