コンテキストをデザインに落とし込む7つの切り口
リサーチをすれば、コンテキストも含め、それ以外の洞察を得ることができます。プロダクト戦略を練る時、サポートするデバイスを選ぶ時、コミュニケーションの手段を企画する時など、リサーチがいかに大切かが分かります。リサーチから見つけた様々なコンテキスト上の情報や発見は、どのようにデザインに繋げば良いのでしょうか。
例えば、コンテキストを単純に分類しても、それはあくまで近似値にしかなり得ません。なぜなら、その分類結果は、コンテキストが溶け込んでわかりにくくなってしまっている可能性が高いからです。
私は、コンテキストを7つの「切り口」で分類しました。これを使えば、コンテキストの重要性を理解することができるでしょう。
本記事では7つの切り口のうち7つ目の「ソーシャル」について取り扱います。
切り口-7: ソーシャル
ソーシャルコンテキストを簡単に表現するなら、「ユーザーの身近にいる誰か」です。ユーザーは、ソーシャルコンテキストが今やっていることに、大して関心があるのかないのかを判断します。これは、ほとんど無意識のまま下している決断です。
ヒアリングやインタビューでユーザーと直接話すか、アプリやサービスをユーザーに試してもらわない限り、プライバシーに関する懸念や、人々が適合性の判断を下す基準は分かりません。
行う行動によってはプライバシーが必要なものもありますが、多くが基本的には人との繋がりを求めるものです。繋がりを求める場合には、「信頼できる友人の存在」が理想的なコンテキストになります。
Webは単独で動いているように考えてしまう人がいますが、新しいアウトプットやコンテキストは、1つのデバイス上でも2人以上のユーザーに適した新しいアプリケーションを作り出すことができます。ユーザーが1人でいてもいなくても、多くのインタラクションはソーシャルの要因に大きな影響を受けます。
リアルタイムであろうとなかろうと、ソーシャルのシステムは、シンプルで効率の良い方法で情報を共有させるインタラクションが必要です。バックグラウンドにデータを保存できるサイトを提供すれば、ユーザーたちが他人と関わることが容易になります。
チャットや写真共有などのプロダクトは、分かりやすくソーシャルの側面がありますが、ほとんど全てのものがソーシャルコンテキストに関わっていることが分かります。
SNSを利用して繋がりやすく
例えば、飛行機の予約をする時には、検索結果を比べて、その結果を配偶者か上司に許可をもらうために送ることがあります。SNSで、ソーシャルコンテキストを選択して連絡を簡単にとることができれば、ユーザーエクスペリエンスを改善するツールになります。
しかし、何度も言うようですが、この力には責任が伴います。もし作成したアプリがユーザーに、SNSに(例えばログインをする)権限を要求する場合、ユーザーに信頼されなくてはなりません。アプリが正常に機能しないと、強い反感を持たれることになるでしょう。権限は最低限で必要なだけのレベルを要求し、明確な許可なしにユーザーのソーシャル・ネットワークに「勝手に投稿しない」設定にしましょう。
デバイス
最後に、デバイスの共有について考えましょう。デスクトップPCやタブレットは、家族のなかで共有して使っている場合が多くあります。また、電話を家族のなかや、近所の人とさえ共有して使うのが一般的になっている国もあります。
個人のデバイスにはプライベートなデータが入っているので、ユーザーはOSレベルで、パスワードやPINロックなどでセキュリティを確保していることが多くあります。これにより、Webブラウザ上でのセキュリティを怠ってしまうユーザーがいます。
デバイスは表向きにはOSレベルでセキュリティを確保しているので、ユーザーは使い終わったあとにシステムをログアウトする意味を理解していないかもしれません。
デバイスを共有して使っているユーザーたちは、サイトにずっとログインしている状態に不快感を示し、プライベートブラウジングを使用することもあるでしょう。
ユーザーの使用履歴、すなわち検索履歴やページ履歴、閲覧履歴などの情報を公開するかどうかは慎重に考えるべきです。もし、共有されているデバイスからの訪問者が多く存在すると想定できるのであれば、ユーザーの切り替えを簡単にできる機能を提供したほうが良いでしょう。
ソーシャルコンテキストを理解するポイント
- アプリは、一人でプライベートなコンテキストで使われるのか、それとも多くの人が使うのか
- ユーザーが人前で恥をかいたり、不愉快な思いをしたりするリスクを減らす方法はあるか
- エンドユーザーの他に、その行為に関わる人はいるか
- アプリが、ユーザーのソーシャル・ネットワークにアクセスする権限を要求するメリットはあるか
- アプリ上のユーザーの大事な情報は、十分に守られているか
コンテキスト・デザインの5原則に続きます。
本記事は、2013年に記載されたケニー・ボールズによるコンテキストの紹介記事を翻訳したものです。
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