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コンテキストデザインの5原則

7つの切り口(デバイス環境時間行動個性場所ソーシャル)を使って、リサーチの役に立てたり、チームメンバーに質問を投げかけたりしてみてください。

きっと、答えはプロジェクトごとに違うでしょう。しかし、コンテキストをデザインする一般的な原則が存在するので、最後に「コンテキストデザインの原則」としてまとめてみました。

コンテキスト・デザインの原則とは

1. コンテキストとは多面的である

特徴の違うコンテキストは、それぞれで使えるポイントが違います。Paul Dourishポール・ドゥーリッシュ氏は、コンテキストは流動的で、常に考察が必要だと予測しています。

全てのコンテキストが、常に大切な要素だとは言えません。デザインの中でそれが適切か適切でないかという線引きは明確ではないのです。調査し、テストし、あなたの直感を信じて、どのコンテキストの要素を使えばいいかを選択し、あなたのデザインに役立ててください。

一般的な原則では、コンテキストがユーザーの行動に特に影響がない限り、コンテキストの優先順位は低くなります。しかし、この「結果を導き出すために調査や考察をする」ことに価値があります。もし、状況が変われば、突然何かのコンテキストの要素が重要になってくることもあります。

2. ユーザーにストレスを与えない

どこにいても可能な限り、ユーザーは関連するコンテキストで同じ機能とコンテンツにアクセスできるメリットを持つべきです。ユーザーのデバイスの選択によって、不便さを与えてはいけません。

このようなミスを犯してしまった悪い例は、ポータブルデバイス上で誰も使わないだろうと誤って判断し、便利な機能を削除してしまうモバイルサイトです。

デザイナーのJosh Clarkジョシュ・クラーク氏は、「これは“ある本から一部の章を抜いてしまうようなものだ”」と述べています。デスクトップコンピュータに戻ってくるまで、不必要にユーザーを待たせるのは横柄で怠惰な行為だと表現しています。開発者が自分に知識は十分あると思い込み、ユーザーやユーザーの周りの環境を理解するのに十分な時間を使っていない人が陥りやすい誤りです。

理解できない人は、PCサイトとは別に単独の大型スクリーン用モバイルサイトを作成し、同等性の機能を目指すと考えてください。プロダクトのメインの機能を理解・定義します。各コンテキストが、それぞれユーザーエクスペリエンスを強化することのできる方法を探します。

特定のコンテキストで絶対に必要な場合(例えば、どうしても乗り越えられないセキュリティ上の理由がある場合など)や、純粋にユーザーエクスペリエンスを改善できる場合のみ、内容や機能を隠すようにします。コンテキストは、複雑性をシンプルにし、利便性を高くする目的で使い、扱いにくい難しいデザインを避ける言い訳として使ってはいけません。

同じコンテキストや機能を提供するのは、何の問題もありません。複数のデバイスやコンテキストを通して統合されたユーザーエクスペリエンスの概念は、虚構でしかありません。デバイスごとに体験を設計するなど、多様性がありすぎています。デバイスで体験を分けず、一貫性を持たせることを目指したほうがずっと良くなります。そうしてプロダクト全てがまとまると、全体としても理解しやすいものになります。

3. 慎重に進める

コンテキストはとても繊細で人間的です。繊細ということを尊重しましょう。テクノロジーがコンテキストを使って人々を驚かせたり喜ばせたりするのは素晴らしいことですが、調子に乗ってはいけません。あなたのアルゴリズムが巧妙だとしても、ユーザーのコンテキストを読み間違えることはよくあります。ある人にとってうんざりするような交通渋滞は、別の人にとっては静かで平和なひと時になりうるのです。

プロダクトの人間性をコンテキストによって向上させる方法を、探してみましょう。繰り返しですが、慎重に探さないといけません。仮定を元にして作られた膨大なバリエーションを提示するのではなく、プロダクト別の事例で、安定性と類似性を目標にしてみてください。可変性があり過ぎるコンテキストの読み取りシステムは、混乱を生じさせるだけで、デザインや実装、維持をより複雑なものにしてしまいます。スクリーンごとにいくつかのレイアウトを提示できるバリエーションや、特定の機能を持ったデバイス向けに、より良いデータアップロードの手法を使えば、将来的な管理が大変容易になります。

4. 適応性を認める

別のコンテキストに合うように、プロダクトを根本的に改造する場合、ユーザーにそれを知らせ、変更する・しないの選択を与えましょう。

例えば、小型スクリーンのモバイルサイトから、何かの機能を取り除かなくてはいけないとします。その場合、ユーザーに大型スクリーンのサイトになんらかの方法で戻れるようにします。(現在では、フッターにリンクを貼るというのが一般的)大型スクリーン版がデバイスやコンテキストに最適化されないので、ユーザーは変更するはずです。

OSの中にはユーザーに、どんなデータを集めたか知らせるために、GPSユニットの使用を示すアイコンを使ったりします。しかし、もしサイトがコンテキスト的なデータを他の有効的な情報を提供することに使っているのであれば、インターフェースでそれらの選択を表示する方法を探すのも良いでしょう。

Foursquare画面

Foursquareは、コンテキストを説明することに長けている。このスクリーンだけでも、ソーシャルコンテキスト(特定の場所”ベニュー”に「いいね」した友人)、ロケーション・コンテキスト(地図と距離)、時間のコンテキスト(「この場所はいつもより混んでいる」)が、コメントと一緒に表示されているのが見て分かる。

5. 決断を再考する

コンテキストは不安定なものです。なぜなら、コンテキスト自体が変化するからです。デザインしたデジタルプロダクトの寿命と持続性を向上させるため、柔軟性と新しい使い方を考えなくてはなりません。私たちが作ったものでユーザーが独自の使い方を確立するにはどうしたらいいのでしょうか?

大手のソーシャル・ネットワークでは、新たなユーザーの集まりを通して、進化しています。これらの7種類のコンテキストは、時代を超越するものですが、10年後でも当たり前に通用するとは限りません。

今あるデザインを定期的に見直すのはやめて、新しい方法で渡り歩けるような柔軟性のあるシステムを構築する必要があります。それには、新しいことに挑戦し、テクノロジーの将来にとって新たなコンテキストが何を意味するのか考えていく必要があります。


本記事は、2013年に記載されたケニー・ボールズによるコンテキストの紹介記事を翻訳したものです。

SOURCE

デジタルプロダクトデザイナー/リーダー
Twitterデザインマネージャー 元Clearleftエクスペリエンスデザイナー

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UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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