この記事はUX CollectiveのThe Guide To Designを翻訳転載したものです。配信元・著者の許諾のもと配信しています。
翻訳元記事:Chapter 2 Industry overview
成長し続ける業界、進化し続ける学問の中で自分の居場所を見つける方法
やぁ、ここはみんなの場所です
ゴール
デザイン業界の全体像を理解し、自分にとっての可能性のあるキャリアパスを考えてみましょう。
企業がユーザー中心のデザインの重要性に気付き始めて以来、デザインは大きく成長してきました。時折、優れたデザインのおかげで大成功を収めた企業の話を耳にすることがあります。デザイン主導型の企業は、顧客を第一に考え、従来のやり方を変えるような体験を提供することで、業界全体を抜本的に再発明しています。同じ問題でも、新しい解決策を提供しているのです。
ビジネスの観点から見ると、デザインは、物事をより良く見せるための必需品から、ユーザーのエンゲージメント、ひいては利益を促進する重要な要素へと変化しています。あらゆる規模の企業が、ビジネス目標の達成を支援してくれるデザイナーを求めています。そこで、デザイナーとしてのキャリアパスを決める際に考えておきたいことは、どこで、どのような条件で働きたいかということです。
大規模なテック企業でも、小規模なスタートアップでも、コンサルタント会社でも、デザイナーになることは可能です。非営利団体、中小企業、大企業で働くこともできます。組織に所属せず独立してフリーランスのデザイナーになって、取り組むプロジェクトを選べる働き方が好みかもしれません。リサーチ、またはビジュアルデザイン、またはUX戦略に焦点を当てるかもしれません。コンテンツライター、インフォメーションアーキテクト(情報設計を行う人)、またはモーションデザインに特化した仕事をすることもできます。どのようなワークスタイルであっても、新人はその先にある可能性を理解することが必要不可欠です。
デザインは、顧客の声に耳を傾け、顧客の期待やニーズを理解することに重点を置くことで、企業にとって本当に価値のあるものになります。顧客の期待を先取りしてそれを超え、真の問題点を解決できる企業は、長期的にはより多くのロイヤルティとブランド愛を得ることができます。あなたのお気に入りのブランドについて考えてみてください。そのブランドのウェブサイトやモバイルアプリなど、物理的なチャネルとデジタルチャネルの両方で、ブランドでポジティブな経験をしたことがあるかもしれません。
企業は、優れたデザインの影響を定量化できるようになると(言い換えれば、企業の数字が向上することを示せるようになると)、より多くの資金をデザインに投資したいと考えるようになります。モダンなデザイン志向の企業は、多くの場合、収益の一部をデザイナーの雇用、デジタルプロダクトチームの拡大、デザイナーの組織内での影響力の拡大に投資しています。このことは、デザイナーとしてのキャリアをスタートさせる人にとって、とても希望が持てるシナリオを生み出しています。
デザインの中間成果物(モックアップやプロトタイプのように仕事で作成するもの)は、ユーザーが実際に使用する製品の設計図です。プロダクトマネージャーは機能について戦略的なビジネス上の意思決定を行うために使用し、開発者は実装されたものがあなたが想定したデザインと一致しているかどうかを確認するために使用します。
複数の分野にまたがるチームは、デジタルプロダクトデザインの本質です。デザイナーとして、開発者やプロダクトマネージャーと協力して、可能な限り最高の成果とユーザー体験を達成しながら、インタラクションの技術的な実現可能性や製品機能のビジネス上の実現可能性などのバランスをとることを学びます。誰しも、構築が不可能なものや、働いている会社にとって利益よりもコストの方が多くなるようなものをデザインしたくはありません。(もちろん例外はありますが。)デザインとは会話なのです。
もちろん、これはチームがどのように構成されているかをかなり単純化したものです。デザイナーは、マーケティング、ブランド、法務、データサイエンス、カスタマーサービスなど、組織を横断する他の多くの分野とも仕事をしています。この章の記事・書籍リストを読めば、デザイナーと一緒に働く他の職種の役割と、どのようにデザイナーの仕事と重なっているかを、よりよく理解することができるでしょう。
記事・書籍リスト
1.Designing for the Digital Age: How to Create Human-Centered Products and Services(翻訳版なし)
デジタル時代に成功する製品やサービスを設計するために必要な、幅広い領域にわたるチームの概要を学べます。キム・グッドウィン著。
(訳注:キム・グッドウィンはアラン・クーパーと共にペルソナを考案した人で、”Designing for the Digital Age“にも正しいペルソナの作り方が書かれています。)
2. アートとデザインの違い(The difference between art and design)
John O’Nolan (4 分)
3. UI, UX:誰が何するの?テック業界のデザイナーガイド(UI, UX: who does what? A designer’s guide to the tech industry)
Lo Min Ming (8 分)
4. 初めてのデザイン職の選び方:スタートアップ?大企業?フリーランス?(How to choose your first design gig: startup, corporate, or freelance?)
Alexis Collado (7 分)
5. 本当にデザイン重視の会社か見分ける5つの方法(Five ways to tell if a company is really design-driven)
Ryan Quintal (7 分)
6. インターフェイスを愛するデザイナーインタビュー(Interface lovers: interview with designers)
William Channer, Timothy Achumba, Iheanyi Ekechukwu (~30 分)
7. 学生とデザイン業界の断絶(The disconnect between students and the design industry)
Sanjana Galgalikar (9 分)
8. ユーザーインターフェース設計のための10のヒューリスティック(10 heuristics for user interface design)
Jakob Nielsen (45 分)
動画リスト
1.ハイレゾリューション:プロダクトデザインとデザイン思考のビデオシリーズ(High Resolution: a video series on product design and design thinking)
Bobby Ghoshal and Jared Erondu
2. 堅苦しくなく、真面目なデザインこそ素晴らしい(Great design is serious, not solemn)
Paula Scher
3. UXデザイナーの仕事とは?(What does a UX designer do?)
TechCrunch
深く考えてみよう
デザイナーとしての夢の仕事は何ですか?あなたはどのようなデジタル製品やサービスを作っていると思いますか?どんな業界のために?どのようなチャネルで?どんな人のために?
尊敬する企業のニュースを聞いて、その企業でデザイナーとして働けたら…と心が踊る理由は何ですか?また、本当にその企業で働くチャンスが得られたとしたら、どのように感じますか?
あなたの平均的な一日について考えてみてください。あなたが日常的に対処しなければならない3つの問題(大なり小なり)の中で、良いデザインで解決できると思うものは何ですか?デザインだけの問題ではないと思うものはどれですか?
事例紹介
ヤコブ・ニールセン氏は、10のユーザビリティ・ヒューリスティック・チェックリストを定義したことで知られており、この章のリーディング・セクションに記載されている広範なユーザビリティの経験則の包括的なリストです。 これは、今でも業界で広く使われている便利なチェックリストです。デザイナーがプロセスの一部として彼のユーザビリティ・チェックリストを適用する方法を実際に見て、自分自身で試してみてください。たとえば、お気に入りのアプリを選んで、学んだことに沿って同様の分析を行ってください。
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この記事はUX CollectiveのThe Guide To Designを翻訳転載したものです。配信元または著者の許可を得て配信しています。
翻訳担当:池田茉莉花 (Marika Ikeda)
監修:菊池聡 (Satoshi Kikuchi)