第4章 目的とコミュニティ – The Guide To Design

この記事はUX CollectiveThe Guide To Designを翻訳転載したものです。配信元・著者の許諾のもと配信しています。
翻訳元記事:Chapter 4 Purpose & community
Guide to design 第4章 目的とコミュニティ

「デザインを作る」を超えたデザインの役割を理解すれば、世界に広く影響を与えることができます。

デザインは単なる作業ではありません。世界に変化を起こすための方法であり、それには責任が伴います。
あなたはどのような変化を起こしたいですか?

ゴール

デザインの意思決定の影響をより意識しましょう。

Abstract shapes
イラスト:Michela Picchi

ソーシャルメディアアプリが中毒を引き起こす可能性があることや、位置情報追跡アプリがユーザーのデータが悪用された場合、ユーザーのプライバシーへの脅威となることをニュースで耳にしたことがあるでしょう。 

ほとんどのデジタルプロダクトは善意で作られていますが、世の中に出た後にどのように使われるかを、常にコントロールしたり予測できるわけではありません。

建築家が建物の安全性を考慮しなければならないのと同じように、デザイナーの義務として、製品を作成する際に、より大きな影響を念頭に置いておくことです。 

企業で働くデザイナーとして、より多くのエンゲージメント、より多くのPV数、より多くの利益を生み出すために、デザインスキルを活用することが求められます。

声を上げて、ユーザーを擁護しましょう。中毒や誤情報、権利の侵害からユーザーを守るために立ち上がりましょう。誤った情報、誤った行動、不正を広める可能性のある会社の決定を押し退けましょう。このマインドセットを日々持っていきましょう。超えてはいけないラインは何なのかを自覚し、デザインが悪用されるのを防ぐことができます。

“快適さよりも勇気を選ぶことを決め、共感の理解と実践に挑戦すれば、言葉だけの「人間中心デザイン」にはなりません。”

Vivianne Castillo

一方で、製品が誰にでも使えるようにする必要があります。アクセシビリティという言葉は、製品が様々な能力を持った人にも使えるかどうかを示しています。デザイナーである私たちは、自分たちがデザインしているユーザーは本当に自分たちと似たような人たちだと思いがちです。しかし、そうではありません。デジタル製品のデザインでは、このモットーをよく耳にします。

デザイナーとして、私たちは一日の大半を費やして、人々の生活の大部分を占める体験を想像し、構築します。それは、他の人や周りの世界との関係に影響を与えます。デザインの決定は、人を含む、あるいは排除する可能性を秘めています。作成する体験の中に、ユーザーが歓迎され、含まれ、代表されていると感じられるようにすることは、責任の一部です。UXデザインと、ユーザーをデザインプロセスに参加させるという考え方は、製品を作っている人と使っている人の間のギャップを減らすために存在しています。インクルーシブデザインとは、人と人との間のギャップを埋めることです。

今後数年の間に、デザインコミュニティと関わるようになると、アクセシビリティという言葉を耳にする機会が増えてくるでしょう。アクセシビリティのガイドラインに従うことは良い出発点ですが、すべての関係者にとって真にインクルーシブな製品を作ることに関しては、デザイナーはより良い実践方法を提唱するべきです。

Illustration of a unicorn

デザイン倫理、インクルーシブデザイン、アクセシビリティなどのトピックは、明らかに1ページにまとめることはできませんが、キャリアの過程でそれらについて学ぶ時間があるでしょう。今のところ最も重要なことは、あなたがUXを学び始めたばかりの頃に、これらの概念がなぜ存在する必要があるのかを理解し、それらについてもっと学ぶためにオープンなマインドを保つことです。

記事・書籍リスト

1.生きのびるためのデザイン

デザインを、安易な消費者神話の上にあぐらをかいた専門家たちの手にまかせきってはならない。人びとが本当に必要としているものへの綜合的なアプローチによって、空きかんラジオから人力自動車まで、パパネックは、豊かな思考と実験に支えられたかつてない生態学的デザインを追求する。世界的反響を呼んだ「パパネック理論」の完訳本。

(晶文社HPより引用)

(訳注:1974年に発売されたデザインの古典良著が、2020年に再発売され、注目が高まっています)

2.Accessibility for Everyone(翻訳版なし)

アクセシビリティのためのガイドで、誰でも利用できるデザインの設計、評価、テストの方法を学べる書籍です。ローラ・カルバッグ著。

書籍Accessibility for EveryoneはA Book Apartにて電子書籍が購入できるほか、Amazon Audibleでオーティオブック版を購入できます。(書籍公式ページ

Accessibility for everyone書影
Accessibility for Everyone

3. リスペクトは価値のひとつ(Respect is the one value)
Cyd Harrell (6 min)

4. 多様、包括的、公平なデザイナーのための未完成な資料リスト(An incomplete list of resources for the equity-centered designer)
Isabelle Yisak (6 min)

5. テック業界の白人至上主義に立ち向かう時がきた(It’s time we dealt with white supremacy in tech)
Tiffani Ashley Bell (6 min)

6. 多様性とデザイン:シリーズ(Diversity & design: a series)
UX Collective (45 min)

7. アクセシビリティを考慮した設計はそれほど難しくない(Designing for accessibility is not that hard)
Pablo Stanley (12 min)

8. デザインの政治学(The politics of design)
Ruben Pater (15 min)

9. 悪のデザイナー連合(The league of evil designers)
Linnéa Strid (6 min)

10. 正義のためにリデザインするデザイナー:公平な未来のために必要なリーダーたち(Redesigners for Justice: the leaders we need for an equitable future)
Creative Reaction Lab (5 min)

動画リスト

1. ソーシャル・インクルーシブなデザインシステムの構築(Building socially-inclusive design systems)
Tatiana Mac

2. アクセシビリティのためのデジタルスタイルガイドを工夫する: タイプ、色、イメージ(Hacking digital style guides for Accessibility: type, colour, imagery)
Tatiana Mac

3. コミュニティ+テクノロジー = ポジティブな社会変容(Community + technology = positive social change)
Ellen Ward and Máirín Murray

4. アートが文化の変化をどのように形づくるか(How art gives shape to cultural change)
Thelma Golden5. 無害なデザイン:公平性を目指す旅に謙虚さが必要な理由(Design No Harm: Why Humility is Essential in the Journey Toward Equity)
Antionette D. Carroll

深く考えてみよう

記事・書籍リストの読み物から学んだ、アクセシビリティ、インクルージョン、ダイバーシティの違いは何ですか?

それぞれがデザイン作業にどのように適用されているか、実用的な例をあげてください。

デザインの決定には、多くのバイアスがかかっているものがあります。例えば、性別のアンケートでは、通常「男性」は「女性」よりも前に出てきます。
次の機会では、使っている製品やサービス(アプリやウェブサイトなど)にあるバイアスにも目を向けてみてください。バイアスはどこから来ていると思いますか?また、バイアスを避けるために、何か他にできることはなかったかを考えてみてください。

事例紹介

テック企業は、アクセシビリティの欠如、差別、悪意の欠如に関連した重大な問題について、(最終的に)非難され、責任を問われるようになりました。例としては、ドミノのアクセシビリティ訴訟、ソーシャルメディア上での数々のフェイクニュース問題人種的偏見をもったAI問題などが挙げられます。

デザイナーである私たちは、問題を改善し、最終的にはそもそも問題が起こらないようにすべく、大きな役割を果たしています。ベテランデザイナーも新人デザイナーも、自分たちの仕事が社会に与える影響を理解し、デザインプロセスの中心に社会を置き続けることが第一歩です。この話題に関する事例(事例記事1事例記事2)や実践的なガイドを読んで、実際の例から学ぶことができます。

この機会に、この章で学んだことをもとに普段利用しているアプリやサイトを評価してみましょう。

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第5章: 情報アーキテクチャ

この記事はUX CollectiveThe Guide To Designを翻訳転載したものです。配信元または著者の許可を得て配信しています。
翻訳担当:池田茉莉花 (Marika Ikeda)
監修:菊池聡 (Satoshi Kikuchi)